第369話 ルーン武器を手に入れよう!
手袋を光らせた時のように今度はメイスを光らせて、この世界に『ルーン武器』が存在したことを発見したタマねえでしたが、冷静に考えると『何これ?』とか言ってた気がするので、世紀の大発見に本人は気付いていなかったみたいですね。
そしてメイスを手に入れた神殿で伝説の杖を入手していたナナお姉ちゃんも、連鎖的に自分の杖が『ルーン武器』だということを発見しました。
杖を光らせた状態で魔法を使ってないから、現時点で『ルーン文字』の効果は不明ですが、魔法の威力が上がるなど、何かしらの効果があるんじゃないかと思われますので、めっちゃ期待してしまいますね!
「攻撃力が上がったのは間違いないだろ!初めて見る魔物だけどこの大きさだぜ?今までなら倒すのにもっと時間が掛かってたハズだ」
「私もそう思います。『ルーンメイス』の破壊力は凄まじいですよ!」
「ルーンメイス!?」
「いいね!その呼び方格好良すぎだよ!」
「すごくいい!本当の名前がわかるまで『ルーンメイス』って呼ぶ!」
「じゃあナナお姉ちゃんの杖は『ルーンスタッフ』だね!」
「うわ~良い響き!特別感があってどんどん誇らしい気持ちになってきたかも!」
「こうなってくると、自分の愛剣がみすぼらしく思えてきたんだが・・・」
「わかる!もう時代はルーン武器なんだよ。早く見つけ出さないと!」
新種の武器の発見に、ボク達はまだ盛り上がっていた。
しかしレオナねえの気持ちも、すごくわかるかも・・・。
強さもなんだけどさ、ルーン武器の見た目が格好良すぎるのだ!
例えるなら自転車とバイクくらい違うかもしれない。
そして『ルーン武器』って響きもカッコイイんだよな~。
クーヤちゃんだけ可愛いに特化してるから、ルーン武器を持ったところでな~って思ったりもするけど、それでも欲しいもん。
武器屋を見つけたら何かしらルーン武器をゲットしよう!
軽い武器限定ってところがにくいぜ・・・。
結局、それっぽい建物だけを探索するのはやめて、神殿の隣の建物から一つずつ調べていくローラー作戦に切り替えた。
中にはグシャリと潰れている建物もあるが、そんな酷い状態の建物でも武器が埋もれてる可能性があるので、瓦礫を撤去して軽く調べてから次へと進む。
神殿と違って入り口のドアに鍵が掛かってる場合も多いので、凄腕シーフが大活躍ですよ!
物欲に囚われて死んだらアホでしかないので、崩れそうな建物は無理して奥まで調べず、安全を重視しております。
ズガン!
ナナお姉ちゃんの氷魔法が炸裂し、魔物が力尽きた。
「おい嘘だろ!?今の氷魔法、魔物の身体を貫通しなかったか!?」
「やっぱり威力が上がってるよ!」
「うわ・・・この杖本当に凄すぎる!魔力を流さない状態でも魔法の威力が上がってたんだけど、魔力を流して文字を光らせたら更に威力が跳ね上がった!」
「最強の杖を持つと、これほどまでに変わるものなんですね~」
思った通り、ルーンスタッフを光らせると魔法攻撃力も上昇するようで、ナナお姉ちゃんがメッチャ強くなりました!
