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第482話 アパートに便器くんを設置しにいく

 

 タンッタンッタンッタンッタンッタンッ


 完成間近のアパートに便器くんを設置するため、っていうか単純にアパートの様子を見たくなったから、レオナねえ達も回収してみんなで見に行くことになった。


 そしてレミお姉ちゃんですが、当然のようにクーヤちゃんをぎゅっと抱きかかえる二人乗りを選択しました。わかってたから、それはまあいいんですけどね。



「この鳥の乗り物すごく好きかも♪」

「ボクも気に入ってるから、しばらく愛用するのです」

「アホっぽい感じがいい。本気の走りはこんなもんじゃないけど」



 レミお姉ちゃんの家からパンダ工房まではまあまあ近いので、ほどなくパンダ工房の前に到着。


 タマねえと二人で、召喚士三人が訓練をしている裏庭まで移動した。


 雨が降ってなければ基本的にここで訓練するそうです。理由はもちろんカロリーゼロとのバトルが野外だから。少し荒れてるくらいの地面で訓練しないと、本番で不覚をとるかもしれないですしね。温室育ちじゃダメなのだ。


 ガギン


「くッ!」


「すぐ体勢を立て直して下さい!カロリーゼロはリズさんみたいに手加減してくれませんよ!」


「手加減してこれかい!」



 おーーーーー!派手にやってますね!


 今はアンリネッタさんがしごかれてるみたいですが、そのすぐ後ろではセシルお姉ちゃんとガストンさんが、ライガーさんの指導を受けています。


 三人の訓練を眺めているレオナねえ達の側まで歩いていった。



「ただいまーーーーー!」


 ボクの声を聞き、お姉ちゃん達が振り返った。


「おかえりー」

「おう!映写機の改造は進んでたか?」

「レミお姉ちゃんはその辺を泳いでる庶民とは格が違います。映写機の改造は少し進んだくらいでしたが、なんとミルラ宝石の記憶の消去に成功していました!」

「おい庶民!道端で泳ぐな!」

「ちょっと待って。記憶の消去ってどういうこと?」

「色付き宝石って赤と青の線が入ってるじゃないですか。彼女はなんと、あれを消去して透明なミルラ宝石に戻してみせたのです!」


「「な、なんだってーーーーーーーーーーーーーーー!?」」


「本当に!?一つのミルラ宝石を何度も再利用できるってことなの?」

「うん!」

「すげーじゃん!あの人マジで天才だな!」

「ちょ、ちょっと待って!それってもしかして、この腕輪に記憶した魔法も消せるんじゃ!?」

「あ~~~、サイズ調整だけで簡単にできるんじゃないでしょうか?」

「すごい!記憶する時、詠唱に失敗しても取り返しがつくんだ!」

「ベレッタお姉ちゃんも大喜びだよ!あとで知らせてあげなきゃ!」



 なるほど~。そっちにも繋がるとは世紀の大発見ですね♪

 レミお姉ちゃんにお願いすれば、失敗魔法だけ消すことも可能な気がしますぞ?


 ただ最近すごく忙しいから、映写機の改造が終わってからかな。

 丸洗い券が懸かってるので、まずは映写機の改造に集中するハズなのです。



「あ、話してる暇ないんだった!さあみなさん、アパートに行きますよ!」

「それって建設中のアパートのことだよね?」

「アパート?大奥か!」

「そろそろ完成が近いみたいで、業者さんに便器くんの設置を頼まれたから、今からアパートに向かうとこなのです」


「「おおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーーーーー!!」」


「もちろんみんな見に行くよね?」

「行くに決まってるだろ!」

「それはいいんだけど、プリンちゃんは忙しくてちょっと無理かな~」

「しょうがないよ。彼女には明日の朝にでも見せてあげよう」

「ねえねえ、部外者だけど私達も見に行っていいかしら?」

「もちろん構わんぞ」

「やった!じゃあ早くいこ!」


 じゃあ、プリンお姉ちゃんとリズお姉ちゃん以外のみんなで出発かな。


「あれ?悪そうなお兄さんはどこ?」

「ベイダーさんと仕事の話をしてる最中だと思う」

「どっちみち大奥は男子禁制だから連れていけねえぞ」

「いやいやいや、すでに男の業者さんが出入りしてるじゃない」

「む、それもそうか・・・。しゃーねえ、完成前だし特別に見せてやっか~」



 悪そうなお兄さんは社長室にいたので、アパートの話をすると、男子禁制と聞いて何だそりゃと呆れていましたが、男子が入れる最後のチャンスってことで、一緒に行くことになりました。


 人数分のコカトリスを所持してませんので、合流したメンバーはいつもと同じようにトナカイに乗り、アパート目指して出発した。


 団体様のお通りに西区の住民達がちょっと騒いでたけど、アパートが楽しみすぎて誰もまったく気にしていませんね。


 そしてとうとう建設中のアパートの前までやって来ま・・・。

 いやいやいやいや!ちょっとお待ちなさい!!



