第374話 ルーン装備の謎が一つ解明される
ペカッ!
タマねえが見つけてきた、漆黒の胸当てに彫られた『ルーン文字』が光り輝く。
「「死ぬほどカッコイイ!!」」
すでに自分で確認済みだろうけど、やはり人から褒めてもらえると嬉しさも倍増しますので、タマねえも誇らしげな表情です。
「防具のルーン文字の格好良さもヤベーな!」
「しかもその胸当てって、色を塗ったわけじゃなく最初から黒いのが良いよね!」
「タマちゃん専用装備として作られたみたい♪」
「何の素材を使ったら、その様な色の防具になるのでしょうね?」
「やっぱ黒い鉱石なんだろうけど、そんな鉱石に心当たりはねえな」
黒い鉱石・・・、絶対石炭じゃないのはわかる!
「でも黒ポンチョ着たら隠れちゃうよ?」
「冒険する時は着ない。黒ポンチョは普段着」
「なるほど!使い分けするんだね~」
これほどまでの格好良さとなると、隠してしまうのは防具に失礼というもの。
しかしタマねえが注目される快感に目覚めるとは思わなかった。
自分は自分、他人は他人ってタイプだからね~。
「レオナ、それっていつものビキニじゃないよね?・・・え、ウソでしょ!?まさか本当に赤いビキニがあったの?」
「あった!アタシも驚いたんだが、大きさもほぼピッタリだ。ただ金の縁取りが無いからビジュアル的にはちょっと弱くなった。ルーン防具としての効果が弱くなる可能性があるから、改造するかどうかで悩むな~」
そう言ったレオナねえが、赤いビキニを光らせた。
「十分格好良いじゃない!!」
「おおーーーーー!良いのを見つけたね!」
「まあな、結構満足してるぜ!ああ、それとスゲー面白いモノを見つけたぞ」
そう言いながら、長いベルトの様な物を手に持った。
「コレさ、ルーン文字が書かれてるんだ。・・・でだな~」
レオナねえが、ベルトを腕にグルグル巻きつけていく。
最後にカチャッと音が鳴った。
何やら特殊素材のようで、腕に巻いた状態で形状が固定されて、その状態を維持できるようだ。
ペカッ
「「おおおおおーーーーーーーーーーーーーーー!」」
胸当てみたいな強い光じゃないけど、蛍光塗料のようにルーン文字が光ってる。
「これもルーン防具っぽいんだよ!腕とか太ももとかに簡単に装着出来るから、弱い部分を守るのに最適じゃね?防御力はそこそこだろうけどな」
「いいじゃん!それまだあるの?」
「100本くらいあったぞ!両手両足で4本必要だが、全員持っていっても余るぜ!」
「やった!そういうのが欲しかったんだよ!」
流石は古代の防具屋ですね~。
軽そうだし、ボクももらっちゃおう!
ペカッ!
「え!?文字が水色じゃないですか!!」
「何だこりゃ!?縁取りじゃなく、文字そのものの色も変えられたのかよ!」
「そうそう!ナナの杖みたいな感じなのかと思ったら全然違った!」
アイリスお姉ちゃんが選んだ白いビキニは文字が水色でした!すごく良い革の鎧を見つけたようで、それにこの白いビキニを合体させて使うみたいですね。
どうやら革のルーン防具ってのは無いらしく、だったらアイリスお姉ちゃんのオシャレ装備みたいにしてしまおうってことになったのだ。
何をどうやったらルーン防具として成立するのかは謎ですが、おそらくルーン文字を刻んだだけじゃこうはならない。鉱石に何かを混ぜ合わせてからルーン文字を刻むことで、ルーン装備になるのかもしれないね。
だから革のルーン装備が無かったんじゃないかな?混ぜ合わせられないから。
たださっきのベルトに関しては意味不明だけど。
そして満を持して、プリンお姉ちゃんの登場です!
ペカッ!!
「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」
全身にルーン防具を装備したその姿は圧巻でした!
どうやらプリンお姉ちゃんは、ドレスとルーン防具を組み合わせる通常モードと、全身ルーン防具で固めた本気モードの2パターンを用意したみたいです。
このメンバーだと防具の取り合いにならないので、『防具を2セット持っていっていいよ』って許可が出たのだ。
防御型の前衛であるプリンお姉ちゃんの強化はチーム全体の強さに直結するので、誰も文句言うわけないですよね~。
ただ一つ気掛かりなことが・・・。
「ねえねえプリンお姉ちゃん!そこまでピカピカで魔力大丈夫なの?」
ギャラリー達も、『そういえば魔力のことがあった!』って顔になった。
「全然分かりません!私もそこが気になったので、とりあえずグルミーダ装備を外して連続稼働時間の限界を調べている最中ですね。たった今始めたばかりですが」
「あ~、それで剣も盾も光らせてるのか!」
「手袋で試した時は、1時間ちょいで活動限界だったよね」
「ん~~~~~、節約しながら戦うのって大変じゃない?」
「魔物の革とは違うかもしれない」
「たしかに!こっちはルーン装備だもんね~」
魔力を気にせず戦えたら最高なのに。
「・・・あ、今日はもう魔法屋の大掃除までしませんよね!?」
「やらん!!」
「無理ーーーーーーーーーー!」
「うん。私も今日はもう休みたいかな~」
「絶対無理」
「そこまで急ぐ必要はないのです!」
そんな会話をしているうちに、1時間が経過した。
「プリンお姉ちゃん、1時間経ったよ?」
それを聞いた全員が、ボクの目覚まし時計を見た。
「どうよ?」
「ん~~~~~、なぜかまだまだいけそうな感じですよ?」
「え?本当に!?」
「何で??グルミーダの手袋で試した時は、具合が悪くなってた頃なのに」
「ルーン装備だから?」
「一体どういうことなんだろ?」
それから20分くらい経っても全然余裕そうだったので、武器屋のくつろぎ空間に移動した。
どうも検証が長引きそうなので、ナナお姉ちゃんが武器屋と防具屋を直結させる通路を作り始めた。
とりあえず今日は通路が完成したら帰宅かな?
1時間くらいで作れるそうなので、ちょうどいい時間なのです。
「通路が完成したよーーーーー!」
ナナお姉ちゃんがくつろぎ空間に戻って来た。
「「お疲れ様!!」」
「これで防具屋に行くのにわざわざ外に出なくて良くなったな!」
「プリンちゃん、魔力はどう?」
「えーとですね~、まだまだいけそうな感じですよ?」
「どういうこと!?」
「謎すぎる」
・・・あ、理由がわかったかも!
「もしかすると、ルーン装備は込められる魔力の上限があって、最小限の魔力で長持ちさせられるのかも?グルミーダの革は無制限でガンガン魔力が入っていっちゃうから、カッチカチにはなるけど魔力の消費が激しいんじゃないかな~」
ボクの考察を聞いて、お姉ちゃんズの目が大きく開いた。
「クーヤ、たぶんそれだ!!」
「なるほど!ルーン装備ってそこまで考えて作られてるんだね~」
「昔の職人さん凄すぎない!?」
「ということは、全身ルーン装備でも問題なく長時間戦えるのでしょうか!?」
「たぶん?でもちゃんと検証しといた方がいい」
「だね!ルーン装備はやっぱりすごいのです!」
おそらくグルミーダの手袋は、素材そのままだから非効率なんだね。
ボクの場合は魔力垂れ流し状態でも余裕だし、重いの何一つ装備できないから、今のままで全然問題ナシだ!
ただお姉ちゃん達は、ちょっと考えて装備品を選んだ方がいいかもですね~。




