第370話 古代の武器屋は宝の山でした
長年放置されていた武器屋の埃は凄まじく、棚の上どころか天井の埃まで掃除機で吸い込んでたんだけど、『どうせだから寝泊りできるくらい綺麗にしようぜ!』って流れになり、途中から本気の大掃除に切り替わった。
くつろぎスペースならもっといい建物を選択するべきなんだろうけど、武器をピカピカに磨くついでってのもあるし、そもそもお姉ちゃん達は武器に囲まれていることに幸せを感じるみたいです。脳筋なので。
そして2時間くらいかけて武器屋の中をピカピカにしました!
もちろん店内に飾ってある武器も全部ピカピカです。
「大掃除完了だコノヤローーーーーーーーーー!!」
「「やっと終わったああああああああああ~~~~~!」」
戦力外通告を受けたショタを除き、全員汗びっちょりですね。
いや、外を歩き回ったボクもすでに汗をかきまくった後ですが。
みんな動き回って熱気がこもっていたので、扇風機を呼び出して風を浴びながら一休みです。大掃除中は埃が舞うから使えなかったのだ。
「ねえねえ!結局ルーン武器っていくつ見つけたの?」
「いくつっていうか、店内にある武器の三分の一くらいがルーン武器だったぞ!」
「メチャクチャいっぱいあって驚いたよね!」
「宝の山だよ!!」
「でも、現存するルーン武器はもうこれしか無いという考え方もできます。まだ他にも武器屋が見つかる可能性はありますが」
「なるほど。いっぱいあるけど貴重!」
そうか!大量のルーン武器を見つけて喜んでたけど、もうルーン武器を作れる職人さんがいないのだから、現物のみという貴重なお宝なんだ。
そうなると絶対雑には扱えないよね・・・。
「さて、そろそろアタシの愛剣となる『ルーンソード』を見つけるとするか!」
「使わないのに欲張るのもどうかと思うから、メインと予備で一人2本までってことにしない?」
「そうだね~。ホニャ毛にもルーン武器をあげたいし、残った武器はそのままココに置いておこうよ。空飛ぶ島だから盗まれる心配もない!」
「賛成です!というか予備の剣までルーン武器なのは贅沢なくらいですね」
「メイスじゃない打撃武器も気になる!」
「ボクも重くない武器をゲットする!」
「クーヤが物理攻撃する姿は想像できねーけど、『ルーンナイフ』の一つくらいは持ってた方がいいかもな~」
ここからは仲間と話し合う必要もなく、自分が一番使いやすい武器を選ぶだけなので、それぞれ気になってた武器の元へと散って行った。
たった今レオナねえが言ったように、ボクが扱えそうな武器といったらナイフくらいしかないので、ナイフだけが並べられている棚の前に移動した。
お姉ちゃん達はみんな武器を選ぶのに忙しいので、みかん箱を召喚してその上に乗っかってルーンナイフを探す。
ちなみに、みかん箱はダンボールじゃなくて、木で作られた頑丈なヤツです!
チャキン!
「おおおーーーーー!武器屋のナイフって格好良いヤツばかりですな~」
壁にズラッと並んでいる剣などは、抜き身の状態で専用の鞘と一緒に飾られているから一目でルーン武器だということがわかるんだけど、棚の上に飾られている剣やナイフは鞘に収まった状態なので、一つ一つ抜いて確認しないとダメなのだ。
見た感じ『ルーン文字』はどれも剣身に彫られているので、鞘に入ったままだとルーン武器かどうかわからないんだよね。
そしてルーン武器が目玉商品として売られていたのはもうほとんど確定で、壁の目立つ場所に飾られている武器は全部ルーン武器でした!
抜き身で飾られている理由はもちろん鞘よりも中身が重要だからなんだけど、ルーン文字が見えるようにってのもあるんじゃないかな?
お客さんにイチイチ『それはルーン武器なのか?』と聞かれるのも面倒臭いだろうし、店内のスタイルはこれがベストなんだろね。
当然お姉ちゃん達も、壁に飾られている目玉商品を吟味しておりますぞ!
棚に置いてある武器よりも値打ち物だってのは、もう一目瞭然ですので。
ただナイフは基本的にメイン武器にするような物じゃないので、壁に飾られているのは4本くらいしかないのだ。
一応あのナイフも後でチェックしてみるけど、そのすぐ側でお姉ちゃん達が剣をブンブン振り回しているので、危なくて近寄れません!
