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第401話 ハムちゃんのお姫様

 ハムちゃんの身体検査をしようと思ったんだけど、変な召喚獣を2体ゲットしていたのを思い出して呼び出してみると、なぜかそいつらが勝手にしゃべり始めた。


 自分が死んだことに気付いたばかりか、自分らを守らなかった姫様とやらにグチグチ文句を言ってます。


 お姉ちゃん達と一緒に『なんだこいつら?』と眺めていると、少し離れた位置にいたピンク色のハムちゃんが歩いて来て、その変な2体を後ろからぶん殴った。



 バシッ! ボガッ!


『『ゴフッ!』』


 ダメージは甚大で、地面に転がってピクピクしている。


『チュチュッ!?』


 殴った本人も予想外だったみたいで、瀕死の2体を前にオロオロしている。

 召喚獣になって身体能力がパワーアップしたことに気付いていなかったもよう。


「チャモ&ピグモ消えて。チャモ&ピグモ召喚!」


 一瞬で元気になって復活した。


『チュ~~~』


 ピンクハムちゃんも『よかった~』と安心したみたいです。


『ひ、姫様!ご無事だったのですね!』

『いや、一緒に死んだからココにいるんじゃね?』

『アンタ達と一緒にするんじゃないわよ!あたしは・・・あれ?』


 ピンクハムちゃんがキョロキョロと周りを見た。


『ココどこ?』

『たぶん森の外であります!』

『姫様も無事死亡です!だってそこに(あるじ)がいるし』


 3体がようやくボクの顔を見た。


『チュウウウウウ!!』


 ピンクハムちゃんが、『なんてこったーーーーー!』とショックを受けてます。



「クーヤ、コイツら何をごちゃごちゃ話してんだ?」

「えーとですねえ、自分が死んだことに気付いて『なんてこったー』ってショックを受けているところです」

「それで、この変な小っちゃい2体は何者なの?」

「ちょっと聞いてみるです!」



 そもそも何でハムちゃん村で一緒に倒れていたのか意味不明すぎてボクも気になってたので、関係を詳しく聞いてみた。


 すると謎のコントが始まり、またチャモとピグモがぶん殴られて瀕死になって再召喚したりと、長くなったので話をまとめますが、どうやらこの2体の謎生物はピンクハムちゃんの舎弟らしいです。


 森に迷い込んだところをひっ捕らえられ、1年ほど前からずっとパシリをやらされているらしい。


 そして問題のピンクハムちゃんですが、全身ピンク色ってわけじゃなく、ベースは白でピンク模様って感じかな?


 でも可愛いかと言われたらちょっと微妙で、理由は目つきの悪さでしょうか。分度器を逆さまにしたようなジト目なのです。なんか珍しくて面白いからボクは結構好きですけどね!


 でもって、本当にハムちゃん村のお姫様らしいです!


 村には王様と王妃様もいたらしいんだけど、舎弟のバカ2体がフラフラと最前線まで出ていったせいで、姫様が『このアンポンチンどもがー!』と連れ戻しに行き、そこでカブトくんの攻撃にやられてしまったみたい。


 ピグモが『クソの役にも立たねーな』って言ってたことを暴露したら、またぶん殴られて瀕死になってました。ついでにチャモも。



「ハムちゃんの舎弟とか、クッソ笑えるんだけど!!」

「でも王様と王妃様、お姫様が死んじゃったってショック受けてるんじゃない?」

「そうだね~。召喚獣(サモンビースト)になって元気にやってるって教えてあげた方がいいかも」

「村まで連れていって、お別れの挨拶をさせてあげませんか?」

「うん。それがいいと思う」



 たしかに死んだのはショックだと思うけど、むしろパワーアップして元気にやってるって知れば、しばしの別れくらいに思ってくれそうだよね。


 ・・・うわ~、失敗したな~。


 ボクも気が利かないというか、残された者の悲しみを全然考えてなかった。

 1年に1回くらい、里帰り休暇を与えれば良かったんだ。



「よし、決めました!ハムちゃん全員を里帰りさせてあげることにします!明日の夕方頃迎えに来る感じでいいかな?」


「「おおおおおーーーーーーーーーーーーーーー!」」


「素晴らしいアイデアじゃん!」

「街にいる専属ハムちゃんはどうするの?」

「ハムちゃん通信で里帰りするって伝えてもらって、こっちに呼び出すよ」

「なるほど!わざわざ迎えに行かなくても、一瞬でこっちに呼べるのですね!」

「飼い主の元まで送り届けるのがちょっと大変ね~」

「しょうがない」



 ペカチョウを召喚した。



「・・・とういうわけで、ハムちゃん全員で里帰りです!」


 ペカチョウのまん丸い目が大きくなって、キラキラと輝き出した。


『チュウーーーーーーーーーーーーーーー♪』


「でも里帰りするならば、手土産の一つも無ければ話になりません!でもこの森はメメトンゼロの名産地だからそんな物は相応しくないですよね?ということで、バッファローのステーキを焼きまくって、それを手土産にしましょう!」


『チュウチュウチュウ♪』


「ハハッ!すごく喜んでるな!」

「でもこの数だとお肉が足りないんじゃない?」

「パンダ工房にハムちゃんが2体いるじゃないですか」

「あ、そっか!ジャーキー工房から持ってくればいいんだ!」

「凄いテクニックですね!召喚士(サモナー)が不遇職とか意味分からないです」

「さすクーすぎる!輸送のプロだったとは驚きの事実」



 作戦が決まったので、すべての専属ハムちゃんに連絡し、飼い主達に緊急里帰りの許可をもらった。


 そしてパンダ工房にいるハムちゃん2体にバッファローの肉を詰め込んでもらってからこっちに呼び出す。


 それにより、ジャーキー工房にあったバッファロー5体分の肉が、一瞬でアルペジーラの森付近までワープ。


 すでに温めてあった鉄板二枚に乗せて、どんどん焼きまくる!


 ハムちゃん達の味覚は人間とほとんど変わらないので、ちゃんと塩・胡椒を振って焼き上げた。ボク達が食べても満面の笑みになるような最強ステーキです。


 それを冷めないうちにハムちゃんに収納してもらいながら、ようやくすべての肉がステーキに変わりました!


 そこでハムちゃんを全員呼び出し、里帰り大作戦を伝え、ボク達一行を先頭にぞろぞろとアルペジーラの森へ入っていく。


 村に近付いたところで一旦停止。



「それではハムちゃんの皆さん!明日の夕方まで自由時間とします。里帰りを楽しんできてください!」



『『チュウーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!』』



 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド



 我先にと、ハムちゃん軍団が村に突撃していった。

 それを見届けた後、ボク達もほっこりしながら街へ帰ったのでした。

 

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