第476話 ジャーキーの誓い
助手1号として映画制作会社にスカウトしたピコねえは、なんとラン姉ちゃんとぺち子姉ちゃんの親友でした!
話を聞いてると、この三人はすごく仲が良かったみたいで、ハゲ騒動以外にも色々やらかしてるらしく、思い出話で大変盛り上がってます。
「とりあえず明日ピコねえを映画制作会社の社長の家まで連れてって、助手1号として雇いたいって伝えますが、たぶん一発採用です。でもそっちの仕事が始まるのはもうちょい先だから、それまでジャーキー工房で使ってくださいってベイダーさんにお願いしてみます。短期だからアルバイトですね」
それを聞いて、三人が大きく目を開いた。
「ピコルもここで働くの!?」
「ピコにゃんもジャーキー職人ににゃるにゃか!」
「ハイ!ハイ!質問!仕事内容プリーズ!」
「ジャーキーを作りまくって売りまくるだけよ?でもジャーキーがどれほど高貴な食べ物か知らない雑魚に営業なんて無理だから、最初に作り方を学んでもらうけど」
「そのジャーキーって何?」
「にゃにィ!?この街に住んでてジャーキーを知らにゃいにゃんて、そんにゃ無知無能の恥知らずがまだいたにゃか!」
「そこまで言う!?ちょっと知らなかっただけじゃない!」
「お待ちなさい。ピコルが無知無能の恥知らずだったのは、あたし達が営業に力を入れていなかったせいでもあるわ」
「営業ってランにゃんの仕事にゃか!全部ランにゃんのせいにゃ!」
「なにおう!?」
「どうでもいいけどオマエら無知無能の恥知らずって言うのヤメレ!」
ワーワーワーワー
この三人が揃うと、メチャクチャやかましいんですけど!
プルクックミィの店長がキレた理由が少しわかった気がしますよ?
「はいストップ!助手3号、ジャーキーを持ってきなさい。一度食べれば無知無能の恥知らずじゃなくなるのです」
「助手3号ってあたしのこと?」
「ラン姉ちゃんに決まってるじゃないですか。ぺち子姉ちゃんが助手2号です」
「ウチはハゲ2号だったハズにゃ!助手2号じゃにゃいにゃ!」
「あれ?私って助手1号なんだよね?よっしゃーーー!この二人より格上だ!」
「それって映画会社の助手でしょ?」
「正解です。助手1号2号3号は、映画を作る時に専務をお助けしなければならないので、精一杯頑張ってください。一緒に素晴らしい映画を作ろうではないか!」
「「な、なんだってーーーーーーーーーーーーーーー!?」」
「そんな話聞いてないわよ!ジャーキー工房の仕事で忙しいのに、変な遊びに付き合ってる余裕なんか無いし」
「無知無能の恥知らずが助手1号ってのがにゃっとくいかにゃいにゃ!」
「えええ?そこ気にするの!?」
「ほれ3号、ジャーキーとやらを持ってきなさい」
「やっぱムカツク!何となく1号になっただけのくせに生意気だわ!」
文句を言いながらも3号がジャーキーを持ってきた。
「カチカチなので、繊維に沿って細く引き裂いてから食べてみてください!」
「無知無能の恥知らずさん、こうやって裂くのよ?」
「その呼び方本当にムカツクんだけど!」
無知無能の恥知らずがジャーキーを口に入れた。
むしゃむしゃむしゃ
「!!」
初ジャーキーに衝撃を受けてますね。
「うっま!なにこれーーーーーーーーーー!」
「ピコにゃん、わかったにゃか?これがジャーキーにゃ!」
「やったーーーーー!名前が元に戻った!」
「もう無知無能の恥知らずじゃ無くなったもの。いつまでもそんな面倒臭い呼び方してらんないわ」
面倒臭かったんかい!