というか小さな子供がちょこまかしてると絶対迷惑になるので、少なくとも今だけは邪魔にならない場所にいないとね!
グリップと鞘が黒と金でデザインされた、中二心をくすぐる『ルーンナイフ』を発見したので、使い勝手とかガン無視のビジュアル重視でこれに決めた。
いや、どう考えたってコレしかないっしょ!
重さもバッチリなのですよ。
魔力を流してみると、ナイフの剣身に刻まれたルーン文字が光り、興奮して心臓がバクバクするほどカッコイイ!
このナイフを見つけただけで、今日はもう大満足です!
ただビジュアル重視で選んだボクと違って、お姉ちゃん達は総合力をみて本気で選んでいるので、結構時間が掛かりそうだと思い、お母さんに『今日はちょっと遅くなるけど心配無用なのです!』とハムちゃん通信を飛ばしておいた。
◇
「あっ!その『クレイモア』は私も気になってました!」
「やっぱりコイツしかねーだろ!長さも重さも丁度いいし、何よりこの黒に近い重厚な色合いの剣身が格好良すぎる!」
「わかります!この武器屋に置いてある剣って色が格好良いですよね~♪」
「プリンアラートは『バスタードソード』にしたんだな」
「私は盾を持ったり剣を両手で持ったりしますので、この長さがベストなんです。それに見て下さい!」
プリンお姉ちゃんが剣に魔力を流すと、ルーン文字が浮かび上がった。
「「ルーン文字が赤いし!!」」
「格好良すぎません!?」
「見た目がすでに格好良いのに、ルーン文字まで格好良いのかよ!?」
さすが冒険者だけあって、見ただけで剣の種類がわかるのがすごいよね~。
ゲームなんかで出てくる名前だから、聞いているだけでワクワクします!
「ねえねえ!アイリスが持ってる槍って、ちょっと珍しい形してない?」
「うん。これもたぶん『グレイブ』かなって思ってるんだけど、いつもの形状よりなんか強そうでしょ?」
「すげえ強そうだし、その青っぽい色がカッケーーーーー!!」
「色を塗った感じではないですよね?使った素材の色なのでしょうか?」
「全然わかんないけど、もうこれしかないと思った!あとあそこに飾ってあった弓もゲットした!」
「そのすごく美しい弓も絶対強いと思う!」
「ルーン効果がどんなもんなのかだな」
「普通の矢でも大丈夫なのでしょうか?」
「それは謎だけど、矢筒に入っていたのは普通の矢だったよ」
矢の1本1本にルーン文字を彫っても、イチイチ拾って歩くのが大変だしな~。
弓本体に彫ってあれば十分なのかも。
まあ使ってみてどうなるかだね~。
―――――タマねえが持っている武器に視線が集まった。
「そのトゲトゲの鉄球がついた武器、エグくないっスか?」
「そいつは『モーニングスター』だ。柄と鉄球の間に鎖が付いたタイプのもあるが、それは一体型のヤツだな」
「ブラブラしたヤツは慣れるまでが大変だし、絶対こっちのがいいと思う!」
「強そうだから持ってきたけど、たぶんメイスの方が強いから使わないかも」
「メイスは大司教様の部屋で見つけたお宝ですからね。確かに武器屋で買えるようなモノとは格が違うのかもしれません」
「モーニングスターは予備の武器ってことでいいんじゃないかな?」
予備がルーン武器ってだけですごいよね!
「クーヤはその豪華なナイフにしたのか!」
「あっ!さっき拭いた時にカッコイイと思ったヤツだ!」
「でも壁に飾ってあるナイフの方が性能良さそうだよ?」
「えーと・・・、悪そうなお兄さんを連れて来たらナイフが必要になると思って。やっぱり強い武器は強い人が持った方がいいと思うのですよ」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
むぎゅ
ナナお姉ちゃんに抱きしめられた。
嬉しいけど、ちょっと暑いです。
「クーヤちゃん優しすぎるーーーーー!!」
「天使はここにいたッ!」
「なるほど・・・一理ある。クーヤの真骨頂は召喚であって、ナイフで戦うのは追い詰められた時くらいだもんな」
「ガイアさんなら間違いなく、あのナイフを自由自在に使いこなしますよ!」
「さすクー。でもそのナイフもたぶん普通に強い」
「当然だ!そいつも『ルーンナイフ』なのだからな!」
というわけで、メンバー全員が『ルーン武器』持ちとなりました!
あとは初代メンバーの黒眼鏡をいつ連れて来るかですな~。
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