第510話 あひる
ハンバーガー屋さんを出て大奥に帰って来ました。
真っ直ぐ1階リビングに入ると、すでに帰宅していたリズお姉ちゃんとプリンお姉ちゃんがソファーでくつろいでました。
「・・・お?帰って来たか!」
「お帰り!良い食器は手に入りましたか?」
靴を脱いでリビングに上がった。
「最高の食器を大量に手に入れたよ!」
「今日も地獄だったぜ・・・。しかも超眠い」
「お風呂に入るまでの我慢だよ」
「大掃除映画も撮ってきたから、夕食の時見せる」
「そっちはどうだったの?」
「あ、そうそう!一体誰が来るのかと思ったら、『黄金の左足』の奴らだった。まああいつ等なら大丈夫だろ。バッチリ引き継ぎ完了だ」
「なかなかの実力者達でしたね。問題ないと思います」
「黄金の左足かー!ギルド行ってねーから久しく見てないな」
「にゃはははは!なにそのサッカー選手のキャッチコピーみたいな名前!」
「サッカーって何だ?」
「野球みたいなスポーツで、サッカーっていうのがあるのですよ」
「ほほう!それも気になるな」
冒険者チームの名前なんだと思うけど、『突撃もふもふ隊』といい『ホニャ毛』といい、オルガライドの冒険者ってみんな変なネーミングセンスで面白すぎ!
「それってチーム名でしょ?なんでそんな名前にしたんだろ?」
「昔は違う名前だったんだが、リーダーのグリーブがぶっ壊れて修理に出したら、左足だけ金色になって返ってきたらしく、もちろんギルドにいた全員が大爆笑だ!んでしばらく盛り上がってたら、『黄金の左足』ってチーム名に変わったんだ」
「「あーーーーっはっはっはっはっはっはっはっはっは!」」
なにそれメッチャうける!すごくノリのいい人達だね!
「さて、食器棚に今日の戦利品を入れるよ!」
「オーーーーーーーーーー!」
「どんな食器を持ち帰ったのか気になるので手伝います」
「ポットにお湯入ってるわよね?」
「あのオシャレなカップを試すつもりっスね!?」
「えーと、満タンですね。ボクもコーヒー飲もっと!」
「わたしも!」
というわけで、お姉ちゃん達が戦利品のお皿や小鉢なんかを食器棚に入れていき、ボク達はオシャレなカップでコーヒー&紅茶を飲んでみることに。
「美しいカップで飲む紅茶・・・。いつもより美味しく感じるわ!」
「わかるっス!」
「これは優雅」
「お客さんが来た時にこれを出したら、きっと感動するのです!」
「家に帰って戦利品を渡したら、ウチのお母さんも喜びそう♪」
いい時間だったので、優雅にコーヒー&紅茶を飲んでから夕食を頂き、うたた寝しかけていた寝不足組を叩き起こしたりしつつ、大浴場に向かった。
どうも一度大浴場を体験すると毎日入らずにはいられない体になるらしく、今日もレミお姉ちゃん親子だけじゃなくモコねえもやって来て、ハムちゃん風呂でリリカちゃんと大騒ぎしていました。
そして風呂上がりの乳飲料ですが、昨日みんなで作った新製品が三つ増えたので、見た目は黄色くて丸いくせにバナナみたいな味の果物で作ったバナナ牛乳を選択。
ゴクッ ゴクッ ゴクッ
ぷはーーーッ!
「これもメチャメチャ美味しいのです!」
「うん!すごくおいしーーーーーーーーーー!」
「いちご牛乳に匹敵する美味さっス!」
「これだけ種類があると目移りしちゃうわね~♪」
「ソフトクリームもあるから、やっぱ多くても二杯までだよな」
「ガラス冷蔵庫も増えたし、三杯飲んでもいいんだろ?」
「半分くらい余るから大丈夫ですよ。夜中にトイレ行くことになるだろうけど」
「私もあの素敵なカップでコーヒーを飲むつもりだから三杯ね」
「二杯も三杯もそんな変わらんだろ。全員トイレ地獄だ!」
「それにしても、大勢で大浴場に入るのって、こんなに楽しかったのね~♪」
「大浴場に入り始めてから身体の調子が良くなった気がする」
「毎日絶好調にゃ!」
「素晴らしいじゃない♪」
お?ピコねえが女神の湯の秘密に気付いたのかも。
でも、ぺち子姉ちゃんはたぶんまったく気付いてないな。
とまあ、いつものように大盛況だったわけですが、寝不足四人衆はすぐに限界がきて、くつろぎタイム序盤で力尽きました。
さあて、明日はリリカ島で魚貝類集めなのです!