「なんでこっちの家まで解体中なのさ!?」


 我が家じゃないですよ?ボクん()の左隣にアパートと会社を作ってるわけですが、会社の左隣にあった家がボッコンボッコン壊されている最中なのだ。


 ちなみにボクん()の右隣にはタマねえの家があります。


「そっちの土地はママが買収したみたい」


「「なんだってーーーーーーーーーーーーーーー!?」」


「でも本当にお金がピンチになっちゃったから、とりあえずそのまま放置しておくらしいわ。すごい建物が並ぶわけだし、映画制作会社が有名になったら買収が難しくなるだろうから、『動くなら早い方ががいいのよ』ってママが無理したみたい」


 ママさんハンパねーっス!!

 映画館も建設中だってのに、どんだけ金持ってんだ・・・。


 機を逃さず攻めまくる姿を見ていると、恐ろしいほどの経営のプロだってのは間違いないでしょう。なぜ中央区じゃなく西区でこれをやってるかだけ謎ですが。


 ・・・まあそれはいいや。ボク達が見に来たのはアパートの方なのです!


「ずっと気になっていたのですが、建設してる最中って、この白くて薄い壁で外から見えなくするのが常識なのですか?」

「知らん。でもどこかで建設中の建物を見た時はこんな目隠ししてなかったぞ?」

「ウチだけ特別なの?この目隠しのせいで、アパートが完成間近だってわからなかったのです!」

「変なアパートと変な会社だから、突然ドーーーンと出現させて、近所の住民達を驚かせるつもりなんじゃない?」

「もしかしたらママの作戦かも。すごい建物を建設中だって知られちゃったら、土地を買収する時に吹っかけられそうでしょ?」

「なるほど!犯人はママさんでしたか!」


 四方を囲んでボクの家からも見えなくするなんて徹底しすぎなのです!まあ、そのおかげで土地を買収できたようですから、意味はあったんだろな~。


 ヘルメットをかぶった業者さんが立っているので事情を説明すると、サッと横に移動して入り口を開けてくれた。


 関係者以外立ち入り禁止ってヤツですよね?一流の建設会社ってすごいな。

 タモさんの評価を一段階上げ、入り口を(くぐ)ってゾロゾロと中に入っていく。



「「ほわああああああああああ~~~~~~~~~~~~~~~」」



 そこに(そび)え立っている建物を見て、全員が感嘆の溜息を漏らした。


 会社とアパートの中間くらいの位置に入り口があったわけですが、右側に、ボクが描いた絵がそのまま外に飛び出したかのような、オシャレで素敵な格好良いアパートがありました!


 左にある会社の方はまだ建設途中ですが、すでにオフィスエントランスの部分は完成しており、ビョーンと出っ張った屋根の上にハムちゃんオブジェが乗ってます。


 レミお姉ちゃんの専属ハムちゃんをモデルにしたんだと思うけど、本当に素晴らしい出来で、思った以上にかわいいです!


 この可愛らしい会社がまさか便器屋さんだなんて誰も思わないだろな~。



「ヤバい。感動で泣きそうだ」

「アパートも素敵すぎるけど、会社のハムちゃんが完璧だよ!!」

「なにこのすんごい建物!!左がウチの会社で、右がアパートなの!?」

「うん!右のアパートがピコねえの家ってことになりますね♪」

「すげーーーーー!こんなの住むに決まってるし!会社まで徒歩5秒とか笑える」

「っていうか、就職した会社がまだ建設中だったことにビックリよ!!」

「便器屋さんのくせに可愛すぎるにゃ。にゃまいきにゃ!」

「お前らが作るアパートだから変な建物を想像してたが、正直驚いたぞ!クーヤがデザインしたのだろうが、恐ろしいほどのセンスだな・・・」

「オシャレすぎて羨ましいの極致なんだけど!ねえ、早く中に入りましょうよ!」

「そろそろ入ろっか♪便器くんを設置しないと」

「よし、アパートに突入するぞ!」


「「オーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」



 さてさて、外見はバッチリでしたが中はどんな感じなんでしょうね~。


 まだ家具も何も無いからスッキリしてるだろうけど、ボクのイメージを完璧に再現してみせたタモさんを信じましょう!

 

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