第475話 運命の再会ですと!?
街の召喚士達をパンダ工房に招集し、重大発表に続いて筋肉審査をしている最中なのですが、真っ先に審査で脱落したおもしろいお姉ちゃんをコカトリスデートに誘って、名前を聞き出すことに成功しました!
そう、久々にガールハントが成功したのです。
こんな素晴らしい人材をこのまま見過ごすなんてもったいないですからね~。
ピコねえの見た目ですが、身長はティアナ姉ちゃんと同じくらい。茶髪のセミロングで痩せ型。おっぱいはBカップくらいでしょうか?お洒落な服を着ています。
裏庭を一周し、最初に位置に戻ってきたのでコカトリスから降りた。
「ここにいるってことは、ピコねえも召喚士なんだよね?」
「貴様、なぜそのことを知っている!?」
「召喚士を招集したからに決まってるじゃないですか!」
「しまった!これは罠だったのか!」
「でもボクと同じくらい筋肉が無いですよね?やっぱ普通の仕事してるの?」
「バカにしないでくれたまえ!クーヤ氏より圧倒的マッチョですから!ほら!」
ピコねえが二の腕を差し出して触れとジェスチャーしたので、どれほどマッチョなのか触ってみた。
ぷにぷに
「ぷにっぷにじゃないですか。ピコねえに筋肉なんて存在しません!」
「クーヤ氏にだけは言われたくないし!全身ぷにぷにのくせに」
ピコねえに身体中をコチョコチョされた。
「にょわっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!」
「これは癖になる触り心地。ぐっへっへっへっへ」
「えーい、やめるのです!それとボクの質問に答えてませんよ!」
「質問ってなんだっけ?ああ、仕事の話か~。あんなしょうもないウェイトレスの仕事なんか、三日前にヤメてやったわい」
「え?やめちゃったの?」
「ムカツク客が居眠りしてたから、ハゲ頭にお花の絵を描いたらドッカーンと盛り上がったんだけど、店長とハゲが口論になって『お前は何度揉め事を起こせば気が済むんだ!もうクビだ!』とキレ散らかしやがりましてね。超ウケたのに!」
ハゲのムカツク客?それって、ラン姉ちゃんとぺち子姉ちゃんがクビになった時に揉めてた客なんじゃ・・・。
「ヤメてやったって言ってるけど、店をクビになっただけじゃないですか!」
「そんな細かいことはどうでもいいの!問題は、無職になって次の就職先を探さなきゃならないって事実の方だから!」
「ほほう、次の仕事をお探しでしたか・・・。それならいいとこ紹介できるかも」
「え、ほんと!?」
「クーヤちゃんってこう見えて実は、とある会社の専務なのです。秘書はもうタマねえに決まってますので、助手1号としてピコねえを雇ってあげましょう!」
「専務??こんな人類最弱の子供が?」
「専務ナメてると、カロリーゼロのメガトンパンチくらわせますよ!!」
こんな面白い人が無職と聞いては、もうスカウトするしかないでしょう!ウチの会社が求める人材は、仕事が出来るかどうかじゃなく、面白いかどうかですから。
「本当に就職先を探してるから、おままごとじゃ困るんだけど?」
「おままごとじゃないです!ちゃんとした会社だから!給料も適当に出ます」
「適当じゃ困るんですけど!!そもそも何の会社なの?」
「映画制作会社なのです」
「いや、何言ってるのか全然分からないから!」
「さっきみんなで見たヤツです。『筋肉神ハイパーライガー、激闘の記憶』ってタイトルをつけましたが、ああいう格好良い動画を撮って公開する事業ですね」
「あーーーーー!メッチャ凄い会社じゃない!!」
「でもまだ準備段階なので、本格的に動き出すのはもうちょい先かな~」
「え?まだ始まってないの!?それまで無収入はキツいのですが!」
「大丈夫なのです!ボクの近くにいるだけで、なんか勝手にお金が貯まっていきますから」
「もうすべてが意味不明だし、専務が適当すぎるよ!」
まあ、自分のことを専務とか言ってる子供を信じる方がどうかしてますよね。
たしかに意味不明ですし、給料が貰えるかどうかもわからない会社じゃ、他の仕事を探しちゃうような気がします。そもそも会社すら無いから、彼女を繋ぎ止めておく材料が無い!