ママさん達のお料理教室を盛り上げるため、いっちょがんばりますか~。
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今日から魔法教室が再開されるので、ベレッタお姉ちゃんとナナお姉ちゃんとミルクお姉ちゃんの三人を空飛ぶ島の魔法屋さんに送ったあと、ハンバーガー屋さんで使う皿なんかを頂きに食器屋さんに入った。
悪そうなお兄さんが街の掃除屋さんの仕事っぷりを褒め称えたあと、その美しい食器を吟味しながら量産型の皿をメインに回収。個人的にもいくつか欲しいと許可を願いましたが、みんな持ち帰っていたのでもちろんOKです。
そして食器の回収が終わり、魔法使いチームだけ残して、ドラゴンに乗ってリリカ島に向かいました。
「ボク達は、お料理教室で使う魚貝類を集めに来たので協力しますが、悪そうなお兄さんは別行動って感じでいいですよね?」
「そうだな。俺はラグナスレインの屋敷に土産を持ち帰りたいから個人で動く。釣り竿だけ貸してくれ」
「いいぞ!」
悪そうなお兄さんに釣り竿を渡した後、ボク達は釣りチームと貝集めチームの班分けをしました。
当然ながら、釣り適性のないボクとロコ姉ちゃんは貝集めチームで、今回はプリンお姉ちゃんもこっちに参加することになった。
二手に分かれ、貝集めチームは岩場に移動。
「思った以上に貝まみれなのですね」
「岩場ってかなり広いですしね~。何度か来た程度ですから全然減った感じがしないのです。でも手が届かなくて諦めた貝が結構あるから、獲れるようでしたらプリンお姉ちゃんにお願いするのです!」
「任せて下さい!」
もう貝集めのベテランの風格が出てきたボクが指揮を執り、ロコ姉ちゃんとプリンお姉ちゃんと三人で貝を獲りまくる。
貝にも美味しいのとイマイチなのがあるので、不評だった貝はスルーして、美味しい貝だけ狙ってゲットしまくりです。
しかしこう見えて貝集めも結構大変で、1時間くらいがんばって腰が痛くなってきたから、上が平らな大きな岩に乗って休憩。
波の音を聞きながら、透き通った青い海を見る。
でも海とか川とか見る時って、つい魚を探してしまいません?
「本当に美しい海ですよね~♪」
「天気も良いし最高だよ!」
「・・・ん?」
なんか遠くに白いのが浮いているのを発見。
「なにあれ!?」
白いのを指差すと、お姉ちゃん達もそっちに目を向けた。
「何なのでしょう?」
「遠くてよくわかんない」
三人でジーっと見ていたら、こっちに向かって来ているのか少しずつ大きくなってるのがわかった。
「なんかモコモコしてない?」
「動物でしょうか?」
「もしかしたら魔物かも!」
そしてとうとう、白いヤツの正体が判明した。
「わああああ!あひるだ!クチバシが黄色いのです!」
「あひる??よく分らないけど鳥っぽいですね」
「ねえアレさ、実は結構大きくない?」
「デッカイかも!ボク達三人で乗れるかもしれない!」
キングサイズのあひるだ!生きてるスワンボートなのです!
うおおおお!アレは絶対欲しい!!
カブトムシを5体召喚し、頭の上でホバリングさせた。
「こっちに気付いたようです!」
「向かって来たよ!どうする!?」
ターーーーーン
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
スナイパーショタの狙撃が成功し、あひるがぐったりした状態で血を流して海にぷかぷか浮いてます。
イカン!最悪な景色になってしまった!
あひるを救出するため、グリフォンを召喚して、プリンお姉ちゃんに鞍を装着してもらった。
バサッ バサッ バサッ
「ストック!」
シュッ
「よっしゃ!あひるゲットーーーーーーーーーーーーーーー!!」
「「おおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーーーーー!!」」
棚ぼたでメッチャ可愛いのをゲットしてしまいました!
すごく嬉しいかも!あひるボートですよ!!
貝集めしなきゃだけど、こんなの乗って遊ぶしかないでしょう!
テンション上がってきたーーーーーーーーーー!!




