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第405話 大掃除超えの生き地獄

 おじいちゃんの友人も25歳という高齢らしく、ボクの到着が一日遅れただけで天に召されるような際どい状態だという話なので、ハムちゃんスカウトのための連休から一夜明けた今日もまたハムちゃん村へ向かうこととなった。


 そもそもいつも以上に忙しいので、これが休日とか意味がわかりませんけどね!


 ホニャ毛と悪そうなお兄さんに、休日がもう一日増えたと伝えなければならないので、レオナねえとアイリスお姉ちゃんとナナお姉ちゃんの三人はロコ姉ちゃんの家に向かい、ボクとタマねえとプリンお姉ちゃんは専属ハムちゃんを飼い主達に返却して回ることに決まりました。


 悪そうなお兄さんの専属ハムちゃんであるハム吉はレオナねえ達に預けたので、用事が終わったら東門で合流する予定です。



 というわけで、まずは飼い主が一番集まっているパンダ工房に出発!



 社長室にベイダーさんがいたので、ライガーさんとラン姉ちゃんとぺち子姉ちゃんのハムちゃんも一纏めで返却し、すぐにレミお姉ちゃんの家に向かって専属ハムちゃんを返却。『里帰りですごく元気になりました!』と伝えました。


 続けてモコねえの家に行くと、彼女はすでに学校に行った後だったので、玄関に出てきたモコねえのお母さんに、タマねえがハムちゃんを手渡す。


 当然ながらハムちゃんをドスンと地面に落としてしまい、『こんな重いの持てないから!』と爆笑しながら文句を言われました。


 モコねえの家族ってみんな面白いから大好きなのです!


 そしてようやく東門でレオナねえ達と合流し、街の外に出て門兵が見えなくなるまでトナカイで東に進み、そこでグリフォンに乗り換えて、アルペジーラの森に向かって飛び立ちました。



 ぶっちゃけアルペジーラ達はまだ全然信用できませんので、いつものように魔法障壁を張ってハムちゃん村に入りましたが、事前にハムちゃん通信で伝えてあったので魔法は飛んで来ませんでした。


 とりあえず村の中央にいたおじいちゃんと話し合う。



「前もってボクが来ることを伝えていましたので、魔法の一斉攻撃はありませんでしたが、ボクからの連絡も無いのに人間が現れた時は必ず一斉攻撃してください。もしボク以外の人間だったら大惨事になりますから」

『ふむ。確かに人間慣れし過ぎるのは危険じゃのう』

「ボクを探す行為ですら大きな隙になるからね?連絡が無い場合、問答無用で攻撃すること!これは絶対です!」

『了解したのじゃ!』


 もし他の冒険者に全滅させられでもしたら、完全にボクのせいだからね。

 なあなあにしておくのが一番ダメなのだ。


「話は変わりますが、隣の村の場所はおじいちゃんが知っているのですよね?」

『もちろんじゃとも!儂が案内しよう』

「じゃあボク達はおじいちゃんについて行くね!隣の村の入り口の少し手前で教えてください。そこで待機していますので、おじいちゃんが先に入ってアルペジーラ達と話し合い、説得出来たら迎えに来てください」

『了解したのじゃ』

「魔物が出たら後ろにいるお姉ちゃん達が倒すから、おじいちゃんは無理せず後ろに避難してください」

『なるほど!(あるじ)殿の護衛の戦士でしたか!』


 そういうわけじゃないんだけど、説明するのも面倒だしそれでいいや。


「あっ!ボクが乗るための召喚獣を呼び出すけど、攻撃禁止ね!」

『ほうほう。皆の者!(あるじ)殿が何か呼び出すが攻撃せんようにな!』



「メルドア召喚!」


 シュッ



『チュウーーーーーーーーーーーーーーー!!』



 怖そうな顔をしたメルドアを見てアルペジーラ達が驚いたが、魔法は飛んで来なかった。いつもならトナカイなんだけど、高さの問題もあって角が木の枝に引っ掛かったりするので森の移動に向いてないのだ。


 ちなみにお姉ちゃん達は戦闘に備える必要があるので歩きです!



