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クーヤちゃん ~Legend of Shota~ このかわいい召喚士は、地球からアイテムを召喚してしまったみたいです  作者: ほむらさん


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第521話 ロコ姉ちゃんと一緒にクラフターを探す

 実は今日、5人の召喚士達によるカロリーゼロバトルがあるのですが、鍛冶をスタートさせた魔剣組に遊んでる暇などなく、魔法使い達も呪文となる物語を考えることに集中したいようで、とりあえずこの5名は朝から空飛ぶ島に直行です。


 そしてランゴランドンが18匹も獲れてしまったから、アイリスお姉ちゃん、プリンお姉ちゃん、シーラお姉ちゃん、タマねえの4名は、ランゴランドンを捌きまくらなければなりません。


 眼鏡騒動で、ボクとロコ姉ちゃんはクラフター探しすることになったし、悪そうなお兄さんもハンバーガー屋さんのことで今は手が離せません。


 まあ最初の3人が巣立っていくところを見て満足したといいますか、よく知らない召喚士達の晴れ舞台よりも、自分の仕事を優先するってだけの話ですね。


 ただリズお姉ちゃんだけ昨日からカロリーゼロバトルの方を気にしてたから、そっちは彼女に任せようと思います。


 ライガーさんも、リズお姉ちゃんがついてれば心強いでしょう!

 なんかいつの間にか、ライガーさんの助手みたいになっちゃいましたね。


 でもって、あひるちゃんを捕まえてくれたご褒美としてドラちゃんを自由に遊ばせてあげる予定なので、今日はボク抜きでお姉ちゃん達だけ空飛ぶ島に送り出してみようってことになりました。


 ドラゴン乗り場である『ネジポイント』には行かなきゃなりませんけどね。


 正直、ボクに用事がないのに毎日空飛ぶ島とオルガライドの街を行ったり来たりするのは大変だったから、ドラちゃん通信とハムちゃん通信を駆使してお姉ちゃん達だけ送迎できないか、いつか試そうと思っていたのです。


 というわけで、アホ鳥で移動しながらお姉ちゃん達と軽く作戦会議を開き、ネジポイントでドラちゃんを召喚した後の行動を決めておきました。


 何事もなければ、みんなドラちゃんに乗って帰ってくるハズです。



「じゃあドラちゃん、お姉ちゃん達をよろしくお願いします!空飛ぶ島に送り届けたら、夕方まで自由に遊んでていいですからね♪」


『ギュア!』



 お姉ちゃん達を乗せたドラちゃんが、空の彼方へと飛んでいった。



「あとは放っておいても大丈夫な感じ?」

「ドラちゃん通信とハムちゃん通信を使えば、お姉ちゃん達がゴンドラを片付けた後ボクがドラちゃんを消して、そのまま家に帰って来られるとは思いますが、ココから家まで歩くのが大変だから夕方迎えに来るのです」

「帰りの乗り物は必要」

「あ、そっか!」

「トナカイをこの辺で遊ばせておけば迎えに来る必要も無いんだけど、集団で放し飼いにしておくと何が起きるかわからないですからね~」

「そうだね、とりあえず今日のところは迎えに来るってことでいいと思う!」



 初めての行動パターンだから、一気に色々やりすぎない方がいいのです。

 ドラちゃんの方が上手くいったら、次は放し飼い作戦かな?


 ちなみに今ココにいるのは、ボクとタマねえとロコ姉ちゃんの三人です。


 街の外に出たからタマねえも護衛について来ましたが、大奥で魚を捌かなければならないので、西門まで戻ったら二手に分かれる予定です。


 とても過保護なタマねえですが、オルガライドの街の中なら仲間が一人ついてれば安全だって考えになったらしく、今日はロコ姉ちゃんと二人で行動しますよ!



「よし!ボク達はクラフター探しなのです!」

「露天を見て回るってことは、中央区に行かなきゃだね~」

「クーヤの護衛は任せた。タマは大奥に帰らないと」

「うん、任せて!」



 というわけで、西門でタマねえと別れ、ボクとロコ姉ちゃんはアホ鳥に乗ったまま中央区に向かって行きました。


 大通りを進んでいくと串焼き肉の良い匂いがして、最初の露店が見えた。



「残念ながら、今日は串焼き屋さんに用は無いのです」

「この辺にアクセサリー屋さんってあったっけ?」

「南区から中央区に向かえば、すぐアクセサリー屋さんがあったと思うのですが、西区方面は食べ物屋さんばっかりだったかも・・・」



 ガールハント時代を思い出しますなあ。


 あの頃は露店に命を懸けてたから、『ここは何屋さん』ってしっかり把握してたんだけど、例のお化け屋敷があるのは南区なんですよ。


 西区に住むようになってからは、露店で何か買うってことが少なくなったので、利用しない露店なんかは基本的にスルーしていて覚えてないんですよね。


 儲けてる人は場所代を多く払って中央広場周辺に移動したりするから、少し見ない間に露店が消えてたりしますし、そもそも西区や南区寄りで露店をやってる時点で不人気店なのです。


