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第408話 シーラお姉ちゃんを丸洗い

 ハム水の凄さを知ってもらうために、ホニャ毛の四人が簡易版・女神の湯に入ることになりました。


 ・・・ボクを巻き込んで。


 先頭バッターのシーラお姉ちゃんがフルアーマーを外していき、街のど真ん中だというのに躊躇なく服も脱いでスッポンポンになりました。


 おお~、思った通りのスレンダーで美しいボディーなのです!


 おっぱいはDカップくらいでしょうか?美乳ってやつですね。

 とてもお上品で100点と言わざるを得ません。



「クーヤちゃんも一緒に入るのだから脱がないと!」

「にょわ~~~~~~~~~~!」



 素早くポイポイと服を脱がされた後、すぐ目の前に浴槽があるというのになぜか抱っこされました。



「えーと?この場合、浴槽からお湯を掬って、かけ湯をすればいいのかしら?」

「ですです!魔法使いが一緒なら、お湯が全部無くなっても大丈夫なのです」

「お湯が無くなるほど、お行儀の悪い入り方なんてしないわよ!」


 サッとかけ湯をしてから、まずは湯船に浸かる。


「丁度いい温度じゃない♪」

「ナナお姉ちゃんはマメな性格なので、いつも完璧な温度にしてくれるの」

「あ~、ナナは確かにそんな感じね~」



 カポーン



 なぜかシーラお姉ちゃんに抱っこされたまま、解放してくれないのですが?

 背中に生おっぱいが当たっているので、もう気になって、逆に寛げません!


「何だか、とても落ち着くお風呂ね~」

「言うほど落ち着かないです。どう見ても街の中ですし」

「人が歩いているわけでもないのだし、私は気にならないかな?」


 エレガント風だけど、なかなか豪胆な性格のようです。


「そうだ!クーヤちゃんは私が洗ってあげるから、私の身体はクーヤちゃんに洗ってもらいましょう!」


 なにィ!?


「えーと・・・、丸洗いを希望ということですかね?」

「ん?どういうことかしら?」

「やれと言われれば頑張りますが、今日はタマねえが一緒じゃないので、『真・丸洗い』じゃなく普通の『丸洗い』になるけどいい?」

「丸洗いって一体何なの!?よく分からないけど、それでお願いするわ」



 洗い場に移動し、まずはシーラお姉ちゃんにボクの体を洗ってもらいました!

 ソフトタッチで気持ち良かったです。ガサツなレオナねえとはえらい違いですね。


 というわけで攻守交替です。

 今度はシーラお姉ちゃんが小っちゃいイスに座りました。



「ご来店頂きありがとうございます。お客様担当のクーヤちゃんと申します。本日は相方が不在ですので通常の『丸洗い』となりますが、私もプロですので、きっとご満足して頂けると思います。肩の力を抜いてリラックスして下さいね~」


「え?あ、うん。・・・此処ってお店だったの!?」

「では始めさせていただきます」




 ◇




 プロの手による本格的な丸洗いは常勝無敗。クールビューティーと噂のシーラお姉ちゃんですら耐え切ることなど不可能であり、全てのお客様がそうであったように、絶対人様にお見せできないほどのアヘ顔で気絶していた。


 仕方がないのでタマねえを呼んで来て、浴槽に入れてもらい、足腰フラフラ状態のシーラお姉ちゃんに服だけ着せて、何とかくつろぎ空間に連れて行った。



 ブオーーーーー



 せっかくなので最後まで面倒をみようと思い、ソファーの前にスタンドミラーを置いて、シーラお姉ちゃんの綺麗な髪をドライヤーで乾かしてあげています。



「はぁ~、気持ち良くて眠っちゃいそう・・・」

「クーヤちゃんとのお風呂はどうだった!?」


 ロコ姉ちゃんのその質問に、シーラお姉ちゃんがビクッとした。


「天国の一言ね。私もうクーヤちゃんじゃないと満足できないかもしれない。これ以上無い程の醜態を晒してしまったし、クーヤちゃんと結婚するしかないわね~♪」

「ええええええええええ!?」

「何言ってんだこいつ?」


 それを聞いて、レオナねえの目が光った。


「さては丸洗いしてもらったな?」

「ハッ!?あなた知ってたの!?」

「うむ!完膚なきまでにプライドをへし折られ、土下座して弟子入りしたぞ!」

「弟子入りってクーヤちゃんに!?いや、プライドとか意味不明だし!」


 レオナねえは14代将軍なので、大奥で暮らす大勢の女達を満足させなければならない使命があるのだ。ちなみに普通の土下座じゃなく全裸土下座でした。


「何の話をしているのかさっぱりだが、そんなに気持ちいいのなら、オレも丸洗いってのやってもらうしかねーな!」

「私もやってもらおっと!」

「楽しみだね~♪」

「うぇええええ!?4連続丸洗いはボク一人じゃ厳しいのです!」

「しょうがない。タマも手伝う」

「おお!タマねえがいれば百人力なのです!」


 真・丸洗いを4人前は無理でも、普通の丸洗いならたぶんいけると思う。

 丸洗い職人だって日々成長しているのだ!



「・・・あれ?」



 シーラお姉ちゃんが、鏡に映る自分の顔を凝視していた。

 そして頬に触れ、おでこや首に触れ、視線が手の甲に移った。


 ガタッ!


「気のせいじゃない!長き冒険者生活で失われた肌艶が・・・蘇ってる!!」


「「な、なんだってーーーーーーーーーーーーーーー!?」」



 レオナねえ達が、『やっと気付きやがったか』と口端を上げた。



「それがハム水効果だ!」

「ハム水には美肌効果があるんだよ!」

「お風呂が一番だけど、毎日ハム水で顔を洗うだけでもお肌ツヤツヤだよ♪」

「そして癒し効果まであるのです!剣も握れなかった私の右腕が女神の湯で完治したのが動かぬ証拠です!」

「しかも飲めば病気知らず」


 お姉ちゃんズの怒涛の解説に、ホニャ毛がフリーズした。


「美肌効果に癒し効果まで!?」

「何だそりゃ・・・」

「病気知らずって凄くない?」

「いやロコ、あれは飲めない!」


 うん。ハム水を飲み干した人って、王妃様以外に一人もいない気がします。

 その王妃様にしても、コップに三分の一くらいの量だったし。


「はっ!?よく見たら髪も綺麗になっているわ!見て見て!」

「ほんとだーーーーーーーーーー!」

「あまり他人の髪とか肌艶とか気にした事ねーから、オレにはよく分からん」

「すごくツヤツヤになってる!これは革命だよ!」


 ガシッ


 ミルクお姉ちゃんに腕を掴まれた。


「クーヤちゃん行こ!私もお風呂を試してみる!」

「ぐぬぬ・・・、4連続お風呂とか、ボクがふやけてしまうのです!」

「仕方がない。これは丸洗い師の宿命」


 それを聞いてレオナねえがニコッと笑った。


「お一人様天国にご案内~!ナナ、女神の湯を新品にしてやってくれ」

「なるほど~。お客様を働かせられないもんね!」



 というわけで、2番バッターはミルクお姉ちゃんです。

 4連丸洗いは大変ですが、頑張るしかないでしょう。


 ちなみに悪そうなお兄さんは、風呂上がりの女性陣のテンションに巻き込まれないよう、防具屋に避難しているみたいです。

 

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