「メイスも通常時と光らせた時の攻撃力を比べたらかなり違った!でも魔力の消費が気になるからちょっと節約する」
「やっぱ問題はそこだよな~。ナナの方はどうなんだ?」
「ん~、どうなんだろ?もう少し魔法を使って魔力を減らさないとハッキリわからないかも」
「街の中にいても結構魔物が出てくるから、派手に魔法を使っての検証も今日はちょっとできないね~」
「今すぐ知る必要も無いと思いますよ。戦ってるうちに体感するしょうから」
「タマねえも具合が悪くなるまで頑張らなくていいからね!みんな疲れたら戦闘はメルドア達に任せればいいし」
「うん、大丈夫」
やっぱりルーン武器を持った二人が今日の主役なのだ。
しかし未知の魔物が頻繁に出現するので、武器の検証をするにはちょっと危険でもあるんだよね。
まあAランク冒険者のお姉ちゃんズが全員集合してるわけだから、二人の魔力が切れたとしても余裕だとは思うけど。
ただルーン武器未所持の三人が攻撃力に差をつけられちゃったので、さっきから元気がないんだよね・・・。早く新しい武器を装備させてあげたいです。
とにかく、そんな感じでメインストリートの建物をどんどん探索していった。
◇
ギギギギ・・・
扉を開いたレオナねえが、目を大きく開いた。
そして後ろを振り返った。
「当たりだ!!」
「「キターーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」
やった!
歩きすぎて正直もうヘトヘトだったけど、やっと武器屋を見つけたぞ!
ただ、窓が閉まっているのかツタで日光が遮られているのか知らないけど、店内がかなり薄暗かったので、ナナお姉ちゃんが魔法の光の玉を浮かべた。
「相変わらず埃が半端ないけど、これ全部武器で間違いないだろ!」
「やった!剣だけじゃなく槍もある!」
「あの壁に飾られている大きな剣の隣に弓もありますよ!」
「みんな良かったね!杖はたぶん無いと思うけど」
「杖って武器屋に売ってるもんなの?」
「店による。あるところにはあるんだが、どっちにしても武器屋に置いてある杖は微妙な性能だな。魔法屋で売ってる杖の方が遥かに質が高い」
「そうだったのかーーーーー!ちょっと期待してたのに」
ティアナ姉ちゃんが『魔法屋行ってくる!』とか言ってるのを何度も聞いてるから、その存在は前から知ってたんだけど、武器屋にも杖とか普通に売ってるもんなのかと思ってた。やっぱり餅は餅屋で買えってことなんですね。
「うーむ・・・、積もり積もった埃のせいでルーン武器なのかさっぱりわからねえ!まずは掃除しなきゃダメだなこりゃ」
「面倒臭いけどやるしかないか~」
「武器の埃を落としてからウェットティッシュで拭こうか」
「落ち着いて武器を選びたいので、床の埃もなんとかしませんか?」
「じゃあウチから掃除機呼び出す?お母さんが困るかもだけど」
「頼む。こりゃ掃除機が必要だ」
「ハムちゃん通信で一言伝えればいいんじゃない?」
「タマの家の掃除機も呼び出して!」
「オッケーーーーー!」
というわけで掃除機を2台呼び出し、武器屋の大掃除が始まりました!
床から掃除しても二度手間になるので、武器が乗っている棚の上の埃から掃除機で吸い込んでいく。
頭上から埃が降ってきて盛大にクシャミしていると、『クーヤは入り口を見張っていてくれ』と戦力外通告されてしまいました。
仕方がないので武器屋の入り口を封鎖するようにクマちゃんを呼び出して愚痴をこぼしていると、中から『よっしゃーーーーー!』と聞こえてきた。
「ルーンソードがあったぞ!!」
「え?もう見つかったのですか!?」
なんですとーーーーーーーーーー!?
「うはっ!いきなり見つかるなんて凄くない?もしかして宝の山!?」
「やったーーーーー!全員分のルーン武器が集まるかも!!」
「やっぱり武器屋に来て正解!」
居ても立っても居られず、レオナねえの側まで駆け寄った。
すると頭上から埃が大量に降って来て、思いっきり頭から浴びた。
「くしゅん!くしゅん!くしゅん!」
「おい!だから避難してろつったじゃん!」
「「アハハハハハハハハハハハハハハハ!!」」
また酷い目にあったけど、レオナねえの嬉しそうな顔を見て一安心です!
この調子で全員分のルーン武器をゲットだぜーーーーー!