第466話 お母さんがパワーアップするかも!
ライガーさんに召喚士の奥儀を伝授したわけですが、あと何日か自主練してから作戦を開始することに決まりました!
ただライガーさんは意識の共有の特訓をしなければならないので、ボク達の方で筋肉神装備に近い重さのメイスと鎧を用意することになりました。
なぜそれが必要なのかというと、生徒が本物の筋肉神装備を着用して訓練すると、1人育てるのに2~3日掛かってしまうからです。でも普通の武器鎧を着用することで同時に何人も訓練することが出来るのです。
戦闘訓練は基本的に盾の使い方をマスターするのが目的だから、装備の重ささえ一緒ならそれで問題無いのですよ。最終試験は筋肉神フル装備でカロリーゼロの全力パンチを受けなきゃなりませんけどね!
まだナナお姉ちゃん達を迎えに行くには時間が早かったので、ブロディさんの防具屋さんに行ってみることにしました。
「「たのもーーーーーーーーーー!」」
店のドアを開けて中に入ると、お客さんが何人もいて繁盛してるのがわかった。
そういえば最近オシャレ装備が大流行してるんだっけか!
もふもふ隊とホニャ毛がこの店の宣伝してたから、こんな状態になったのかも。
「誰かと思ったらお前らだったか!」
「いらっしゃいませーーーーー!」
ブロディさんはカウンターにいたので、そこまで歩いていった。
隣にいる可愛いらしい女性は、新しく雇った従業員かな?
「重いフルアーマーを買いに来たぞ!」
「見た目は気にしません。重ければ重いほど良いので見せて下さい」
「は??重さ目当てとは、本当に意味不明な客だな!」
ちなみにボク達は遊んでるだけなので全員普通の服装です。店には冒険者達がたくさんいますが、特別目立ってないから誰も注目してませんね。
「重いフルアーマーなあ・・・。アレでいいか。よし、ついて来い!」
ブロディさんが見せてくれたのは、とても頑強そうな鎧だった。
見た目も格好良くて、もう普通に目玉商品って感じですね。
「格好良いな!でもこれじゃ重さが足りないだろうな~」
そう言いながら、リズお姉ちゃんが鎧を持ち上げた。
「なぜ重さを求める?こんな客初めてだぞ!普通逆だろ!」
「筋肉アーマーを見せた方が早くないですか?」
「クーヤちゃん、その辺に出して!」
「今日はお忍びで来たのに、目立っちゃいますよ?」
「別にお忍びじゃない」
ペカチョウを召喚し、筋肉神装備を床に並べてもらった。
「なんじゃこりゃあああああーーーーーーーーーー!!」
その凄まじい装備品を見て、ブロディさんが驚愕した。
「こんな鎧、一体どこで・・・」
ブロディさんが鎧に触れ、目を大きく開いた。
「鋼鉄ではない・・・。もしや噂のミスリル!?いや、ミスリルは鉄より軽いって聞いたぞ?」
ブロディさんが鎧を持ち上げた。
「かなり重いな。ということはミスリルではない??では一体何なのだ!!」
「ブロディさん、『オリハルコン』って聞いたことないですか?」
「オリハルコン?いや、初耳だ。もしやミスリル以上の強度がある鉱石なのか?」
「正解です!でもそれは筋肉神の装備だからあげませんよ?」
「筋肉神?何だそれは!!また変なことを始めたのか!?」
でも防具屋さんですらオリハルコンを知らないとは、希少過ぎて発掘されないうちに忘れ去られてしまった鉱石なのかな?
