第373話 フェニックス
出現したら大当たり確定な虹色の鳥を召喚したハズが、出てきたのは全身が炎に包まれた不死鳥でした!
今も尚、周囲に炎を巻き散らし続けているので、すぐ隣にクッソ熱い鳥を並べられたメルドア達は、ビックリしてこっちに避難して来ました。
『オンオンオンオン!』
『ガウガウガウガウ!』
『ンゴゴゴゴゴゴゴ!』
近所迷惑な鳥に対して、『お前さっきから何なんだよ!』『熱いんだよバカタレがあああ!』『ナメとんのか?ぶち殺すぞコラ!』と、めっちゃキレてます。
さっき燃やされて焦げてるわけですし、そりゃ怒りますよね・・・。
「・・・鳥くん。なんで燃えてんの?」
『ピュイッ!ピュイピュイピュイッ!』
さっぱりわからないそうだ。
「えーと、それ熱くないの?羽毛とか大丈夫?」
『ピュイ?・・・ピュイーーーーー!!』
「おいクーヤ、アタシ達にも分かるように翻訳してくれ!」
おっと!お姉ちゃん達も会話内容が気になりますよね。
「今のはですね、『アレ?そういえば熱くないかも!?むしろ清々しくて気持ちいいかも!!』・・・と言っております」
「大炎上してるのに清々しいのかよ!!」
不死鳥に生まれ変わって、炎上してるのがデフォルト状態となったのかもしれないですね。非常に暑苦しくて清々しさの欠片もないけど。
「その炎は消せないの?」
『・・・・・・・・・・・・』
鳥くんが頭をコテッと横に倒してからフリーズした。
どうやら火を消そうと色々試行錯誤しているらしい。
『ピュイ』
「消せないみたいです」
「マジかよ!こんな燃え盛ってる鳥となんか一緒にいられねーぞ!」
「ボクも無理です!しょうがないから謎空間に帰ってもらうしかなさそうですね」
もう暑い夏が始まるって季節なので、炎とかお呼びじゃないんですよ。
「もう少しお話がしたかったけど、みんな炎が熱くて限界みたいですので、また今度ゆっくりお話しするってことで、今は謎空間で休んでてください。今日からボク達は仲間です!よろしくね~!」
「「よろしく!」」
『ピュイーーーーーーーーーーーーーーー!』
というわけで、不死鳥くんを消した。
ついでにメルドア達も焦げたままだったので、一度消して再召喚した。
忘れないうちに、『カラフル鳥』って名前を『フェニックス』に変更。
「なんかすごく変な鳥を手に入れてしまったのです。『不死鳥』って名前に変更したので、その名前で呼んでください!」
「フェニックスか!スゲー格好良い名前だな!」
「すごくいい!」
「しかもあの燃えてる鳥、メチャクチャ強いんじゃない?」
「近寄っただけで火傷するよ!」
「天使様の召喚獣がまた強化されてしまいましたね!」
不死鳥なんて、ドラゴンと双璧を成すレアモノだよね!
存在自体が近所迷惑だから非常に使いにくい召喚獣だけど、おそらく必ずどこかで使う場面があると思う。
メッチャ頼りになる切り札ゲットだぜ!
「さて、大掃除の続きだ!でもクーヤは一人で遊ばせておくとまた何かやらかしそうだから、くつろぎ空間にいるんだぞ!」
「レオナの言う通りだよ!家の中でジッとしてなさい!」
「エエエエエーーーーー!?でも、この空飛ぶ島は本当に危険なのがわかったので、くつろぎ空間でジッとしてるであります!」
お姉ちゃん達を心配させたのは事実なので素直に反省し、ビシッと敬礼した。
武器屋と防具屋の入り口辺りをメルドア達に警備させた後、ボクが防具屋に入って行く姿を見届けたお姉ちゃん達は、ようやく一安心して大掃除へと戻って行った。
◇
「大掃除完了だコノヤローーーーーーーーーー!!」
「「やっと終わったああああああああああ~~~~~!」」
武器屋は2時間で終わったのに、防具屋の大掃除はやっぱり3時間コースでした。
武器は表面を拭けばいいけど、防具には内側もあるのですよ。
しかも繋ぎ目に埃が詰まったりしているので、掃除がメチャクチャ大変なのだ。
ボクが呼び出されたのは後半だから全然元気ですが、お姉ちゃん達は3時間フルコースだったので、全員床で大の字になって転がってます。
扇風機を召喚してスイッチオン。
武器屋に行けば扇風機があと5台あるのですが、向こうは向こうでベストポジションに配置してあるので動かさない方がいいでしょう。
こっちにも扇風機が欲しいなら、また買って来ればいいのです。
「防具を磨きまくったからいくつかは見たんだけど、結局ルーン防具ってどれくらい見つかったの?」
「武器屋と一緒だぜ。置いてある三分の一くらいがルーン防具だ!」
「すごく疲れたけど、自分の防具を選ぶのが楽しみだね!」
「オシャレ装備と合わせる感じになるから、プリンちゃん以外は目玉商品の防具一式からは拝借しない方がいいのかな?」
「アタシなんてビキニ以外いらねーしな。防具を見てるうちに何かしら欲しくはなりそうだけど」
「私は目玉商品から良い物を頂きたいですね!すでに目を付けた防具がいくつかありますよ!」
「タマも良い胸当てを見つけたからゲットする!」
「もちろんボクに装備できる防具なんて無いです!」
ボクの場合魔力で解決できる服がベストなので、結局グルミーダの服が軽くて一番良いんだよね~。
ナナお姉ちゃんも防具屋で欲しいアイテムは無いんじゃないかなあ?
「そういや通路はどうする?」
「ああ、武器屋から直接来れるようにしたいね。そうすればこっちに家具とか置かなくてもよくなるし」
「通路は1時間もあれば作れるよ。でも防具屋にも窓ガラスと扇風機が必要だね。あとホニャ毛が来た時用の家具一式も」
「ガイアさんも絶対来ますし、普通の椅子とかもあった方がいいですね」
「くつろぎ空間に全部入る?」
「配置を変えればいけそうだよ?今でも十分余裕あるから」
「小さいテーブルとかもあった方がいいな。空きスペースを見てから相談って感じになるが、みんなそれぞれ必要な物がないか考えといてくれ」
なんかもう、ここに住みそうな勢いですな。
これからウチの隣の空き地に大奥を建てるとこなのに。
「大掃除も全部終わったし、後はもう防具の観賞をするだけだね~♪」
そう言ったアイリスお姉ちゃんが、全身の凝りを解すように両手を伸ばして『ク~~~!』って声を出した。
「まだ終わってないけど?魔法屋の大掃除が残ってる」
ナナお姉ちゃんの恐ろしい一言に、全員フリーズした。
「ま、魔法屋・・・だと!?」
「な、なんということなの!!」
「武器・防具・魔法はセットだよ!!」
「完全に忘れてました!確かに魔法屋もどこかにあるハズですよね・・・」
「クーヤ・・・、タマはもうダメかもしれない」
「安心してください。満場一致で全員がそう思ってます!」
終わったと思った瞬間次の大掃除が始まる。
掃除に終わりはないのだ!