 まあそれでも商品の値段を下げて頑張ってたりもするから、お金の無い人が狙うのはギリギリ及第点って感じの不人気店だったりもしますが。



「アクセサリー屋さん発見!」

「お客さんが何人かいるから、いなくなったら話し掛けよう!」



 ボク達は商品を買いに来たわけじゃなくて、目薬の入れ物を作ってほしいと依頼しにきた変な客ですので、商売の邪魔をしちゃいけないのです。


 人がいなくなったので、アクセサリー屋さんのおっちゃんに話し掛けた。



「「こんにちはーーーーー!」」


「おう!ずいぶんと可愛いお客さんだな。もしかしてデート中か!?その年で彼女がいるとはやるじゃねえか!」

「きゃーーーーー!クーヤちゃん、彼女だってさ!」

「そう思われたってことは、ロコ姉ちゃんも子供と認識されてません?」

「エエエエエーーーーー!?全然子供じゃないし!」


 しかしこのおっちゃん、たった一言で場を盛り上げるとは流石プロですな!


「これ全部お兄さんが作ったアクセサリーなんですよね?やっぱり職業はクラフターなのですか?」

「ぶはッ!こんなおっさんをお兄さん呼ばわりとは、なかなか見所のある子供じゃねえか!ああ、俺の職業(クラス)はクラフターだぞ!」

「おお!やっぱりクラフターなんだ!えーとですね、実はアクセサリーを買いに来たんじゃなくて、作ってほしい物があってクラフターを探していたのです」

「作ってほしい物?それって今すぐ作れそうな簡単な物なのか?」

「えーとですね・・・」



 目薬の容器を絵に描き、外側から中の液体の量を確認することができて、液体が一滴だけ出せるように作って、それをたくさん量産してほしいと説明した。



「うーむ・・・、作れないことはないと思うが、今すぐ作るのは無理だろうし、仕事があるからそればかり何個も作ってる時間は無いなあ。すまん!」

「そっかあ。残念ですが、仕事が忙しいんじゃしょうがないです」

「クーヤちゃん、店が潰れそうで暇そうな人を探した方がいいかも!」

「なるほど~。人気店じゃダメかもですね」



 普通の店と違い、露天商は余裕が無いから露天商なのであって、稼げてる仕事を優先するのは当たり前なのだ。断ったおっちゃんは何も悪くないです。


 よくわからん仕事に集中するとなると、その間に客離れが起きてしまう可能性もあるから、この依頼を引き受けるのって博打なのかもしれません。


 仕方なく他のアクセサリー屋さんで交渉するもすべて断られ、気付いた時にはお昼を過ぎていたので、ロコ姉ちゃんと中央広場で串焼き肉を食べながら休憩です。




 ◇




「こんなに上手くいかないとは思わなかったーーーーー!」

「クラフターは何人も見つかったのにね~。露天商って忙しすぎるのかも」

「今の仕事が上手くいってるから博打はできないって感じですよね。すなわちボク達が求めてる人材は、商品が全然売れなくてもう後がない死にかけの人です!」

「そんな人いるのかな~?」

「露店がダメだったら雑貨屋さんを攻めるしかないですね」

「そうだね。むしろ最初から雑貨屋さんに行った方がよかったかも」



 でも何となく露天商の方に運命を感じるんだよな~。

 南区の方にいけば、きっと瀕死の露天商が見つかるハズ!


 というわけで進路を変え、今度は南区に向かってクラフターを探し始める。


 でもやっぱり人気店にはすべて断られ、気付いた時には結構南の方まで来てしまっていました。このままじゃ例のお化け屋敷に到着してしまうのです!



「クーヤちゃん、あれを見て!」



 ロコ姉ちゃんが指差した方を見ると、アクセサリーやよくわからない人形を売っている、なんかボロくさい露店がありました。


 若い女性が店主なのに客は1人もいなく、もはや表情は虚無って感じで、見ているだけで悲しい気持ちになってきました。



「アレこそまさに、ボク達の求めていた露店じゃないですか!」

「行ってみようよ!あの人ならきっと作ってくれるよ!」



 露店を見ているうちに、お化け屋敷に住んでた頃の記憶が蘇ってきました。


 そういえば、あの頃から虚無お姉さんの露店があったかも!

 そして、いつ見ても客が1人もいなかったような気がします。


 あの人、よく今まで生きてたな・・・。

 

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