「とにかく、そいつと同じ重さのフルアーマーが欲しいんだ」
「そんなもんは無い!鉄を分厚くして新しく作るか?」
「頼めるか?見た目はどうでもいいから重さだけ合わせてくれればいい。でも盾だけはメイスでボコボコに殴られても耐えられる強度が欲しい」
「重さを合わせるだけでいいならすぐ作れるだろう。盾も見た目はどうでもいいのだな?」
「ちゃんと盾として機能するのなら表面は塗り壁みたいなのでいいですよ。でも形はその盾と同じでお願いします。んで5セットくらい欲しいの」
「5セット!?まあそういう注文なのだから言われた通りに作るが、かなり鉄を使うだろうから金はかかるぞ?」
「金は大丈夫だ。あ、メイスも頼めるか?本格的なのじゃなくても構わん。持った感じと重さがピッタリなら合格だ」
「防具屋が作ったメイス擬きで構わないのなら作ろう」
「結構急いでるんで、ウチの依頼品を優先してくれるなら金を上乗せするぞ!」
「急ぎの用事なのか!ふむ、まあ何とかしよう」
重さを合わせるために筋肉神装備を置いていく必要があるので、いったん回収して店の奥に移動させた。
「近い内に召喚士を集結させて面白いモノを見せる予定なんで、ブロディのおっちゃんも招待するぜ!」
「はあ??召喚士なんか集めてどうすんだ?」
「その日、歴史が変わることでしょう」
「場所はパンダ工房なのです!」
「パンダ工房?もしやライガーに関係あるのか?」
「それは内緒」
「当日のお楽しみだよ♪じゃあ頼んだね!」
まあ、ライガーさん絡みなのはバレバレなのですが、何が起こるのかはさっぱり読めないでしょうね!メッチャ驚くだろな~。
それからまたパンダ工房に戻り、ブロディさんに防具を注文してきたとライガーさんに報告してから空飛ぶ島へ。
そして神殿大浴場で湯船に浸かりながら今日の出来事を話し、レオナねえ達を回収して我が家へと帰還。
行ったり来たりと、なかなか大変な一日でした!
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どうもリズお姉ちゃんはライガーさんの方が気になるらしく、今日もパンダ工房に遊びに行きました。
まあダンジョンアタックも終わったし、好きに動いて構わないんですけどね~。
魔法使いコンビとエロコンビの修行もあるし、古代人コンビの食事や治療があるから、ボクは空飛ぶ島に通いますが、全員揃ってる必要は無いのです。
というわけで、元気に空飛ぶ島へやって来ました。
いつものように、まずは朝食からスタート。
「もう、ハム水を飲まなくてもよくないっスか?完治したような気がするんス」
「まったくもってチャムの言う通り!女神の湯だけで十分だよね!」
二人をジーっと見つめたけど、まったく目を逸らさなかった。
本当に完治したのかもしれないですね。
「しょうがないですね~。じゃあもうハム水は飲まなくてもオッケーです!」
「「やったーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」」
ワー パチパチパチパチパチパチ!
古代人二人だけが拍手喝采してます。本当に地獄だったのでしょう。
「じゃあもう何日かしたら、ボク達の街に招待します!」
「おお~!とうとう千年後の世界とご対面っスね!」
「すごく楽しみ♪」
「でもマグロのおっちゃんとすれ違いになるかな~」
「あ、それを聞いて思い出した!あの二人に聖書を渡したけどさ、あんなの読めないでしょ?でもベレッタお姉ちゃんってルーン言語が読めるみたいだから、聖書を翻訳してもらえないかなって」
「「それだ!!」」
「聖書の翻訳?・・・ん~、ある程度は翻訳できると思うけど、青二才だから読めない文字もあるんだよね~。それでもいい?」
「「お願いします!!」」
「やった!上手くいけば神聖魔法が強化されるかもしれない!」
「それなら、翻訳が終わるまでマグロのおっちゃんを引き留めた方がいいね!」
「聖書って一般のやつでしょ?たぶん今日中に終わらせられるよ」
「おお、なんと頼もしい!ソフトクリーム係がんばるであります!食べたくなったらいつでもご命令を!」
「それは逆効果っス!」
「「あーーーーーっはっはっはっはっはっはっはっは!」」
というわけで今日一日、ベレッタお姉ちゃんが聖書の翻訳を頑張ってくれることになりました!
もしこれでクレリックであるお母さんの神聖魔法がパワーアップしたら、聖職者達も大騒ぎするとんでも事態になりますぞ!
・・・しかし、ボクだけBL漫画の翻訳だったのが解せぬ。




