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第504話 国へ帰る?いいえ、新婚旅行なのです

 ベレッタお姉ちゃん、ナナお姉ちゃん、ミルクお姉ちゃん、ティアナ姉ちゃん、レミお姉ちゃんという、少数精鋭の最強メンバーが勢揃いし、とうとうハンバーガー屋さんの建築が始まりました。


 悪そうなお兄さんが集めてきた瓦礫の山を使って家を建てるわけですが、元々あった家の情報を元に、水道管や下水道を破壊しないよう繊細に攻めなければならないので、いきなりドッカンドッカン派手にいくような感じではなく、見ていて面白くはないですね。


 どちらにせよ魔法使いでもない野次馬など邪魔でしかないので、作業がある程度進むまでは見ていてもしゃーないってことで、大奥の前まで移動し、何をして暇潰ししようか話し合う。



「ん?」

「あ、マグロのおっちゃんだ」

「メルさんも一緒だね」

「もしかしてウチらに用事か?」



 トナカイに乗ったマグロのおっちゃんとメルお姉ちゃんが、大奥の前までやって来たのですが、そのオシャレな建物を見て、思わずトナカイから飛び降りた。



「なんだこの美しい建物は!?」

「わああああ!なんてオシャレな家なの!!」

「格好良いだろ?アタシらの家だぞ!」

「こんな家に住んでいたとは・・・」

「前回来た時、こんな家無かったと思うのですが」

「少し前に完成したばかりだからね♪」

「マグロのおっちゃんとメルお姉ちゃんがウチに来るなんて、すごくめずらしいのです!ボク達に用事かな?」


 二人がボク達の方を見た。


「今日ハイドリムドに帰るから知らせに来た」

「あまり待たせると王妃様に叱られてしまいますから」


「「な、なんだってーーーーーーーーーー!?」」


 そっか~。かなり長い間滞在してたし、そろそろだとは思ってたけど。


「本当はもう少し早く帰るつもりだったのだが、カロリーゼロを倒す為の筋肉審査があっただろう?その結果を見届けてから王妃様にお伝えするべきだと判断して、馬車の仕上げをしつつ様子を窺っておったのだ」

「昨日の夕方、カロリーゼロを動かすところをあの三人に見せていただきました」

「おーーーーー!とうとう召喚士(サモナー)の実力を見ちまったか!」

「もうすでにカロリーゼロを自由自在に遠隔操作出来るようになっていて、驚いたと同時に感心したぞ!」

「これからは召喚士の時代なのです!またいつか魔物のスタンピードが発生したとしても、カロリーゼロ持ちの召喚士達が街を守ってくれるのです!」

「素晴らしいですね。本当に頼りになると思います」

「まあとにかく、そんな凄いのを見てしまったわけだから、一刻も早くハイドリムドに帰って筋骨隆々の召喚士(サモナー)を招集し、パンダ工房に向かわせなければならん」



 ハイドリムドはついこの間反乱があったばかりだから、これから戦力の要となるであろう召喚士をいっぱい雇って筋肉神に鍛えてもらうことで、戦力を強化する必要があるのです。


 カロリーゼロ持ちの召喚士が10人もいれば、お城の防御力がとんでもなく上がるでしょうから、マグロのおっちゃんとしても最重要と判断したのでしょう。


 買いまくった古代の武器もあるし、古代の聖書もあるし、とんでもないお宝がこれほど大量にあると、むしろ早く帰りたくてしょうがなかったと思う。


 ・・・あ、『聖なる水』の樽も二つ渡さなきゃ!


 というわけで、マグロのおっちゃんとメルお姉ちゃんが、建築中のお姉ちゃん達にハイドリムドに帰ると報告し、感謝しながらお別れした。



「じゃあパンダ工房に向かって、ハムちゃんにいっぱいお土産を詰め込んでから馬車に乗って、護衛の召喚獣に囲まれながら出発って感じかな?」

「よろしく頼む!」

「宜しくお願いします!」

「よし、アタシらもパンダ工房に出発だ!」


「「オーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」」




 ◇




 パンダ工房の入り口で待っていたベイダーさんとライガーさんと合流し、ジャーキーとバッファローの肉の塊を大量にハムちゃんに詰め込んでから、古代の武器もすべて詰め込んだ。あと聖書もですね。



「そしてこれ!『聖なる水』二樽です。王妃様に届けてください!」

「確かに受け取った」

「お宝まみれなのに、王妃様はこれが一番喜びそうですよね・・・」

「間違いないな!」


「「わっはっはっはっはっはっはっはっはっは!」」


 聖なる水二樽もハムちゃんに詰め込んだ。


 最後に普通の水が入った樽と旅の食料もたっぷり詰め込んだので、これでもう安心して旅ができるでしょう!


