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第437話 フェイストゥフェイス

 そんな感じでまったりとした時間が過ぎていき、〆の大浴場に向かうため、宝石屋さんに集合しました。


 ただリズお姉ちゃんサイドで何かあったみたいで、レオナねえのいる方へ近寄っていった。



「いや~~~!感動して、繰り返し何度も見ちまったぜ・・・」


 感動?

 いやいやいやいや、リズお姉ちゃんが見てたのってエロビデオですよね?


「マジか!?リズが喜びそうだと思ってすぐ呼び出したから、途中までしか見てないんだよな~」

「それがな・・・、ああ、ネタバレになっちまうけど話していいか?」

「構わんぞ」

「あの屈強な肉体を誇るマグドラドの大剣に翻弄され続け、もうダメかと思われた女戦士アイーダだったが、最後の最後で大逆転勝利するんだよ!」

「嘘だろ!?あの大剣使いに勝ったのか!!」


 いや、エロビデオの話ですよね!?


「久々に感動で震えたぜ・・・。ああ、それでな、マグドラドとアイーダは再戦を誓って別れたんだが、もしかすると続編があるのかと思ってよ」

「あ~どうだろな~!もしかしたらあるかもしれねーぞ?あの兵士じゃなく別の強敵と戦うかもしれんけど」

「なるほど!そのパターンも考えられるか・・・」



 すごく面白そうなバトル物の映画と勘違いしそうになるけど、剣で斬り合ったとかじゃないと思うんだよな~。だってエロビデオだし!!


 主役が女戦士アイーダの方なのも面白いし、正直メッチャ気になるけど、エロビデオに興味あると思われたくないから質問できん・・・。


 それにしても、エロビデオのくせにドラマ仕立てで作品を作るなんて、古代人も結構やりますな!もしかすると普通の映画も存在するのかもしれない。



「まあ、管理人として全てをチェックするつもりだし、女戦士アイーダの顔は覚えてるから、見つけたら教えてやる」

「頼んだ!他にもオススメがあったら教えてくれ」

「任せておけ!」



 うん、気にしたら負けだな。放っておこう。


 こうしてエロビデオ組の会話には耳を傾けないことを心掛け、大浴場でシャッキリしてから家に帰りました。


 明日はミルラの塔2階の攻略開始だ。がんばろう!






 ************************************************************






 休日で体力を完全回復させたボク達一行は、気力も十分で意気揚々とミルラの塔にやって来ました。


 前回と違うのは、フルアーマー骸骨が出現した時のため、前衛四人とアイリスお姉ちゃんが武器を持ち替えたことです。


 そういう敵が出て来るとわかっているのですから、メイン武器の破損を恐れながら戦うのは馬鹿みたいだということで、拾った武器の中でも損傷の小さかった物をそれぞれ手に取り、武器が欠けるのを恐れず思う存分暴れよう作戦です!


 これなら全力で戦えますし、みんな動きが良くなることでしょう。

 中古品を使った方が強くなるって面白いですよね~。


 ちなみにシーラお姉ちゃんの欠けた予備の剣は交換してもらえたようです。



 ドサッ ドサッ ドサッ ドサッ


 外周はもう調べ尽くしたので、真っ直ぐミルラの塔の2階に向かおうと入り口の正面にある扉に入ったのですが、すべての敵を倒したハズなのにまた魔物が上からいっぱい降ってきました。



「クソッ!魔物がリポップしてやがる!」

「これでミルラの塔がダンジョンだって証明されたわね」

「今回は障害物が落ちてないから楽に倒せるハズだ!」

「あれ?いつもの『にょわーーーー!』が聞こえないね。ゾンビがいないのかも」

「見た感じいないようですね」

「んじゃサクッと倒しちゃおう!」

「いくぜ!」


「「うおおおおおおおおおおおおおお!」」



 ここに来るのは2度目ですので、前回の時よりも全然落ち着いた精神状態で戦闘が始まった。


 それにしてもお姉ちゃん達は、クーヤちゃんをゾンビ探知機と思ってませんか?

 まあ確かに、ゾンビがいたら叫ばずにはいられないのですが!


