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第39話 危険地帯からの生還

 カブトムシの襲来で、一瞬で場が緊張感に包まれてしまった。



「えーとね、今のは大部屋の角の方だと思うから大丈夫だよ!」

「大丈夫って・・・、こっちに来る可能性もあるんじゃねえのか?」

「こっち側にはそんなに来ないからヘーキヘーキ!」

「お姉ちゃん、ちょっと足が震えて来たかな~。ははは・・・」



 うーむ、空気が悪いな・・・。

 とりあえず寝室に入ろう!あの部屋はまだ1回しか狙撃されてないから安全だ!



 ガチャッ


 寝室のドアを開けて中に入った。二人も恐る恐る部屋に入って来る。



「えーとね、持ってくのは床に散らばってるヤツ全部なんだけど、持ちやすいように布に包むね!」

「な、なんだこれは・・・。見たことない物ばかりだな」

「クーヤくんってさ、可愛いけど基本的に意味不明よね」


 布か~、何か良いのあったっけか?・・・あ!毛布とかでもいいな。

 ベッドから俺が使ってた毛布を持って来て、床の空いてる部分に広げた。


「とりあえずこの毛布の上に、その辺に落ちてる物を適当に乗せてって!ボクは隣の部屋から違う布持って来る!」



 隣の部屋のクローゼットを開けてみると布団カバーを3枚発見したので、それを持って再度寝室に戻った。



「おいクーヤ!このやたらと重いのは何だ!?」

「あ!それがライガーさんにあげようと思ってた、筋肉を鍛える道具だよ!」

「なにッ!?」

「えーとね・・・、これがダンベルで、こっちがエキスパンダー!」


 これは最新式のダンベルで、まず持ち手部分の両サイドに一番大きな鉄があり、その外側に一回り小さな鉄、更に外側に一回り小さな鉄という、3層になってるヤツだ。


 全部で何キロあるのかは知らないけど、取り外しが出来るようになっているので、好きな重さにして使うことが出来る優れモノだぞ!


 エキスパンダーもバネの取り外しが出来るヤツなんだけど、黒く塗装されている格好良いヤツなので、たぶん買ったら3000円以上するんじゃないかと思う。



 興味津々なライガーさんに使い方を教えてあげた。



「こいつは素晴らしいぞ!!相当価値のあるモノだと思うのだが、本当に俺が貰ってもいいのか!?」

「うん!どうせボクこんなの持てないし」

「じゃあ何でこんな物が部屋にあるんだよ!って疑問は残るが・・・」

「ほら二人とも!遊んでないで早く運ばないと!」



 って、結構近くにカブトムシ接近中!


 ダンダンッ!



「ふ~、隣の部屋だったみたい」

「たった今、クーヤが布を取りに行ってた部屋じゃねえのか!?」

「嘘でしょ!?は、早く荷物を運ばないと!!」



 さすがに遊んでる余裕は無いみたいなので、急いで荷物を馬車まで運びまくった。




 ◇




「もう忘れ物は無いな?」



 そう言われると自信が無くなってくる。

 寝室にあった物は全部持って来たと思うんだけど・・・。


 というかあの屋敷って貴族が住んでた所だから、探せばいくらでも金目の物が出てくるんですよね。


 でもまあそれはいいや。

 今から一人で屋敷に走って行ったら、二人とも追いかけて来ちゃいそうだし。



「まだ何か良いものがありそうな気はするけど、もういいや!」

「あんな怖い所に何度も行ってたら、いつか死んじゃうよ!」

「しかし普通あんな屋敷に住むなんて無理だぞ?クーヤの余裕そうな雰囲気が不思議でしょうがねえ・・・」



 最初は怖かったですよ?

 けど俺の場合は、一度死んだ記憶があるから耐えられるのかもしれない。


 自分がちょっと死に鈍感なのは自覚している。

 なんせ前世が最低最悪だったからな。両親には恵まれていたけどさ。



「じゃあ出発するぞー。荷物を届ける家の場所を知らんから道案内は頼むぞ?」

「「はーい!」」



 そうして三人は無事、狙撃屋敷を脱出することに成功した。


 帰りはライガーさんに道案内しながら家まで行き、ありがたいことに俺の部屋まで荷物を運んでもらった。


 『デカい報酬を貰ってるからな!』と言ってたんだけど、ライガーさんが優しかっただけだと思う。マッチョ的に破格な報酬だった可能性もあるけどね~。




 ◇




 リビングに行くとリリカちゃんがまだゲームをしていたので、これはちょっとマズイと思ってゲームを控えさせる策を考えた。


「リリカちゃん!ゲームって面白いんだけどさ、あんまりやりすぎると目が悪くなっちゃうんだ」


「め?」


 リリカちゃんが両方の人差し指を自分の目に持ってった。

 なんかすごく可愛いポーズだな!カメラがあったら一枚撮っときたいくらいだ。


「ティアナ姉ちゃんって目が悪いから眼鏡かけてるの。だから、ずっとゲームばかりしてたらリリカちゃんも眼鏡をかけることになるかも?」

「えええええええ!?リリカめがねいらなーーーーーい!!」

「だからゲームはやり過ぎないようにしようね!」

「わかったーーーーーーーー!!」


 ティアナ姉ちゃんがジト目でこっちを見た。


「クーヤくんに、お姉ちゃんのこと上手く使われたし!!」

「ティアナ姉ちゃんごめんね!けど、ああでも言わないと・・・」

「あはははは!わかってるよーーー!お姉ちゃんも本を読み過ぎて目が悪くなっちゃったからね~。何事もやり過ぎはダメなのだ!」


 ふ~~~、怒られるかと思った。


 しかし家に帰ったらティアナ姉ちゃんとゲームで遊ぶつもりが、今の警告で出来なくなっちゃったな。遊ぶのは明日にしよう。



『ただいま!』

『『ユ@#ア$ーーー&!』』



 お?玄関からレオナねえの声が聞こえたぞ。

 しかも一緒に友達が来たようで、何人かが謎の単語で続いた。


 一連の流れから、『お邪魔しまーーーす!』って言ったのかな?

 まあ今の単語はそう解釈することにしよう。



 ガチャ



「ただいまー!あ、母さん!明日のことでちょっと仲間と話し合いをするから、夕食を二人分追加してもらってもいい?」


「レオナ、おかえりなさ~い!二人分ね?わかったわ~」


「「こんばんはーーー!」」


 おや?友達もリビングに入って来たみたいだ。


「これお土産です!」

「良かったらご家族で食べてくださ~い!」

「あらあら~!」



「・・・え?」


 レオナねえの友達二人と目が合った。


「ちょ!!なんでここにクーヤちゃんがいるの!?」

「なんで?これは一体どういうこと!?」



 レオナねえの友達二人。


 それは広場で何度も奢ってもらっていた、赤い髪のアイリスお姉ちゃんと、青い髪のナナお姉ちゃんだった。

 

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[良い点] 思わぬ形であの2人と再会!
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