表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

458/509

第458話 暇人五人衆、リリカ島に行く

 中二病語録が役に立たなくて泣きながら魔法屋さんを飛び出して来たわけですが、もうこうなったら仕方がないと、スズメちゃんを遠隔操作できるように特訓することにしました。


 しかしクーヤちゃんは空を飛ぶには完全素人の雛鳥でしかないので、母鳥に飛び方を教えてもらわなければなりません。


 その母鳥を誰にしようか考えながら、なんとなくハトとスズメちゃんを一列に並べて歩かせてみる。



『クルックー』


『チュイッ』

『チュイッ』

『チュイッ』

『チュイッ』

『チュイッ』

『チュイッ』



 うむ。ボクの場合飛ぶ以前の問題で、鳥の動きを知るために足腰から鍛える必要があるな。まずはポッポちゃん大名行列の最後尾から始めるとしよう。



 ガチャリ



「あ、いた!」

「泣きながら店を飛び出した割には、一人で楽しそうに遊んでるね」

「なんか地面で鳥が一列に並んで歩いてるっスけど?」

「あれはポッポちゃん大名行列。リナルナのイルプシア冒険者ギルドで大爆笑させた実績がある、クーヤの必奥儀の一つ」

「メッチャ可愛いんだけど!!」


 すたたたたたっ


「急に外に飛び出してくから心配したじゃない!」

「魔法のお手伝いが出来なくなったので、スズメちゃんの飛行訓練でもしようと思いまして・・・」

「ねえねえクーヤちゃん。遊ぶ前に、もう一度『ディスペル』の魔法を見せてもらっていいかな?」

「遊んでるんじゃなくて、これは特訓なのです!ああ、ディスペルならいつでも見せられるですよ。水色アホ毛ハムちゃん召喚!」


 目の前に水色アホ毛ハムちゃんが出現した。


「えーと、この子ってどんな魔法でも消しちゃうの?」

「ベレッタお姉ちゃんの絶対防御を打ち消した時の1回しか試してないから、よく知らないのです」

「あ、そうだったのかー。じゃあこの子のすぐ頭上に『天駆ける竜の(いかづち)』を撃つから、ディスペルで消してみて!」

「了解なのです!」


 水色アホ毛ハムちゃんに、今から何をするか説明した。


『チュウ!』


「いつでもどうぞー」

「じゃあやるね!みんな少し離れて」



 ベレッタお姉ちゃんと水色アホ毛ハムちゃんが対峙した。



「天駆ける竜の(いかづち)!」


 バリバリバリバリバリッ!


 プシュン!


 雷ドラゴンが水色アホ毛ハムちゃんのすぐ上を通過しようとした瞬間、ディスペルの魔法によって掻き消えた。



「「おおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーーーー!!」」



「凄いよこれ!もしこの魔法を使いこなせるようになったら、敵にどんな強い魔法使いがいても全然怖くないかも!」

「ねえねえ!魔法障壁を張るから、今度はそれを消してみて!」


 水色アホ毛ハムちゃんに説明した。


『チュウ!』


 今度はナナお姉ちゃんが魔法障壁を張ったんだけど、やっぱり水色アホ毛ハムちゃんのディスペルを耐えることなど出来ず、簡単に打ち消された。


「ヤバいねこれ!」

「この子に勝つの不可能なんですけど!」

「いや、普通にぶん殴れば倒せるんじゃないっスか?」

「そうでもない。ハムちゃんみんな足速いから逃げられる」

「水色アホ毛ハムちゃんはこの魔法しか使えないから、魔法使いには負けないけど、勝つことも不可能なのです」

「凄いんだけど、使う場面が限定される感じだね~」


 このハムちゃん単体だと、たぶん変な魔物でしかないね。

 でも魔法使いがこの技を覚えたら無敵になるかも。少なくとも魔法に対しては。


「なるほどなるほど・・・。クーヤちゃんありがとう!文章の方向性は何となく分かったから色々考えてみる!」

「がんばってください!」


 というわけで、ベレッタお姉ちゃんと弟子二人が魔法屋さんに戻っていった。


「あれ?アイリスお姉ちゃん達は戻らないの?」

「だって、中で魔法使い達が必死に物語を考えてるから邪魔できないじゃない?話し掛けるのも悪いから、ぶっちゃけ居心地悪いんだよね~」

「うんうん!ゆっくりするなら武器屋か宝石屋かな?」

「せめて鍛冶が出来ればやることいっぱいなんスけど・・・」



 あ~そっか。

 ここに集まってる人達は、全員やることが無い暇人なのだ!