 やっぱり足もとに埃一つ落ちてないおかげで安心して戦えるみたいで、前回とは比べものにならないくらい楽勝で敵を全滅させた。



「余裕だったな!」

「頑張って大掃除した甲斐があったわ!」

「そういえば1階丸ごと大掃除したんだった。私達って実はただの掃除屋さんだったりしない?」

「この島に来てから掃除しかしてねーぞ!」

「とりあえず落ちてるビデオテープを回収しよう」

「あとは奥の部屋の魔物を倒せば、安心して2階に進めますね」



 まず2階へ進む階段の向かいの部屋に入ったんだけど、魔物が2体リポップしてただけでゾンビはいませんでした。



「なぜかゾンビだけいないな」

「いなくて結構。ビデオテープすら落とさないんだから」

「アイツはどこに行ったの?」

「2階にゴッソリ溜まってたらキレるぞ!」

「嫌なこと言わないでよ!」



 部屋から出て、階段の前に移動した。

 階段の上を覗き込みながら、作戦会議が始まった。



「緊張してきた」

「2階に出た瞬間が怖いわね」

「いきなり敵に囲まれる可能性があるもんね」


「フハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」


 突然不敵に笑ったクーヤちゃんに視線が集まった。


「実は昨日タマねえと二人で色々実験しまして、召喚獣と意識を共有できるようになったのですよ!」


「「おおーーーーーーーーーーーーーーー!」」


「一応驚いてはみたが、それをやるとどうなるんだ?」

「なんとボクの意志で召喚獣を遠隔操作できるようになったのです!すなわち、階段の上を安全に偵察することができるの!」

「マジか!!」

「すごいじゃない!」

「ただ自我の強い頭の良い子は操作できなくてですね、成功したのはカロリーゼロとスズメちゃんと、デカくて飛べない黄緑色の鳥だけでした」

「デカくて飛べない?・・・ああ、アイツか!」

「この島で何度か戦った魔物だよね?」

「そうそれ!この島に出現する魔物だからちょっと紛らわしいんだけど、ミルラの塔では出てこないから使っても大丈夫だよね?」

「確かに紛らわしいな。ちょっとそこに出してみてくれ」

「攻撃しないでね!斬られたらボクも痛くて本当に危険なの!」

「痛みまで共有されちまうのか・・・。みんな絶対攻撃しないようにな!」

「中身がクーヤだって知ってるんだから大丈夫だ」



 というわけで、スペースを空けてもらってコカトリスを召喚した。



「「・・・・・・・・・・・・・・・」」



 なぜか誰もしゃべらないので、緊張感に耐え切れなくなってきた。



『コケーーーーーーーーーーーーーーー!!』



 ビクッ!


 けたたましく鳴いてから、ムーンウォークを始めた。

 最後にクルクル回転してから『ポウ!』とつま先立ちしてポーズを決める。



「「キモッ!!」」



「こうして見ると、なんかぶん殴りたくなる顔してんな」



 なんだとお!?


 頭を斜めに傾かせながらリズお姉ちゃんに顔を近づけ、超至近距離でガンを飛ばし合う。


 無限に続くかと思われたフェイストゥフェイスだったが、先に音を上げたのはリズお姉ちゃんだった。



「「ぶわーーーーーっはっはっはっはっはっはっはっは!!」」



 っていうか全員アウトだった。



「頭を傾かせるの反則だろ!」

「こんなん笑うって!」

「あははははは!でも全然殺気が無いから、すぐクーヤちゃんだってわかるかも」

「さっき後ろ向きに進んでたよ!この鳥意味わかんない!」

「でもこの変な鳥って、すごく足が速くなかったですか?」

「速かった!しかも嘴でメッチャ突いてくる!」

「意外と戦闘で使えるのかもしれねえな。アンデッドは倒せないが」



 とりあえず全員笑わせたので、ボクの大勝利なのです!

 変な動きをしていればPKされずに済むかな?


 よし、コカトリスのお披露目はこれくらいでいいでしょう。

 でも階段の上を偵察するのはカロリーゼロかな。痛いの嫌だし。


 お姉ちゃん達に見せてやろう。凄腕シーフの実力ってヤツをな!

 

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