とりあえず信じてもらうには、やはり社長に会わせるしかないでしょう。
問題は会社が誕生するまでの生活費か~。
「じゃあ明日にでも社長の家に連れてくのです。映画制作会社の仕事が始まるまではボクのお手伝いでもしててください。新人研修ってことで月15万ピリンでいい?」
「15万ピリン!?おままごとで!?」
「おままごとじゃないです!」
「お手伝いって例えばどんな?」
「基本的に遊んでるだけですが、キレイな島で貝を獲りまくったり、ライガーさんに協力したり、廃墟みたいな店を5軒くらい大掃除しまくったり、呪われたダンジョンに突撃したり、外国で誘拐されたり戦争したりする感じですね」
「後半全部地獄なんですけど!!」
「普通っぽい仕事だとバイト代以上に稼げませんよ?」
「やったろうじゃねえか!何でもかかってこいやーーーーー!」
おお、とてもやる気に満ち溢れた新入社員じゃないか!
でも職業補正無しの冒険者稼業は厳しそうだから、少し手加減してあげなきゃね。
「ただしボクの助手1号ともなると守秘義務が発生しますので、あとで誓約書にサインしてもらいます」
「おおう、言われてみるとハイパー師匠ってカロリーゼロ持ちだったし、他にも色々秘密を抱えてる予感がしますのう」
「ところでピコねえ、ハゲと揉め事を起こしたって言ってましたよね?」
「言いましたね」
「ボクの知り合いにも、同じくハゲと揉め事を起こして仕事をクビになった女性が二人いるんですよ。すぐ近くにいるのでちょっと会ってみませんか?」
「こんな所に同志が!?会う会う!」
ピコねえを連れて、ジャーキー工房に移動した。
ガチャッ
「「たのもーーーーーーーーーー!!」」
「うっさいわ!」
大声で存在をアピールしたのに、ラン姉ちゃんはすぐ近くにいた。
「あ、ラン姉ちゃん!ハゲと揉め事を起こして仕事をクビになった同志をお連れしましたぞ!」
「あっ!ししょーにゃ!」
ぺち子姉ちゃんがボクに気付いて向こうから駆け寄ってきた。
「「・・・ん?」」
そしてピコねえの顔を見て二人とも固まった。
「ピコルじゃない!」
「ピコにゃんにゃ!」
「おおーーーーーっ!やっぱりランとペチコだった!」
「あれ?三人って知り合いだったの!?」
「プルクックミィで一緒に働いてたのよ。ほら、あたしがクビになった店!」
「懐かしいにゃ~!」
「あーーーー!三人ともあそこのウェイトレスだったのか!」
ってことは、あのメンバーの中にピコねえもいたのか。
こんなおもしろい人材を見過ごしていたとは不覚!
「突然二人ともクビになったからさ~、本当に寂しかったんだよ!」
「ところで今、クーヤが同志とか言ってなかった?」
「言ってたにゃ!」
「そうそう!この前またあのハゲが店に来て、二人のことを思い出してイライラしたから、居眠りこいてる隙にハゲ頭にお花の絵を描いたら大騒ぎしてさ~、みんな大爆笑したのにクビにされちゃったの!酷くない?」
「「あーーーーっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!」」
このおもしろ三人衆が勢揃いしてた職場ってすごくない?
「あれ?ラン姉ちゃんとぺち子姉ちゃんがクビになった日って、ボクもその『プルクックミィ』って店にいたのに、今日初対面風だったのはなぜ?」
「あ~、その日って休日だったんだよね。次の日二人がクビになったって聞いて、めちゃめちゃショックで泣きそうになったんだから!」
「あたしはペチコのせいで巻き添えになったのよ!あのハゲにセクハラされて言い争ってたら、ペチコがハゲをボコボコにしてさ、まとめてクビだってさ!」
「めんぼくにゃいにゃ」
「しかしまさかパンダ工房で働いてたなんて驚いたし!」
「その黄色いのに連れてこられたのよ」
「ししょーのおかげにゃ!」
「私も黄色にスカウトされたんだけど!もしやこの再会は運命の導き!?」
そっか~、この二人と知り合いだっていうのなら、ジャーキー工房で働いててもらうのもいいかもしれない。
でも彼女は助手1号だから、会社が完成したら引っ張り回しますけどね!