第460話 ライガーさんの特訓終了
ウィーーーン
モナカの中をチョコで埋めた後、バニラを二周させ、〆はラフランスだ!
三種類の味が楽しめる最強ソフトクリームを完成させ、自分の席に戻った。
「最強ソフトクリームの完成なのです!」
「あーーーーー!私も次それにしよっと!」
「まだバニラ食べてないから、一周したらそれ作る」
「4個も食べるの!?タマねえ、お腹壊しちゃうよ?」
「私も3ついく予定だよ♪」
「最低でも3種類全部制覇しとかないとだよね~」
「あーーーーーっ!緑が出てこなくなった!」
ミルクお姉ちゃんが右のレバーを引いてるけど、たしかに出てこないですね。
どうやら一番人気のラフランスが尽きてしまったらしい。
「今持ってるソフトクリームを食べ終わったら再召喚して満タンにしますので、とりあえず別のヤツ食べててください」
「うぇえええ!?再召喚したら中身が復活するんスか!?」
「うん。負傷した召喚獣を再召喚したら怪我が治るのと一緒なのです」
「鉄の箱だけど、これって召喚獣らしいよ?」
「え?私達、召喚獣を食べてるの!?」
「うん。全然獣じゃないけど、理屈的には召喚獣なのです」
チャムねえの目の前にハンバーガーを召喚してあげた。
「それも召喚獣だけど、食べたら美味しいし、何度でも復活するのです」
「あ!これって、お肉が挟まった美味しいパンじゃないっスか!」
パクッ ムシャムシャ
チャムねえがハンバーガーを包装紙から出して食べ始めたので、半分食べたところでハンバーガーを消して、もう一度目の前に召喚してあげた。
「突然口の中のパンが消えたんスけど!味も全部!」
「同じように、ソフトクリームマシーンを消した瞬間みんなのお腹の中からソフトクリームが消え去るので、すごく変な感覚になるよ」
「クーヤちゃん、やっぱり意味わかんない・・・」
「だから謎生物なんだよ」
「お腹いっぱい食べても全部無かったことになるから、いくら食べても太らない」
「メッチャ凄くないっスか!?」
「意味不明なのは同意だが、『甘いスイーツは食べたいが太りたくない』っていう女性にとっては最高だろうな」
「「確かに!!」」
「ねね、そろそろいいよね?クーヤちゃん、ラフランス復活させて!」
「あいあいさー!」
ソフトクリームマシーンを再召喚すると、ソフトクリーム二つ分お腹がへっこんだ。モナカって結構お腹が膨れるんだな~。
「口の中の甘さが無くなったけど、満足感は残ってる感じ?変なのーーーーー!」
「ソフトクリームなら無限に食べられるから、終わらないわね。これ」
「けどお腹が冷えるから、みんなほどほどにね~♪」
「「ハーーーーーイ!」」
ボク達だけじゃなく魔法使い三人組もソフトクリームに夢中だから、今日の魔法作りはまったく捗らないですね。
ソフトクリームマシーンは人間をダメにするみたいなので、明日から宝石屋さんにでも設置した方がよさそうです。
ただ、ウチの家族にすぐ披露するかどうかで迷うな~。
リリカちゃんに独占されると、他のみんなが食べられなくなってしまうのだ。
ウーム・・・、こっちが落ち着くまでリリカちゃんには内緒にしておこうか。
とまあそんな感じで、今日はただソフトクリームを食べまくっただけで帰る時間になってしまいました。
ライガーさんの最終試験があるので、恒例の湯治もいつもより早く済ませた。
テーブルの上に二人分の夕食を並べ、明日の朝食のハンバーガーと古代人の大好物であるハム水が入った水筒を置いて、オルガライドに帰還。
なんだかんだで、みんなライガーさん強化計画には興味津々だったので、そのまま真っ直ぐパンダ工房に向かった。
◇
「メガトンパーーーーーンチ!」
ドガッ!