「じゃあ出発進行ーーーーーーーーーーーーーーー!」


「「オーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」


『案内しますじゃ!』




 ◇




 そこからの展開は異常に早く、怒涛の生き地獄だった。


 身体能力の跳ね上がったおじいちゃんの動きはすごく機敏で、お姉ちゃん達の疲労などガン無視で駆けて行くので、見失わないよう必死に追いかけ、メルドアに乗っているボクですら泣きそうになりながら森を駆け抜けた。


 そして森を出てすぐトナカイを召喚し、全力でおじいちゃんを追いかける。


 30分ほど草原を走り続けると、おじいちゃんが真っ直ぐ森に向かっているのがわかり、『森に入った瞬間が勝負だ!絶対に見失うな!』と覚悟を決める。


 森に入る直前で全員トナカイから飛び降り、ボクだけメルドアに乗り換え森に飛び込む。そしてシューティングゲームのように樹々を避けながらトナカイを消し、手加減無用のおじいちゃんを追いかけ続けた。



 ―――――そしてようやくおじいちゃんが立ち止まった。



『じゃあ儂は村の者を説得してくるので、ここで待っていて下され!』



 ガサガサッ


 おじいちゃんが藪の中に入っていった。

 ようやく隣の村に到着したらしい。ちなみに戦闘はすべて回避しました。



「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」



「ブ、ブルーシート、しょ、召喚」



 ドサッ ドサドサッ


 精魂尽き果てたメンバー全員がブルーシートの上に倒れた。

 服が汚れないよう、咄嗟にブルーシートを呼び出した自分を褒めてあげたい。



「あのじいさん・・・絶対狂ってるだろ・・・」

「私ね、今までの人生で一番くじけそうになったよ!」

「ハアッ、ハアッ、賢者(セージ)でも、やればできるんだね・・・」

「フルアーマーを着用した事をこれほど後悔したのは初めてです!」

「タマを疲れさせるなんて、あのじじいすごい」

「ふぃ~、人生で一番疲れたんですけど、休日というのは本当ですか?」



 草原だけなら楽勝なのに、森のシューティングゲームがヤバ過ぎなのです!ただ障害物を避けまくるだけなので、それとも少し違うのですが。


 っていうか、隣の村遠すぎですやん!

 この距離を『隣』って言うのやめてくれませんかね!?



 ガサガサッ



『まだ生きとったわい!(あるじ)殿、あいつを助けてやって下され!』

「攻撃されない?村のアルペジーラ達は説得した?」

『説得はしたのじゃが、反射的に魔法を撃つ者がいるかもしれぬ。念の為、あの防御の魔法を使って下され!』

「だね~!ナナお姉ちゃん、おじいちゃんが説得したみたいなんだけど、万が一があるから魔法障壁をお願いします!」

「はいは~い」

「んじゃ行くか~!」



 ブルーシートを片付けてから、タマねえに頼んでバールで地面に穴を空けてもらい、錆びた画鋲を埋めた。


 これで次回は、おじいちゃん抜きで来ることが出来ますぞ!



 村に突入してすぐ魔法障壁を張ると、魔法が何発か飛んで来たので、やっぱり備えていて正解でした。身を守るための条件反射だから怒ったりはしませんよ。


 おじいちゃんの一喝で魔法が止まったので、村の中央まで移動してから、おじいちゃんの古い友人以外のアルペジーラに避難してもらった。



 ターーーーーーーーーーン!



 同じことの繰り返しなので軽く流しますが、瀕死だったおじいちゃんの友人が元気になって大復活したことで、アルペジーラ全員が召喚獣に憧れを抱き、結局この村でも38体のハムちゃんをゲットしました。


 向こうと合わせると101匹ハムちゃんです!


 もちろんこっちの村でもスカウトする年齢を15歳に設定したので、ハムちゃんの里帰りの日に合わせて毎年何体かずつ増えてくことになりますね~。


 ちなみに、おじいちゃんの友人も守護ハムちゃんに任命したので、村の戦力は問題無しです。友人同士で協力するといいかもしれません。


 東に行けばさらにハムちゃんを増やすことも可能ですが、もう十分でしょう!

 今回は101匹ハムちゃんで大満足です!


 さて、明日は身体検査だな。

 ホニャ毛には新入りの中から4体貸し出すことにしよう。


 お姫様はあげないけどね!

 

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