第450話 ラララ工房がピカピカになりました
鍛冶屋さんの大掃除ですが、とても一日で終わらせるのは不可能だったので、夕方くらいで引き上げ、帰りの時間まで宝石屋さんでまったりすることになった。
もちろん最後に女神の湯でサッパリする予定ですけどね~。
街の掃除屋さんの実力は折り紙付きですので、おそらく明日で大掃除が終わるだろうとのことです。
でも終わったらベレッタお姉ちゃんの部屋とか、宝石屋さんのスタッフルーム、武器屋さんの奥の部屋なんかもキレイにする予定なので、ボク達のお掃除生活に終わりは無いのだ!
なぜ奥の部屋まで掃除するのかというと、この街で寝泊りできるようにするためです。やっぱ店内にベッドを置くのはビジュアル的にダメですからね。
今度はベッドや布団がよく売れるって、家具屋さんの揉み手店長がメッチャ喜びそうですな~。
ガチャリ
宝石屋さんの中に入ると、くつろぎ空間でシーラお姉ちゃんとクリスお姉ちゃんが、テーブルにいくつも並べられた宝石を観賞しながらうっとりしていた。
『御覧下さい。海よりも深き青。これが青系宝石の最高峰に君臨するシャリアスネロフィニアです。あのネティェス鉱山から採掘された最後の宝石と言われ、その希少さから今も価値が上がり続けている伝説の宝石です』
例の商品説明ビデオも垂れ流されていて、優雅にコーヒーを飲むクリスお姉ちゃんはとても幸せそうです。
しかし街の掃除屋さん達の帰還により、上流階級な空間が一瞬にして汗臭い現場に生まれ変わった。
「お客様、当店にいらっしゃる時は、大浴場で身を清めてくるのが最低限のマナーですわよ?」
今のシーラお姉ちゃんは冒険者じゃなく、完全に宝石屋さんのオーナーモードに切り替わってるようです。
「街の掃除屋さんナメんじゃねえぞ!こっちは一日中鍛冶屋の掃除で体力の限界なんだ。せめて全員にコーヒー淹れて労えや!」
「アハハハハハ!わかってるわよ。みんなお疲れ様!」
「クリスお姉ちゃん、休日は満喫できた?」
「とても素晴らしい休日だったわ♪次の休日も遊びに来ていいかしら?」
「もちろん大歓迎なのです!」
みんなソファーに座って一息ついたのですが、ベレッタお姉ちゃんとチャムねえは宝石屋さんに興味津々で、店内をキョロキョロ見回してます。
「宝石屋さんを丸々ゲットは美味しすぎるね!」
「掃除の気合の入れ様がクッソ笑えるっス!」
そんな会話をしながら、細長いテーブルの上に綺麗に並べられている宝石を見てうっとりしている。古代人といえどやはり女の子なので、装飾品には弱いらしい。
「オレは明日メイン武器をチェンジするぜ!」
「メイン武器を?アレすごく気に入ってなかった?」
「あの大剣が霞むほど格好良い大剣が手に入るんだよ!アレはアレで予備として所持するけどな。工房をピカピカにするのが剣を貰う条件だ」
「ってことは、チャムが作った剣なのかしら?」
「正解!チャムちゃんの武器って全部カッコイイんだよ!」
「チャムねえはビジュアル重視だから、どうも世間には認められなかったみたいなんだけど、ボク達が求めてたのはまさにチャムねえなのです!」
「うんうん!みんな強さだけじゃなく見た目にも拘るでしょ?わたしはラララ工房に置いてあったチャムちゃん武器の方が好き!」
「そういや超絶格好良いロングソードもあったぜ?」
「本当に!?」
「詳細は・・・見てのお楽しみだ!欲しかったら気合入れて掃除しろ」
「しょうがない。私の持ち場を譲ってあげよう!」
「ん~、今日サボってたから頑張る気ではいたけど大変そうね~」
アイリスお姉ちゃん、上手いことシーラお姉ちゃんに『魔高炉』の掃除を押し付けやがったですぞ!
