第63話 召喚獣の中にビックリなのがいた
召喚獣リストの『レンクル』の次に表示されているのは、『テンデリオノウサス』って名前の魔物だ。
鳥以降の魔物は、戦闘中だったから急いでいたのもあって、どういう順番でストックしたのか全然覚えてない。正直、名前と顔を一致させるのが大変そう。
「『テンデリオノウサス』召喚!」
シュッ
姿を現したのは、身長が2メートル以上ありそうな黒い魔物だった。
「おお!なんかゴリラみたいで強そう!」
「そういえば、こんなのいた!・・・ゴリラ?」
「え~っと、ボクがいた世界にゴリラって名前の動物がいて、こんな見た目だったの。『~に似てる』とか言った時は、大体ボクがいた世界にいた動物の名前だからあまり気にしないで」
「わかった」
・・・しかしテンデリオって名前を見て、ゴリラを連想できるかなあ?
あーそっか!ゴリラって名前にしちゃえばいいんだ。
ガジェムだって、表示をカブトムシに変えてるしな。
【召喚獣リスト】
・カブトムシ(5)[ガジェム]
・メルドア [メルドアジェンダ]
・レンクル [レンクルミアトン]
・ゴリラ [テンデリオノウサス]
よし、これでいいっしょ!
レンクルはもう覚えちゃったから、レンクルのままでいいや。
「呼び出してすぐだけど、今日は他の皆とも会わなきゃいけないんで消すね!また近いうちに呼び出すから」
『ウホッ!』
「あ、消えちゃった」
「夕食までに帰らなきゃだから、どんどん次に行かなきゃ間に合わないの。落ち着いたらゴリラくんと遊ぼう」
「うん」
次に出現した召喚獣は、巨大な虫型の魔物だった。
「おおおーーーー!でっかいサソリだ!!」
「これも見た!触っていい?」
「いいよ」
タマねえは怖がりもせず、巨大サソリをペタペタ触っている。
さすがタマねえだな。普通こういうのって、もっと躊躇すると思うんだけど。
「硬くてツルツルしてる!かわいい」
「かわいいの!?」
触ってみた。
「あっ、冷んやりしてて気持ち良いかも!ほんとツルツルしてる」
「かわいい。好き」
言われてみると、愛嬌があって可愛い顔をしてるような気がしないでもない。
従順な召喚獣だからそう思うのかな?しゃべらないけどカブトくんも可愛いし。
「決めた!帰りはこの子に乗ってく。いい?」
「いいけど、森だと草木に脚とか引っ掛からないかな・・・。まあ、屋敷までそんなに離れてないから大丈夫か」
タマねえって、珍しい変なモノに乗りたがる習性がありそうだ。
俺はどちらかというとモフモフに乗りたいかな?
サソリくんを謎空間に帰還させた。
そして次から次へと召喚獣を呼び出しては名前を付けていく。
・全長1メートル50センチくらいの『キツネ』が3体
・全長1メートルほどの『ハイエナ』が5体
・全長2メートルくらいある『黒豹』
・脚を広げたら横幅が2メートルにもなる『蜘蛛』が4体
・1メートル20㎝くらいの『狼』が6体
「いや~、結構いっぱい倒してたんだな。他にもまだいるんですけど」
「1体しかいない魔物はみんな強そう」
「あーそうかもね!5体いた『ハイエナ』とかはたぶん強くないと思う」
この中だと『黒豹』に期待かな?いいモフり具合で可愛かったし。
「じゃあ残り二つ、いきまーーーす!」
「かわいいの来い!」
「『ポレフィータ』召喚!」
シュッ
出現した召喚獣を見て驚愕する。
「パンダじゃん!!え?こんなの倒したっけ??」
全然記憶に無いんですけど!!
ストックしまくってる最中に、全方位攻撃で倒してたのかな?あの時すげーバタついてたから。
「おおおおおおーーーー!かわいい!!好き」
「やっべえ!これは強い強くない関係なしに嬉しいかも!!」
『ブモ?』
大きさから模様まで、ほぼパンダです。
あ、でも手先が白い!本物は真っ黒だった気がする。背中の模様とかもちょっと違うかな?こればっか見てると、むしろ本物が思い出せなくなるけど。
触ってみる。
「すんげぇモッフモフなんですけどーーーーー!!」
「かわいい。すごく好き!!」
確かパンダの毛並みは剛毛で硬いとか聞いたことあるけど、うちの子はモフモフのふっかふかです!理想のパンダは此処にいたッッ!!
「の、乗ってみていい!?」
「いい!?」
『ブモ』
パンダちゃんが乗りやすいように伏せてくれた。
ってか『ブモ』って声も可愛いんだよなーーーーー!
「乗っていいってさ!」
「わああああ~~~~~~!!」
二人でパンダちゃん号に乗車してみる。いや、車じゃないけど!
「はにゃ~~~~~、幸せ過ぎて鼻血が出そうです」
「ふわふわ!やっぱりこっちに乗って帰る!」
サソリくん残念!今日の所はパンダちゃん号に譲ってあげて!
パンダちゃんに少し歩いてもらうと、案の定揺れまくりで気持ち悪くなった。
「パンダちゃん、えーと・・・、乗ってる人が揺れて気持ち悪くならないような歩き方の練習をしてみて。揺れが少なく、自分も疲れない範囲で、それでいて速く走れるようになるのが目標だぞ!」
パンダちゃんが少し考えた後『ブモ』っと返事をし、その後どんどん歩き方が上手くなっていった。
「いいね!でも最後にもう一体召喚獣を呼ばなきゃならないから一旦消すよ~。その後でまた呼び出すから!」
「えーーーーー!もう消すの?」
「最後にアイツを呼び出さなきゃさ!」
「あ~、あの大きいやつ?」
パンダちゃん号から降りて、とりあえず謎空間に送り返した。
さてさて・・・。
本日最後にして最大のビッグな御方にご登場願いましょうかね!
夕食までには何とか間に合いそうだな。