「トナカイをリフレッシュさせるのです」


 マグロのおっちゃんとメルお姉ちゃんの専属トナカイを再召喚し、ツヤツヤのピカピカにしてから、パンダ工房の入り口に停めてあった馬車にセットした。


「このまま西門から外に出て、門兵が見えなくなったら、そこで護衛の召喚獣達を呼び出しますね~。二人は馬車でボク達について来てください」

「了解した!」



 無駄に大人数なので、大名行列ですか?って状態で西門に向かい、豪華な馬車に驚かれつつも揉めることなく街の外に出ることができた。


 そしてしばらく進んだ後、西門が見えなくなったところでストップした。



「それでは護衛の召喚獣を出しますので、みんな馬車から離れてください!」



 何人かがナメた離れ方をしたのでハゲヅラをかぶって一喝し、十分なスペースができたところで、馬車の周囲を蜘蛛まみれにした。



「「ぶほッッッ!!」」



「なんじゃこりゃあああああああああ!!」

「地獄の馬車じゃねえか!」

「悪魔の馬車だよ!」


「おいクーヤふざけんな!!これじゃ次の街を突破するのも不可能ではないか!」


「にゃはははは!一度悪魔の馬車にしてみたかったのです!」



 蜘蛛を全部消し、代わりにトラとライオンを5体ずつ出すと、禍々しかった『悪魔の馬車』から『強そうな馬車』に変化した。


 一発ギャグのために離れさせていたみんなを馬車の周りに呼び戻す。



「ふむ。これならまあ大丈夫か」

「これはこれで怪しい馬車ではあるけど、事情を説明すれば街や国境を突破出来るんじゃないか?」

「護衛の召喚獣(サモンビースト)も強いのが10体だし、盗賊に襲われる心配もないと思うぜ?」

「クーヤちゃんの召喚獣(サモンビースト)だから、魔物だった頃よりすごく強くなってるし、20人くらい余裕で返り討ちにするんじゃない?」

「頼もしい限りだ!」


 よし、こんなもんかな?

 たぶん大きな忘れ物は無いハズ。


「寂しくなるね~」

「どうせすぐ王妃様に送り帰される気がするから、たぶん帰国して一ヶ月もしないうちにオルガライドに来るのです」

「それな!!」


「俺もそんな予感がしている。ライガーさんの元に召喚士(サモナー)を連れていけと言われそうな気がしてならん・・・」

「そうなったら私もお供しますから安心して下さい!」


 王妃様のことだから、大量のお土産に喜ぶだけとは思えないですよね!

 大金を持たせて、もう一度ミミリア王国に行かせるに決まってるのです。


「じゃあもうお別れって感じじゃないね!いってらっしゃーい!」


「「いってらっしゃーい!」」



「馬車を揺らしまくって壊さねえようにな!」



 レオナねえの一言を聞き、首を傾げた新婚夫婦だったが、意味を理解して顔が真っ赤になった。



「ば、馬車を揺らすっていうのは・・・、はわ、はわわわわわ!!」

「おいコラふざけるな!変な空気になるだろが!!」


「ゆっくり新婚旅行を満喫してくださいなのです!」

「お二人さん、お幸せにーーーーーーーーーー!」

「ねえママ、なんであの馬車揺れてるの?」

「子供は見ちゃいけません!」


「もうそれ以上言うんじゃねえええええーーーーーーーーーー!!」



 顔を真っ赤にしたマグロのおっちゃんがトナカイに合図し、新婚さんを乗せた馬車はハイドリムドに向かって爆走していった。


 ゆっくり旅を満喫しなさいって言ってるのに、せっかちな新婚さんなのです。

 

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