「明日からビシビシ鍛えるから覚悟しとくにゃ!」
「ぺち子姉ちゃん、明日は映画制作会社の社長に会わせる予定だから、ピコねえはちょっと遅れますよ」
「初日から遅刻とはやる気あるにゃか!?」
「先輩が理不尽すぎる!!」
「ジャーキーが作れるようになったら営業の方に回してあげるから、先輩にボコられるのは最初だけよ。まあ精々頑張りなさいな」
あとでベイダーさんに、バイトを1人雇ってほしいってお願いしなきゃな~。
「そうそう助手3号、映画に出演するとメッチャ稼げますよ?」
「え?メッチャってどれくらい!?」
「最初はこの街にしか映画館が無い状態だからそこまでじゃないかもですが、それでも主役級なら軽く数百万とか稼げるんじゃないかなあ?人気が出れば一千万超えもあるかも」
「「なんだってーーーーーーーーーーーーーーー!?」」
「正直やってみないとわからないのですが、競争相手がいないから最強の会社になるのは間違いないのです」
「凄いじゃない!ジャーキー売ってる場合じゃないんですけど!」
「でも映画が大ヒットして有名人になると、街を歩くだけでファンに囲まれて大変なことになるかも」
「おおう、デメリットも大きいわね・・・」
「とにかく最強の会社になるのは確定してますから、初期メンバーになっておくってのが重要なのですよ。裏方の仕事なら目立たず稼げますし、関わっておいて損はないでしょう!というわけで、2号と3号も今度社長に紹介します」
助手1号2号3号が満更でもない顔をしてますね。
でも2号と3号はジャーキー工房の中核だから、たまに借りる感じになるかな?
裏方とか言ったけど、泣き虫先生の生徒役で参加させる気マンマンです。
あの映画だけはなんとしても完成させねば!
「そうだ!アホ三人衆が運命の再会を果たしたお祝いに良い物をあげるのです」
「適当にアホ三人衆とか呼ぶのヤメレ!」
「この黄色もかわいい顔して結構辛辣な件」
「良いモノってにゃんにゃ?」
ペカチョウを召喚し、古代の金貨を5枚出してもらった。
「あーーーー!クーヤ氏もこの可愛い動物持ってるなんてズルい!」
「持ってるもなにも・・・」
シーってジェスチャーしたら、まだ内緒ってことを2号3号が察してくれた。
とりあえず三人に金貨を1枚ずつ手渡した。
「これって金貨じゃないの!?」
「なんかピカピカしてて高価そうですよ!?」
「すごいのもらったにゃ!」
「再会の記念品ですから、パンダ工房でネックレスにしてもらうといいかも。でもそれを受け取ったからには、大事な儀式をしてもらいます」
「なによそれ!罠じゃない!」
「金貨を掲げて、三人で簡単なセリフを叫ぶだけなのです」
「ほうほうほう」
「おもしろそうにゃ!」
あの有名なセリフを思い出しながら、ノートにまとめた。
そしてアホ三人衆を引き連れ、ジャーキー工房の外に出た。
「本当は剣を掲げると格好良いのですが、所詮はアホ三人衆ですので、三人で向かい合って金貨を天に掲げてください」
「アホ三人衆って呼ぶな!」
「でもなんか熱いイベントだよ!」
「おもしろいにゃ!」
三人が金貨を天に掲げた。
ノートを広げて一つ頷くと、三人がそれを読み上げた。
「「我ら天に誓う!生まれた日は違えども、死す時は同じ日同じ時を願わん!」」
うおおおお!なんか無駄にすげーカッコイイ!
パチパチパチパチパチパチパチパチ
「ブラボーーーーーーーーーーーーーーー!!」
一度生で見たかったんですよこれ!
ジャーキー屋さんのアホ三人衆だから、『お前らこんなとこで何アホなことやってんだ?』って感じだけど。
「今のメチャメチャ格好良くなかった!?」
「それは認める。でもアンタ達と同じ日に死ぬの嫌なんですけど!」
「シビれたにゃ!!」
三人とも満更でもない顔をしてますね!
「本当は『桃園の誓い』といって、花びらが舞散る場所でやると最高にカッコイイ伝説のシーンなのですが、ジャーキー工房の前でやったので、『ジャーキーの誓い』と命名されました」
それを聞き、アホ三人衆の二人が微妙な顔になった。
「一瞬で格好悪くなった件」
「せめて『パンダ工房の誓い』にしてよ!」
「流石ししょーにゃ!ジャーキーの誓い!素晴らしいにゃ!」
一人喜んでるので決定です!
ジャーキー工房にピコねえを連れて来たら、面白さが2倍に跳ね上がったし!
この二人と親友だったおかげで、ピコねえの捕獲に成功したっぽいですね。
さて、そろそろ筋肉審査の方に戻りますか~。




