第395話 これが古代遺跡だ!
ドラちゃんが空飛ぶ島の上空を飛んでいく。
ゴンドラの窓から見える景色は圧巻の一言で、初めてこれを見るホニャ毛と悪そうなお兄さんは興奮を隠せないでいる。
そしてドラちゃんは、ボク達が最初に降り立った場所に着陸した。
「「わあああああ~~~~~~~~~~~~~~~!」」
古代遺跡を見たホニャ毛の四人は、その神秘的な街並みに心を奪われた。
基本的にクールな悪そうなお兄さんですらサングラスを外し、その美しさをしっかりと瞳に焼き付けている。
「とんでもねえ発見だ・・・。貴族連中に知られたら絶対パニックになるな」
「誰にも言うなよ?組織の仲間にもだ。それも条件の一つだからな!」
「分かっている。この空飛ぶ島まで来る手段がクーヤ頼みになる以上、アイツ一人に負担が掛かり過ぎて間違いなくキレる。そして貴族街が崩壊する」
「復興したばかりなのに、クーヤちゃん酷すぎだよ!」
「いや、ボクまだ何もしてないんですけど!!」
『ギュア!』
「ん?ドラちゃんが何か言ってるよ?」
ロコ姉ちゃんがドラちゃんを指差した。
一緒に大空を飛んだ仲なので、もう全然怖くないみたいですね~。
「えーとねえ、『秘密基地を見せるからついて来て!』って言ってるの」
「秘密基地!?」
「ってことで、まずはドラちゃんの秘密基地にご招待します!」
ドシン! ドシン! ドシン! ドシン!
あの時のようにまずは神殿に向かってドラちゃんの後をついていく。
そして神殿の中に入り、前回来た時のように滝の水をガブガブ飲んでから台座に座って『秘密基地へようこそ!』と言った。
みんなには『ギュア!』としか聞こえないでしょうけど。
「凄い神殿だな!」
「神殿の中に滝が流れてるなんて感動しちゃうわね~♪」
「いつの時代の神殿なんだろ・・・」
「どの建物もツタが絡まってるから、すごく大昔に造られた神殿な気がする」
ホニャ毛は神殿その物に感動してるけど、悪そうなお兄さんは何かを探しているのかキョロキョロしてます。
「扉があるな。反対側にもか」
「ああ、もう両方とも調べたぜ?そこでナナが持っている杖とタマが持っているメイスを発見した。あとは聖書とかだな」
「聖書か!それって地味にお宝じゃないか?昔の聖書なわけだろ?」
「ほれ」
レオナねえが悪そうなお兄さんに聖書を渡した。
「・・・読めん」
「だろ?お宝なのは間違いないが、その前に文字の解読が大変なんだよ」
「教会に渡して解読させりゃ・・・あ、ダメか。出所の説明ができねえ」
「そいうことだ。まあ時間がある時にって感じだな~」
新選組の参謀だけあって、やっぱ切れ者ですな。
こっちの悩みの種とか、すぐ察してくれる。
「ハイ、ここで問題です!神殿で二つの武器と聖書を手に入れたボク達は、次にどこへ向かったでしょうか?」
大きな声で問題を出したので、悪そうなお兄さんだけじゃなくホニャ毛もボク達の行動パターンを考え始めた。
「もしかして城か!?」
「おしい!城へ向かったのはつい最近です。ヒントはですね~、街に出現した魔物と戦った時に、タマねえが異常なほど強かったこと!」
みんなタマねえに視線を向けた。
そして彼女が右手に持っているメイスを見て、頭からピコンと『!』が出た。
「「武器屋だ!!」」
「「せいかーーーーーーーーーーい!」」
ワー パチパチパチパチパチ!
「というわけで、次は武器屋に向かうぞ!」
「いきなり城に向かわず、最短ルートで行ける武器屋を探すとは渋いな!」
「なるほど!その武器の出所はそこか!!」
「でもそのヘルム、防具屋も見つけたってことよね?」
「お隣が防具屋さんだったから繋げといたよ~」
「魔法屋さんは!?」
「武器屋の向かいにありました」
「やったーーーーーーーーーーーーーーー!」
「じゃあドラちゃん、武器屋さんに行ってくるね~!」
『ギュア!』
というわけで、ドラちゃんをそのままにして武器屋に向かった。
人がいっぱいで楽しそうだったので、今日は大サービスです!