とまあ、そんな感じで一休みした後、女神の湯でベレッタお姉ちゃんとチャムねえの湯治をし、一緒に夕食を頂いてから我が家へ帰りました。
しばらくボクもレオナねえもこっちで食事をすることになりますが、ベレッタお姉ちゃんとチャムねえの二人だけの食事は寂しいだろうから、騒がしく食事するのが一番いいのですよ。特別扱いだと遠慮しちゃいそうだしね。
帰宅後、シーラお姉ちゃんとクリスお姉ちゃんで選んでくれた、程良い価格のすごくセンスのあるアクセサリーをお母さんにプレゼントし、料理教室の話をしたら快く了承してくれました!
何人集まるかわからないし、開催日はまだ未定です。
どうも仲間内のお母さん勢がみんな参加させられる雰囲気なんですが、こうなったら色んな人達に声掛けとこうかな?
モコねえのお母さんとかメッチャ面白いし、ボクの予想ではラン姉ちゃんの家族もみんな面白い気がするんですよね。
いや、ラン姉ちゃんは自分で料理をするから、お母さんじゃなく彼女そのものを強制参加させよう。最初はキレ散らかすだろうけど、クリームシチューの美味しさを知ったら来て良かったと思うに決まってるし。
あ、どうせだったらパンダ工房の厨房を貸してもらうか。
料理教室に参加したマダム達の料理を従業員に食べさせれば、どっちもwin-winというわけです。
よし決まり!ベイダーさんとも交渉しなきゃな~。
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今日もベレッタお姉ちゃんとチャムねえのハム水一気飲みから始まり、朝食を頂いた後、シェミールでクリスお姉ちゃんから受け取った服を二人に渡した。
「わわわわ!どれもこれもお洒落で綺麗な服ばかり!」
「クリスさんが着ている服もオシャレだなーって思ったっスけど、今はこんな感じの服が流行してるんスね~」
「時代の流れを感じるよ・・・」
「ウチらって完全に時代遅れっスからね~。千年ほど」
古代人的にカルチャーショックを受けているようだ。
「いや、オルガライドだけがオシャレな街で、他の国なんかはそうでもないぞ?」
「ミミリア王国の王都だって全然普通だよね?最近行ってないけど」
「そうなのですか?」
「クリスさんが流行の中心にいるんだよ!シェミールの服を着て歩いているだけで、注目の的だからね。最近はみんな慣れて落ち着いてきたけど」
「最近はオシャレ装備が大流行してるみたいよ?」
「マジか!?たまには冒険者ギルドを見に行かんとダメだな・・・」
ようやくオシャレ装備ブームが到来したんだね!
ボク達は一周回って千年前の格好になってますが。
そして今日も、ラララ工房の大掃除の続きが始まりました。
『もうダメだーーーーー!』
『炉の中って暑くて地獄じゃないの!』
バフッ
中から漏れ聞こえてくる声で、アイリスお姉ちゃんが笑いを堪え切れずに噴き出したけど、たぶん中の二人には聞こえてないでしょうな。
とにかくこの工房さえ終わらせれば、あとは普通の部屋をいくつか掃除するだけでよくなるので、みんな必死に掃除を頑張った。
◇
ラララ工房が千年前の栄光を取り戻し、ピカピカと光り輝いている。
「掃除完了だコラーーーーーーーーーー!」
「「やっと終わったーーーーーーーーーー!!」」
ワー パチパチパチパチパチパチ!
大仕事を終え、ようやく全員の目に生気が戻った。
「みんなお疲れ様ーーーーー!」
「本当にありがとうっス!まだ療養中の身っスけど、病気が治ったらバリバリ働くんで、期待してくれていいっスよ!」
「これであの大剣が貰えるんだよな!?」
「もちろん約束は破らないっス。全部持ってって下さいっス!」
「「やったーーーーーーーーーーーーーーー!!」」
ドドドドドドドド
我先にと、みんな奥の部屋に突撃していった。
これでまたみんなのルーン装備が格好良くなってしまいますね。
実はですね、ボクも一つ貰おうと思ってる武器があるのですよ!
なんとヒヒイロカネの真っ赤なナイフ!
アレを装備して、中二病チームの仲間入りするのだ!
ひゃっほう! とてててててててて
見事ショタ召喚士として転生したクーヤちゃんでしたが、実はアンデッドショタになっていた可能性がありました。あんなところにも罠があったのです。
もう一度、第4話を読んでみて下さい。勘の良い人なら気付くんじゃないかな?
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