 ミルラの塔を攻めてた時は毎日忙しかったけど、急に目的が無くなったから、みんな何していいかわからないのだ。


 よし、やっぱりスズメちゃんの特訓はやめて、暇人同士で遊びに行こう!



「じゃあみんなでリリカ島に遊びに行こうよ!チャムねえの病気が完治するまで街には連れて行けないけど、リリカ島ならオッケーなのです」

「あ、いいかも!」

「すごくアリ!夕食の魚を釣りまくる!」

「それって近くの島っスか!?」

「うん。すごく綺麗な島で、魔物も住んでないから安全なのですよ」

「おおおおお!それはメッチャ楽しみっス!」



 魔法使い三人は魔法屋さん。

 悪そうなお兄さんはエロビデオ屋さん。

 シーラお姉ちゃんは宝石屋さん。

 レオナねえとプリンお姉ちゃんとリズお姉ちゃんはパンダ工房。


 すなわちそれ以外の、クーヤちゃん、タマねえ、アイリスお姉ちゃん、ロコ姉ちゃん、チャムねえの五人で、リリカ島に出発です!



 レオナねえ、ナナお姉ちゃん、プリンお姉ちゃん、という主力が欠けているので、ゴンドラを装着するのが少し大変だったけど、みんなで協力して装着し、リリカ島までドラゴンで飛んでいった。


 リリカ島に到着したので、全員ゴンドラから降りて、ドラちゃんからゴンドラを外して休ませてあげる。



「すごく美しい島っスね!それにしても、ドラゴンに乗って空を飛べる日が来るとは思わなかったっス!」

「あそこにログハウスを建ててあるから、寝泊りすることもできるよ♪」

「前回来た時はすぐ出発しちゃったから、ちょっとその辺探索してきていい?」

「ウチも島を見て回りたいっス!」


 ゴブリンを遊ばせてあげるのに、一度だけドラちゃんに寄ってもらったんだけど、ミルラの塔の攻略があったからすぐ出発したんだよね。


「じゃあ、ボク達はあの辺で釣りをしてますので、リリカ島の探索が終わったら合流してください」


「「ハーーーーーイ!」」


 ロコ姉ちゃんとチャムねえが、ログハウスの方に歩いていった。

 とりあえず、中がどんな感じなのか見たかったようだ。


 その辺に釣り竿を適当に並べてマイ釣り竿を選択してから、岩場の近くまで移動し、石をひっくり返したり土を掘ったりしてエサにする虫を大量ゲット。


 非力なクーヤちゃんのためにタマねえがキャスト(竿を振って狙ったポイントへ落とす)してくれたんだけど、魚がヒットしたと思ったら海に引き摺り込まれそうになったので、一瞬で戦力外通告されました。


 そうこうしている間にロコ姉ちゃんとチャムねえが合流し、一緒に釣りを始めたんだけど、ロコ姉ちゃんが致命的に下手くそだったので戦力外に。


 結局ボクと二人で貝を獲りまくる係に任命されました。


 でもゴブリン軍団は貝がよくわからなかったらしく全然獲ってくれなかったので、みんな結構貝に飢えており、実は貝集めした方が喜ばれたりするのです。


 一人だったらくじけてたかもですが、ロコ姉ちゃんと一緒だったのでけっこう楽しく、ワーワー大騒ぎしながら貝を大量ゲットし、みんなに褒められました。


 釣り班も絶好調で、大量の魚貝類をゲットしたボク達は、ホクホク顔で空飛ぶ島に帰還しました。


 ちょうどいい時間だったので、シーラお姉ちゃんと悪そうなお兄さんを回収し、魔法屋さんで頑張っていた三人に今日の成果を披露する。



「リリカ島に行ってたの!?」

「すごいすごい!魚だけじゃなく貝もいっぱいだーーーーー!」

「やった!今日の夕食は魚貝類♪」

「おお、魚貝類を獲りに行ってたのか。こりゃいいな!」

「クーヤちゃん特製、貝のお味噌汁を御馳走するのです!」

「それは楽しみね♪」



 というわけで、夕食は魚貝類大会です。

 つぶ貝っぽいのに醤油を垂らしたのがマジで最強でした!


 そしてもちろん『あさりの味噌汁』も大絶賛!悪そうなお兄さんも貝をお土産に持って帰りたくなったようで、次回行く時は声を掛けてくれと言われました。


 まあ、あさり風の何かなんですけどね。細かいことはどーでもいいのです!

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