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第376話 古代の映写機を手に入れた!

 お姉ちゃん達が全員集合しているというのに、謎の魔道具は無情にもエロ動画を流し続けていた。


 しかも、おそらくまだ10代と思われる少女を襲っている犯人は大司教様だ。

 だって映像の中にいる少女がそう叫んでますからね!


 当然お姉ちゃん達も、この小太りのおっさんが大司教様だってことに気付いたようで、もう様付けするに値しないと『大司教オオオオオーーーーー!』と呼び捨てにしてぶちキレてらっしゃいます。


 しかしいくら怒鳴ろうとも映像は止まらず、少女は今も小太りの汚いおっさんに全身をベロベロ舐められている所です。



 これはイカンですぞ!早く映像を停止しなければ・・・。



 魔道具にはボタンが6個並んでいるんだけど、一番大きなボタンが再生ボタンだってことしか判明していない。


 結局押してみないことにはわからないので適当にボタンを押してみると、映像が一時停止した。



 ―――――おっさんの汚い尻がドアップになった状態で。



「ノオオオオオオオオーーーーーーーーーー!!」



 慌てて一番左のボタンを押す!



 プツン



 おお、一番左が停止ボタンだったのか!



「ふ~~~、やっと止まってくれたのです・・・」



 白い壁に映し出されていたエロ動画が消えたので、お姉ちゃん達がボクの方を振り返った。



「クーヤ、今のってカメラの映像を流してたわけじゃないんだよな?」

「ボクは、あんな汚いおっさんが主演の映像なんか持ってないのです!」

「一体何がどうなってるの?」

「あの女の子はどうなっちゃうの!?」

「えーと、おそらく大司教様に美味しく食べられてしまったものかと・・・」

「あの腐れ外道に『様付け』なんて必要ねえ!」

「許せません!映像じゃなかったら叩き斬ってるところです!!」



 タマねえが、ジッと自分のメイスを見つめていた。

 次の瞬間、彼女の目が怒りに染まり、メイスのルーン文字が光り輝く。



 ダダダダッ! ガシッ!



「待て、タマ落ち着け!悪いのは大司教であって、武器には何の罪も無い!」

「そうだよタマちゃん!気持ちはわかるけど落ち着こう?」

「離して!!タマには、神殿のベッドに寝ている骸骨をこのメイスで粉々にする使命がある!」

「そんなことをしてもメイスが穢れるだけだって!」

「あの大司教は万死に値しますが、もうとっくの昔に死んでいます!」

「そうだよタマねえ!悪には天罰が下った後なのです!」



 怒り狂うタマねえを抑え込むのは大変でしたが、みんなの説得により、ようやく怒りを鎮めてくれた。



「フーーーッ!フーーーッ!フーーーッ!」



 大司教さ、いや、大司教の部屋で見つけたメイスを持ってるわけだから、やり場のない怒りが渦巻くのは無理からぬこと。


 でもアイリスお姉ちゃんの言う通り、あのおっさん骸骨を粉砕したところでメイスが穢れるだけなのだ。



「でも今の映像って、クーヤが何かしたんだよな?」


 くっ、ボクのせいでお姉ちゃん達に汚いモノを見せてしまった。


「えーとですね~、この魔道具を動かそうと思って魔石を交換してから、大司教部屋の金庫にあった赤と青の色が付いた宝石をセットしてみたの。そして一番大きなボタンを押したら映像が流れ始めたのです!」


 みんなの視線が魔道具に向いた。


「すなわち、この魔道具ってカメラなのかな?」

「すごい大発見じゃない!?」

「なるほど・・・。大司教が大切に保管してあった宝石は全て、今の最低な動画だったということなのですね?」

「あの宝石は全部叩き割った方がいい!」

「待て、早まるな!確かに大司教はクズだし汚いおっさんだが、あの女の子はすごく可愛かっただろ!」

「いや、そこ!?」

「今の動画は見る価値も無いけど、他の宝石には昔の貴重な映像が残ってるかもしれないよ!」


 あ、なるほど!たしかに全部がエロ動画とは限らない・・・のか?


