表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

59/507

第59話 血生臭い戦場の中心でチョコを齧る女

 ある程度鳥の近くまで近寄ってもらい、メルドアから降りた。


 少し距離があった方がカブトムシアタックの威力が増すから、襲われるほど近くには寄らない。めっちゃ危険な魔物の可能性だってあるからね。



「カブトくん1号!あの飛んでる魔物にヘッドショットだ!!」



 ブブブブブブブブ



 カブトくん1号が、空を飛ぶ魔物に向かって飛んで行く。



 ターーーーーーン!



 頭を撃ち抜かれた鳥が落下し始めた。



「当たった!」

「よしッ!鳥の落下地点まで行ってみよう!」


 しかし簡単だなオイ!

 メルドアや誘拐犯と戦った時はあんなに激戦だったのに・・・。


 いや、スナイパーショタなんだからこっちが本来の姿なんだ。スナイパーのくせに、ほぼ近接戦闘ばっかだったクーヤちゃんサイドに問題がある。



『ガルルルルルル!』


「ん?メルドア、どうしたの?」

「あーーーーっ!泥棒だ!!」


 見ると、落下した鳥に向かって四方から魔物が走り寄っていた。


「ふざけんな!あれはクーヤちゃん自らが撃墜した戦利品だぞ!!カブトくん2号は左の1体、3号4号は正面の2体、5号は右の魔物を攻撃だ!」



 ブブブブブブブブ



 カブトムシ達は、それぞれの攻撃目標に向かって突撃を開始した。

 メルドアには撃墜した鳥の魔物の方に、そのまま向かってもらう。



 ターーーン ターーーン ターーーン ターーーン ターーーン



「よし!全員当たったぞ!」

「ダメ、まだいっぱい来てる!!」

「なんですとー!?」


 見ると、四方どころか四方八方から魔物が寄って来ていた。


 ブチッ


「上等だコノヤロー!鳥に近寄る者には天誅を!!」



 カブトくん達を召喚し直し、視界に入る魔物にどんどん突撃させていく。。



 そういや此処って、魔物がいっぱいいる場所だと紹介されたのを思い出した。



「たしかに魔物うじゃうじゃだわ!」



『オン!』


 最初に撃ち落とした鳥の死体の側に到着した。



「なんか思ったよりデッカイし!」

「おっきい!」


 全長は2メートルほどあり、両方の羽を広げると横幅は3メートルとかあるような、イヌワシみたいな顔をした鳥だ。でも白い頭に胴体は黒っぽい感じの色合いだから、どちらかというと鷹の方が近いのかな?


 おっと、見惚れてる暇なんか無いぞ!


「ストック!」


 地面に倒れて死んでいた鳥が、光を放ちながら消えた。


「よし、捕獲成功!」

「本当!?クーヤすごい!!」


 本来なら召喚獣リストを開いてゆっくり名前を確認したいとこだけど、今はそんなことしてる余裕がない。


「鳥の召喚獣を呼び出すのは、周りの魔物を片付けてからだ!タマねえ、例の武器を出すよ!」

「出していいよ」

「じゃあバール召喚!」


 クソ重いバールなのに、タマねえは余裕でキャッチした。


「魔物を追いかけて倒す必要は無いからね?ボク達は魔物と戦いに来たんじゃなくて、魔物を捕まえに来たんだ。だから危なくなった時だけそれで戦って!」

「うん」


 余裕で会話してるように見えるけど、裏ではカブトくん達による全方位(オールレンジ)攻撃を継続中なので安心して下さい。



 ・・・しかしこんだけ魔物がいても、スタンピードではないのか。最近魔物が増えてるって話だから、それに近いことになって来てはいるんだろうけど。



 ターーーン ターーーン ターーーン ターーーン ターーーン



 しかし終わらんな。


 魔物の死体が増えてるから、血の匂いに釣られて周辺の魔物が集まって来てるんだと思うけど、どんどんストックしていかなきゃエンドレスじゃない?


 いや、でも魔物のストック数に限界があるかもしれんのだし、全部ストックしていいものかどうか・・・。


 やってみなきゃわからないんだけど、雑魚をストックしすぎたせいで、カブトムシやメルドアが消えてしまったりしたら、マジで泣くことになるぞ。


 それに召喚士は、魔物を出せば出すほど維持が大変になって行く仕様だから、烏合の衆じゃなくて質を重視したいんだよね。



 ―――冷静に考えるために、地面に座って座禅を組んでみた。



「・・・・・・散々家電をストックしまくって、すでに召喚獣リストがパンパンのくせに、今更ビビッてどうする!!」



 神が作ったウルトラボディーを信じろ!

 きっと普通の人間よりも高性能なハズ。


 あのファンキー野郎のムカツク顔が脳内にカットインしたが、すぐに嫌なイメージを振り払い立ち上がった。


 やるからには徹底的に魔物を増やしてやるぜ!

 最強召喚士になるか壊れるかの大勝負だ!



「クーヤ、チョコ食べたい」



 タマねえの吐いたセリフにギョッとする。

 こんな血生臭い戦場のど真ん中でチョコを食うんスか!?


 あ、でも『血生臭い戦場の中心でチョコを齧る女』って映画とか作ったら売れるかも。そのタイトル内のギャップが逆に格好良いよね!



「さすがタマねえ!こんな酷い場所でチョコとは!」

「臭いからチョコで誤魔化したい」



 タマねえにチョコを渡した。



「チョコおいしい!好き」

「うん。そういうの嫌いじゃないよ」



 今のタマねえの行動で、決心が固まった。

 最恐コンビはこうでなくっちゃさ!


 タマねえと一緒に、再びメルドアに跨った。



「さっきより重くてごめんね!魔物を全部回収するから、死体の側に近付いて欲しいんだ。急がなくていいんで、ヨロシク!」


『オン!』



 カブトくん達による全方位(オールレンジ)攻撃を続けながら、倒れている魔物の側に近寄って行く。



「いくぞーーーーー!ストックストックストックストックストックストック!」



 がんばれ!ウルトラボディー!!

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