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第64話 大惨事

 召喚獣リストを確認し、本日最後の魔物を召喚する。

 ってオイ!何だこの名前は!!ま、まあ、とりあえず呼びだしてみっか。



「出でよ『カロリーゼロ』!」



 シュッ


 俺とタマねえの目の前に、聳え立つ大巨人が出現した。



「うおおおお!やっぱでっけーーーー!格好良い!でも何なんだこの名前は!!」

「良い!強そう」


 全体像を見るためにちょっと後ろに下がった。


「惚れ惚れしますな~!でもカロリーゼロって名前は力が抜けるから、やっぱ『ゴーレム』って呼ぼう。誰だよこんな変な名前付けた奴!」

「ゴーレム?・・・うん、良いかも」


 石とか鉄みたいな硬い鉱石で作られた感じの、ゲームとかに出てくるゴーレムそのまんまの見た目だ。


 しかし健康に良さそうな名前だな。

 たしかにカロリーが無さそうな顔はしてるけどさ・・・。


 まあそれはいいや。とにかく自分専用のロボットが手に入ったのですよ!こんなの男の子全員の憧れじゃないっスか!!


「タマねえ、コイツに乗るぞ!!」

「どうやって?」

「えーと・・・、ゴーレム!肩の上に乗りたいから、右手を出して掌を上に向けて欲しいんだ!」


 ゴーレムが地面に片膝をついて、右手を地面に差し出してくれたので、その上に乗った。


「僕が落ちないように、そのままゆっくり左肩まで運んでね」


 脳内イメージが伝わったようで、思い描いた通りに行動してくれた。

 そして大巨人の手から肩に飛び乗る。


「次は左手を出して、タマねえを右肩に乗せて!」


 ゴーレムは言われた通りに動き、タマねえを右肩に乗せた。


「よっしゃー、良い感じだ!じゃあ、ボク達が落ちないようにゆっくり立ち上がってみて!!」


 ゴーレムが立ち上がる。


「うっひょーーーーーーーーーー!結構たけーーーーーーーーーー!!」

「うわーーーーーー!思ったよりも高い!!」


 たぶん身長は4メートルってとこだと思うんだけど、4メートルって地味にすげー高いんだな!落ちたら怪我するぞこんなん。


「タマねえ、大発見だ!ゴーレムの体の出っ張りのとこに掴まれるよ!」

「出っ張り?・・・ああ、これは掴まりやすいかも!」


 この大巨人は本当にゴーレムって風体なので、ツルツルした感じじゃなく、城壁みたいなボディーなのだ。出っ張りや凹み部分が結構あって、意外とガッシリ捕まることが出来る。そして足場も平らなので、これなら滑って落ちることも無い。



「じゃあちょっと歩いてみようか!」



 操縦者の命令に従い、大巨人が動き出す。


 ガシンッ! ガシンッ! ガシンッ! ガシンッ!


「うおおおおおおおお!ド迫力すぎる!!」

「これは強い!好き」


 しかしここは森の中の少し広いだけの場所なので、何歩か進んだ程度でUターンして最初の場所まで戻って来た。


「もっと広い場所じゃなきゃダメだね」

「うん」

「とりあえずもう十分満足したから、乗った時みたいに手で降ろしてー!」



 ゴーレムは細心の注意を払って、二人を地面に降ろしてくれた。



「いや~、楽しかったーーーーー!巨大ロボ最高!!」

「そろそろ帰る?」

「うん。じゃあゴーレム、また近いうちに遊ぼうね!バイバ~イ」



 大巨人を謎空間へと送り返した。



「よーし、パンダちゃん号に乗って帰るぞー!屋敷までだけど」

「パンダ一番好き!」


「行きます!パンダちゃん召喚!」


 シュッ


 目の前に愛くるしいパンダちゃんが出現した。



「お帰り~!」

「パンダちゃんお帰り~!じゃあ屋敷まで背中に乗せてってくれる?」


『ブモ』


 パンダちゃん号が乗りやすいように地面にへにゃっと伏せてくれたので、二人とも乗車した。ってか伏せのポーズもクッソかわいいし!


「やっべー、もうこれだけでめっちゃ幸せ!」

「ずっと一緒に暮らしたいくらい好き」


 おお~っ!パンダと一緒にずっと暮らすとか最高じゃん!!

 でも家でペットを飼っていいか、みんなに聞かなきゃだよな・・・。

 とりあえず帰ったらお母さんに聞いてみよう。



 パンダちゃん号がのっそのっそと森の中を歩いて行く。



「うん。想像はしてたけどあんまり速くないね。っていうかめっちゃ遅いね」

「かわいいから全部許す」


 デパートの屋上とかにある動物乗り物みたいな速度だ。

 なんかBGMを流したくなるね。



 ―――その時、パンダちゃんが何かを見つけた。



『ブモ?』


「ん?どうした?パンダちゃん」

「なんか、あっちの方見てるよ?」


 タマねえが右前方を指差した。


 ・・・・・・別に何も無くね?魔物が出たとかそういうのじゃなさそう。



『ブモーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!』


 ドデデデデデデデデ


「にょわ~~~~~~~~~~~~~~~~~!!」

「えーーーーーーーーーーーっ!?なに??」


 突然パンダちゃんが急加速!(当社比)

 右前方を目指して走り出した。



 ドデデデデデデデデ ピョーーーーーーーン!



「にょわ~~~~~~~~~~~~~~~~~!!」

「飛んだーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」



 バッシャーーーーーーーーーーン!!



「どわああああああああ~~~~~~~~~!!」

「わぷッッ!!」



 パンダちゃんはそのまま水溜まりへとダイブ。

 ショタとタマねえは投げ出され、パンダちゃん諸共ちょっと深い水溜まりの中へ。



「うヴぁあああーーーーーーー!わぷっ、ぶへッ、何なんだよ一体!?」

「かへッ、うぇええ~~~、水飲んじゃった!」


 パンダちゃんを見ると水溜まりの中でゴロンゴロン転がっており、綺麗だった体は泥にまみれて酷いことになっていた。


「マジで何なの!?どうして水溜まりに突っ込んだ!?」

「わかんないけど・・・、なんか楽しそうにしてない?」


 見るとたしかに泥にまみれて喜んでるような気がする。

 パンダちゃんって泥とか好きなの!?



「あーーーっ!魔物と戦ってる時あんなのいた!!」



 タマねえが指差してるのは、もちろん泥まみれのパンダちゃんだ。


 ・・・もしかして、体が泥で真っ黒だったから、ストックした時パンダだって気付かなかったんじゃね?ってか、たぶんそうだよ!!



 ―――しばらく泥遊びしていたパンダちゃんが、満足して帰って来た。



「それで、どうして水溜まりに飛び込んだの?」


 タマねえから質問が来たので、パンダちゃんに聞いてみる。


『ブモ』


「どうしても我慢出来なかったそうです。気付いた時にはすでに水溜まりに飛び込んでいたみたいですね・・・」


「もしかして、パンダに乗ってたら、この先もこういうことがありそう?」


 パンダちゃんに聞いてみる。


『ブモ』


「本人は気を付けるって言ってるけど、これは本能的なモノだと思うから、正直まったく信用出来ないですね」


 かわいいパンダちゃんに、まさかこの様な欠点があったとは・・・。

 これじゃあ乗り物としては使い物にならないでしょう。そもそも歩くの遅いし。



 結局、泥まみれのパンダちゃんは謎空間に送り返し、屋敷の裏の小川で泥を洗い流してから、二人はびしょ濡れのまま家に帰って行きましたとさ・・・。

 

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