魔物が出るかな?と思ったんだけど、さっきドラちゃんがメインストリートを歩いていたせいか、みんなビビッて逃げてしまったみたいですね。
そして武器屋に到着。
ガチャッ
「「おおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーーーーー!」」
キラキラと輝く武器の数々を見たホニャ毛&黒眼鏡が、大歓声をあげた。
でもキラキラ輝いてるのは、ボク達のおかげですからね?
「ヤバいだろ?これが古代の武器屋だ!」
「こんなに感動したのは久しぶりだぞ!!」
「あれ?でも随分と綺麗ね。大昔の建物なら埃を被ってそうなもんだけど」
「私達が大掃除したんだよ!ここだけじゃなく防具屋も魔法屋も!!」
「エエエエエ!?三つもやったの!?」
「店三軒の大掃除かよ。そりゃ死ぬな」
「本当に地獄でした。私達に感謝して下さい!」
「もう一生掃除なんかしない」
「タマねえ、ゴミ屋敷になりますぞ!」
でも大掃除は、ボクも一生やりたくないです!
「よし、武器を見に行こうぜ!」
「ちょっと待て。その前に見せなきゃならないモノがある。武器の譲渡にいくつか条件を出しただろ?それに深く関係がある大事なモノだ」
「ほうほうほう」
「魔法屋に移動します」
武器屋を出て、ゾロゾロと魔法屋へ入っていった。
そして古代の映写機に宝石をセットし、再生ボタンを押す。
ベレッタお姉ちゃんの顔を見た瞬間泣きそうになったけど我慢した。
最初はワクワクしながら映像を見ていたホニャ毛だったけど、この街を襲った惨事とベレッタお姉ちゃんの決意を聞き、最後には全員涙を流していた。
「わかっただろ?この装備品を受け取るのは軽い話じゃないんだ。だからアタシらは一つ条件を付けた。武器と防具、それとルーンの指輪は頂く。そしてその最強装備でミルラの塔に向かい、ベレッタお姉ちゃんの弔いアタックを仕掛ける!」
それを聞き、ホニャ毛の四人と悪そうなお兄さんの目に力が宿った。
「ハハッ!やってやろうじゃねえか!!」
「理解したわ。何も行動を起こさない者に装備を受け取る資格はない」
「うん。やるしかないよね!」
「ベレッタお姉ちゃんの仇を討つよ!!」
「だが、古代の戦士達が攻略に失敗したダンジョンだろ?おそらくこの国にある最強装備で身を固めてだ。・・・死人が出るぞ?下手すりゃ何人も」
「いや、死ぬまで攻めるつもりはないぞ。無理だと思ったらそこで引く。結果どうこうじゃなく、弔いアタックを仕掛けることに意義があるんだ!」
「なるほど。そういう考えなら問題無い。俺も参加しよう」
やっぱりここにいるメンバーはみんな誠実だ。
だからこそ、レオナねえはこの五人に声を掛けたんだね。
「よーーーし!んじゃ待望の買い物タイムだ!支払いはダンジョンアタックでの頑張りだから、やる気のあるヤツはガッチリ身を固めろ!」
「ガッチガチにしてやんぜ!」
「ただし、ルーン武器はメインと予備の二本までな」
「ルーン武器って何?」
チャキッ
「この文字が彫ってある武器が『ルーン武器』だ。魔力を流すことで文字が光り、攻撃力が跳ね上がる」
「マジかよ!?格好良すぎだろ!!それって店に何本くらいあるんだ?」
「店に置いてある武器の三分の一くらいがルーン武器だ。ルーン防具もあるからちゃんと文字を確認しろよ~」
「そんなにあるのか!よし、みんなまずはルーン武器を探すぞ!」
「「オーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」
ルーン武器を求めて、ホニャ毛と悪そうなお兄さんが動き始めた。
みんな最終的にどんな装備になるのか楽しみなのです!