「ぐおおおおおッッ!」
ズザザザーッ
クーヤちゃんロボのメガトンパンチをオリハルコンの盾で受けたライガーさんが、その破壊力で1メートルほど弾かれた。でもなんとか耐えることに成功。
「どうだ?まだ戦えそうか?」
「大丈夫だ!手も痺れていない」
「盾も問題無さそうだぜ」
「でも天使様が攻撃の手を緩めてくれたから体勢を立て直す余裕があるだけです。実戦はもっと激しい戦闘になるでしょうね」
「クーヤに遠隔操作をやめてもらって、素のカロリーゼロと戦ってみるか?」
「しかしクーヤの召喚獣をメイスで攻撃したくはない。何発かパンチを受けるだけにしよう」
「甘い気もするけどしょうがねえわな~」
ボクもライガーさんの召喚獣を武器で殴るなんて絶対嫌だから、気持ちはとてもよくわかります。まあでも実戦でピンチになったら逃げればいいだけだし、生きるか死ぬかの真剣勝負って考えなくてもいいんだよね。
これは殺し合いじゃなく、物理戦闘職でもない生身の人間がカロリーゼロを倒せるかどうかって話なのだ。
「じゃあクーヤ、遠隔操作を解除して普通に俺を攻撃させてくれ。そして俺が『もう十分だ』と言ったら攻撃をやめさせてくれ」
「了解なのです!ただですね、意識の共有を解除するとカロリーゼロが違和感で数分程呆けてしまいますので、普通に再召喚します」
「なるほど、そういったデメリットがあったのか」
身体を操られるわけですから、変な感覚になるのも当然なんですよね。
でも一度消すことで、リフレッシュして戻って来られるのだ。
再召喚したカロリーゼロに作戦を伝える。
「準備オッケーなのです」
「じゃあ始めるとするか。いつでも構わんぞ!」
「あの筋肉神に攻撃開始ーーーーー!」
ドガン!
「ぐッッ!」
ズサササーッ
ガシン ガシン ズガン!
「うおおおおおおお!!」
真後ろに弾かれたライガーさんだったが、なんとか転ばずに耐えた。
ガシン ガシン ゴガッ!
クーヤちゃんロボと違って、野生のカロリーゼロの攻撃は容赦なしですね。
ライガーさんが反撃しないので、攻撃の手を緩めません。
それから4発のパンチに耐えたところで、ライガーさんが『もう十分だ!』と叫んだので、カロリーゼロに攻撃をやめるよう伝えた。
「大丈夫か?」
「ふーーーっ!かなりキツかったが、耐えられないことも無さそうだ。しかし本物はこれほど攻撃が重いのか・・・」
「反撃しないから続けて何度も攻撃されましたが、こちらから攻撃することで相手の攻撃も半分で済むハズです」
「無理だと思ったら逃げりゃいいだけなんだから、命を懸けてまで我慢する必要はねえんだぞ?」
「分かっている。ただ、俺の戦いは全ての召喚士の希望でもあるんだ。必ずカロリーゼロを撃破して、やれば出来るという前例を残さねばならん!」
すごい気合なのです!この意志の強さなら倒せるんじゃない?
「大丈夫だ。アタシの読みでは、そのメイスさえありゃ倒すのはそう難しくないと思ってる。問題なのは、ライガーのおっちゃん以外の奴らが勝てるかどうかだな」
「そこですよね。勝って当然、どれだけ余裕を持って倒せるかが重要です」
「うわっはっはっは!勝って当然とか言われてるぞ!こうなったらもう圧勝するしかねーだろ!」
「簡単に言ってくれるもんだ。しかし本職が俺の訓練を見た上でそう言ってくれているのだから、信じて戦うしかないだろう!」
というわけで、訓練はこれで終了。
明日はカロリーゼロが出現する南西の岩場でライガーさんの大勝負です!
すべての召喚士に夢と希望を与えるため、筋肉神ハイパーライガーよ!今こそ秘められた力を解放するのだ!