「・・・あれ?今の映像なのですが、何をしゃべっているかちゃんと聞き取れましたよね?」


 プリンお姉ちゃんの指摘に、本の文字が読めなかったことを思い出した。


「そういえば普通に会話が聞き取れた!本は読めなかったのに!」

「もしかして、言葉は昔も今も変わってないっつーことか?」

「文字だけが変化しちゃったのかな?それならば思ったより簡単に解読できるかもしれない!」

「教皇様の部屋でも色付きの宝石が見つかりましたよね?あっちの宝石ならまともな映像が記憶されているかもしれません!」



「えーと、残念なお知らせがあります・・・」



 みんなの視線がショタに集まった。



「宝石はすべて宝石ハムちゃんに持たせちゃったので、大司教のお宝エロ動画とごちゃ混ぜになってます!」



「「な、なんだってーーーーーーーーーーーーーーー!?」」



 だって、ただの綺麗な宝石だと思ってたんだもん!

 ビデオテープだって知ってたら、変なのと混ぜるなんてことしなかったのに。



「・・・あ、もしかして大掃除の時にクーヤに渡した色付き宝石も?」

「ごちゃ混ぜなのです!」

「マジか!!魔法屋で見つけた色付き宝石なんだし、商品説明とかされてる可能性あるよな?」

「あーーーっ!その可能性すごくありそう!」

「大司教の金庫で見つけた宝石の数は?」

「えっと~、8個だったかな?」

「半分以上が小太りの汚いおっさんの全裸動画かよ!探すのも地獄じゃねえか!」

「あの金庫の中身が全て全裸動画と決まったわけではありませんが・・・」

「いや、絶対全部エロ動画。間違いない」


 ボクも全部エロ動画だと思います!あいつはそういう人間です!!


「汚いおっさんの全裸なんか見たくねーけど、調べるしかねーか・・・」

「その前に一つ試してみたいことがあるのです!」

「なんだ?」

「神殿の魔道具には透明な宝石がセットされてたじゃないですか。もしかすると宝石の中身が空っぽだから透明だったんじゃないかなあ?それなら録画ができると思うのですよ!」

「なるほど!エロ動画が存在するってことは、そういうことだよな!?」



 魔道具から色付き宝石を外し、透明な宝石をセットした。



「一応、再生ボタンをポチッ!」


 うん。やっぱり映像が流れない。


「やっぱり透明な宝石は空っぽみたい」

「ほうほうほう!」


 左からボタンを一つ一つ押していくが魔道具は反応なし。

 そして一番右のボタンを押した時に小っちゃいランプが光った。


「あっ、録画が始まったかも!!」

「おお!?でもどこを録画してるんだ?」

「そういえばどこだろ?・・・あの白い壁かなあ?」

「ちょっと待ってろ!」



 レオナねえが白い壁の前に移動し、服を脱ぎ出した。



「このおバカ!なんで脱いでんのさ!」

「エロ動画なんだから裸にならなきゃダメだろ!」

「誰がエロ動画を撮るなんて言いましたか!普通でいいのです!」

「普通じゃ面白くねーじゃん!プリンアラートもこっち来い!」

「絶対脱ぎませんからね!」


 とか言いつつ、プリンお姉ちゃんもレオナねえの隣に並んでポーズを決めた。

 とりあえずテストしてるだけですので、停止ボタンをポチッ。


「はいオッケーです!二人とも戻って来てください!」

「もう終わりかよ!」

「本当に録画されてるかもわからないのですから、とりあえずおしまい!」



 二人がこっちに戻って来たので、再生ボタンをポチッ。



『あっ、録画が始まったかも!!』

『おお!?でもどこを録画してるんだ?』

『そういえばどこだろ?・・・あの白い壁かなあ?』

『ちょっと待ってろ!』


 お?さっきの会話が聞こえてきた!

 そして白い壁にレオナねえが現れ、服を脱ぎ出した。


『このおバカ!なんで脱いでんのさ!』

『エロ動画なんだから裸にならなきゃダメだろ!』

『誰がエロ動画を撮るなんて言いましたか!普通でいいのです!』

『普通じゃ面白くねーじゃん!プリンアラートもこっち来い!』

『絶対脱ぎませんからね!』



「「あーーーっはっはっはっはっはっはっはっはっは!」」



 すげーーーーー!この魔道具って本当にカメラだったんだ!

 いや、カメラというより映写機に近いのかな?白い壁に映してるわけだし。


 これはとんでもない発見ですよ!?

 モコティー先生の夢が叶うかもしれないね!

 

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