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第410話 美肌は戦争なのだ

 ツルツルにされたのが自分だけだったことにショックを受けたリズお姉ちゃんでしたが、ドライヤーで髪を乾かしてあげると、子供にちょこちょこ髪をいじられるのが気持ち良かったみたいで、一瞬にしていつもの彼女に戻った。



「全員風呂も終わったし、そろそろ帰るか?」

「いや、ただお風呂でさっぱりしたわけじゃないから!ハム水の効果を知ってもらうのが目的だからね?」

「あ、そうか!言われてみると確かに肌がツヤツヤしてるな!」


 何かに気付いたリズお姉ちゃんが目を大きく開き、自分の両腕を見つめている。


「マジか・・・。筋肉が光り輝いてるじゃねえか!」



 ―――――そう言った直後、シャツを脱いで上半身裸になった。



「おいバカ!何こんな所で脱いでんだよ!」

「すげーーーーーーーーーー!おい見ろ!この筋肉の躍動を!!」



 そう言いながら、鏡の前でボディービルダーのようなポーズを決めている。

 前だけじゃなく、後ろを向いて背筋まで確認してるし。


 どこかで見た光景だと思ったら、風呂上がりのベイダーさんライガーさんと同じ反応じゃないですか!これだから筋肉教は・・・。



「あの風呂スゲーな!オレの筋肉が雄叫びをあげているぞ!!」

「そういうのは自分の部屋でやれや!今は女しかいないからいいけど、防具屋にガイアもいるんだぞ!早く乳をしまえ!」

「あ、忘れてた。そういや男もいたんだっけか」

「ボクも男なんですけど!」

「クーヤは子供枠だからどーでもいいな」


 レオナねえに叱られたので、リズお姉ちゃんがシャツを着直した。


「パンダ工房で、ライガーさんとベイダーさんが同じことやってたのを思い出したじゃないですか!」

「あーーー、やってたな!死ぬほど暑苦しかったぞ!」

「ん?それってパンダ工房のお偉いさんのことじゃねえか?」

「あれ?リズお姉ちゃん知ってるの?」

「ジャーキーを買いに行ってるからたまに見かけるぞ!良い筋肉してたんで、ずっと気になってたんだ。知り合いなら紹介してくれ!」

「筋肉目当てで人を紹介しろって言われたのは初めてなのですよ!!」

「わっはっはっはっは!面白いから社長室に連れてってみるか!」


 筋肉の宴が始まって、さらに暑苦しくなりそうなんですけど!

 でも面白そうだってのには同意ですね。


 『他人の肌艶なんか気にしたこと無い』とか言っていたリズお姉ちゃんまでもが美肌に目覚めたので、シーラお姉ちゃんとミルクお姉ちゃんとロコお姉ちゃんも鏡の前に移動し、ハム水による美肌効果を再確認し始めた。



「おいクーヤ、そろそろ落ち着いたか?」



 防具屋に繋がる通路から、悪そうなお兄さんにこっそり話し掛けられた。

 さすがにいつまでも防具を見ていられなかったらしい。



「どうなんだろ?みんなお風呂が終わってハム水の効果を確認してるとこ。せっかくだから悪そうなお兄さんもお風呂に入って試した方がいいよ~」


 それを聞き、恐る恐るこっちに歩いて来た。


「効果は俺も気になるが、それって絶対に風呂に入らなきゃならねえのか?」

「普段から肌に気を使ってる人なら顔を洗っただけでも気付くみたいだけど、素人はお風呂に入った方が確実だね~。ハム水はトップシークレットだから、お風呂は今しか試せないよ?」

「クソ!いや、風呂に入るなら奴らが美肌効果に夢中になってる今がチャンスか」

「だね~。ナナお姉ちゃん、お風呂の準備お願い!」

「はいは~い」




 本来なら絶対に隙を見せない悪そうなお兄さんだけど、今しかハム水効果を試せないってことで、ササッとお風呂に入って帰って来た。


 その頃にはホニャ毛も落ち着いていたので、悪そうなお兄さんも鏡で自分の肌艶を確認し、美肌効果が真実であることを知った。



「悪そうなお兄さんが美肌に興味あるとは思わなかったのです」

「甘いぞガキ。肌が綺麗な方がモテるに決まってるだろ。男だろうが女だろうがその辺は一緒だ」

「ほう、流石だな。よくわかってるじゃねえか!」

「ハム水の効果、認める?」

「認めるも何も一目瞭然だ。戦争になってもおかしくないとか言っていたが、俺も同意見だ。ここまで効果が目に見えると、誰もが手に入れたいと思うだろう」

「だろ?貴族の嫁なんかに目を付けられるとやべーんだよ!」

「美肌だけでなく回復効果まであり、もしかすると致命的な病気すら癒すかもしれませんからね」

「ハム水凄すぎだよ!」


 実は寿命が延びるまであると思ってます。

 だってウチの家族全員、風邪すらひかないんだもの。


「というわけで、ハム水のことは絶対秘密にしてください。その代わり、ここにいる全員にハム水が満タンに入った樽をプレゼントします!しかも無くなりそうになったら補給しますので、節約とか気にしないでガンガン使っていいですよ~」


「「おおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーーーーー!!」」


「でもそれじゃ女神の湯には入れないよね?」

「お風呂上がりに、顔を洗ったり肌に塗ったりするんだよ♪」

「なるほど!でもたまには今のスゲー風呂に入りてえぞ!」

「女神の湯に入りたいなら、ここで入るかウチに来るかだな~」


 そのことについて、さっきロコ姉ちゃんと話したのを思い出した。


「そうそう!クーヤちゃんとお風呂で話してたんだけど、あの神殿の中に大浴場を作ろうよ!ダンジョンアタック後にみんなで入るの!」


「「いいね!」」


「あの滝を見ながら大浴場に入るとか、最高じゃん!」

「ちょっと待て。そういうことなら男湯も頼む!大浴場じゃなく普通の大きさの風呂で十分だ」

「いいよ!ガイアさんだけ仲間外れは可哀相だしね~」

「それならボクも男湯に入るのです!」

「却下。クーヤはタマと一緒に大浴場」

「エエエエエーーーーーーーーーーーーーーー!」


 却下早すぎイイイイイ!

 でもみんなで大浴場は楽しみかも♪


「神殿の床を掘って大きな浴槽を作ればいいだけだから、瓦礫の撤去や掃除も含めて3時間もあれば完成すると思う。でも今日はもう遅いし面倒だから、大浴場を作るのは明日かな?」

「ダンジョンアタックの前に死の森に道を作らなきゃだし、二手に分かれる?」

「そうするか!風呂の方は・・・、ナナとアイリスとロコの三人で十分か?」

「十分だと思う。みんなクーヤちゃんの護衛頑張ってね!」

「頑張るといっても、万が一の護衛って感じだけどな」

「ドラちゃんの台座はちゃんと残してね!」

「わかってるから大丈夫だよ!むしろピカピカに磨いておくよ!」



 というわけで、明日もダンジョンアタックまではいかない感じですね~。

 ハムちゃん軍団で、あのキモい森をボコボコに粉砕してやるのです!

 

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