第368話 またタマねえが大発見しました!
空飛ぶ島の探索初日は、ドラちゃんの秘密基地でもある神殿の各部屋で宝探しをしただけで終わってしまった。
実際に骸骨が見つかったりで、ずっと周囲を警戒しながらの探索だったから、思った以上にみんな疲れてたみたい。
でも最初に攻めたのが、大きな神殿に住んでいたお偉いさん達の部屋だったのもあり、一般人が手に入れるなんてまず不可能と思われる最強の杖をゲットすることができました!
いや、探せばもっと凄い杖が見つかる可能性はあるんだけどさ、古の時代に神殿の最高権力者だった人物の愛用の杖なんだから、最強クラスの杖だってのは間違いないのです。
あと、教皇様の次に偉い大司教様と思われる人物の部屋で見つけたメイスも、かなり強力な武器なんじゃないかなあ?その辺で買えるような武器を部屋に飾るって方が、普通に考えて有り得ないと思う。
そして大当たりと思われるのは、赤と青の模様が入ったキレイな宝石だ!
まだ古代遺跡の探索に忙しいから、すぐには売らないけどね~。
他にも聖書とか魔道具とか色々見つかったけど、調べるのは後回しかな。
まずは全員の武器を手に入れて、ナナお姉ちゃんみたいに完成品となるのだ!
・・・ボクですか?
ぬいぐるみとかチョコレートを持ったら完成らしいですよ?ふざけおって!!
まあお姉ちゃん達の戯言に惑わされず、ロッドか何かをゲットするぜーーー!
―――――というわけで、今日もドラちゃんに乗って空飛ぶ島へとやって来た。
話し合いの結果、いきなり最強武器を狙うんじゃなく、『まずは武器屋で強そうな武器をゲットしよう!』ってことになりました。
ボクはまだ防具屋にしか行ったことがないので、どんな武器が売られているのかも全然知らないんだけど、武器ってのはそりゃーもう高いらしい。
レオナねえやプリンお姉ちゃんが使ってる剣で、数百万ピリンするんだってさ!
二人ともAランク冒険者だからかなり良い武器を使ってるんだけど、武器ってのは本当にピンキリで、上を見ると1000万を超える武器だってあるらしい。
だからこそ、お持ち帰り自由な武器屋にワクワクしてる状態なのです。
ちなみに、ボクの周りに骸骨店主にお金を支払う聖人なんてのは一人もいません!
まあいいんじゃないっスかね~?
ボクも無意味な善行ってただのアホだと思いますし。
「ハズレだ。クソッ!武器屋はどこにあんだよ!?」
「店の看板なんかとっくに腐れ落ちてるだろうし、店の雰囲気で探そうにもツタが豪快に絡まったりしてるから、全然見分けがつかない!」
「しかも現代の建物と違ってどれも頑強な作りですから、全ての建物がそれっぽく見えるんですよね・・・」
「もうローラー作戦しかないんじゃない?」
「面倒だけどしょうがない」
御覧の通り、お姉ちゃん達はプンプンです!
正直考えが甘かったと言わざるを得ないでしょう。
武器屋は特徴的な建物だって認識してたんだけど、それは現代の話なのだ。
古の時代の建物がどんなモノだったかなんて知らないしな~。
しかも遺跡化してるので、どの建物を見ても古い建物でしかないのだ。
うん。こりゃお手上げですね。
ガサガサッ
「ん?」
―――――デカい獣と目が合った。
「ぶほッ!魔物が出たーーーーーーーーーー!!」
ボクの声を聞き、建物内にいたレオナねえとアイリスお姉ちゃんが振り返った。
「何だって!?」
「チッ!やっぱり街の中に魔物が入り込んでた!」
「いきます!!」
「タマもいく!!」
タタタタタッ!
『グオアアアアアアアアッッッ!』
ガギン!
ドガッ!
ボクの近くにいたプリンお姉ちゃんとタマねえが突っ込み、体長が3メートルほどもある巨大な魔物との戦闘が始まった。
「メルドア召喚!レグルス召喚!」
ボクも急いでメルドアとレグルスを呼び出した。
2体ともすぐに戦闘が起きている方向に顔を向ける。
「待って!あの二人の邪魔になっちゃうから今は待機。周囲の警戒をして!」
狭い場所なので、クマちゃんは出さないでおこう。
バシューーーーーーーーーーン!
『ゴアアアアアアアアアア!!』
ナナお姉ちゃんの氷魔法が炸裂し、魔物の血飛沫が舞う。
ゴシュッ!
ドガッッ!!
その機を逃さず、プリンお姉ちゃんの剣が魔物を斬り裂き、タマねえのメイスが頭部を砕いた。
「「・・・・・・・・・・・・・・・」」
ようやく力尽きたのか、魔物はピクリとも動かなくなった。
「終わったか・・・。ちきしょーーー!狭くて参加出来なかったーーーーー!」
「私もだよ!建物の中にいたから完全に出遅れたね~」
レオナねえとアイリスお姉ちゃんが呑気に会話を始めたので、プリンお姉ちゃんとタマねえも倒した魔物から目を外し、周囲の警戒に移行した。
「あれ?タマねえのメイス・・・光ってない?」
みんなの視線がタマねえのメイスに向いた。
「本当だ!何それ!?一体どうなってるの?」
「メイスが光ってるというか・・・文字が光ってねえか?」
「確かに文字に見えますね。読めませんが」
「またタマちゃんが新しい発見をしたよ!」
「む・・・、何これ?」
周囲の警戒はメルドアとレグルスに任せ、全員タマねえの周りに集まった。
「タマちゃん、もしかしてメイスに魔力を流した?」
「・・・あ、手袋が光ってるから流したっぽい」
「へーーーーー。手袋越しにでも魔力を流せるもんなんだな」
「ということは、この武器も魔力で強化できるのでしょうか!?」
「ウソ!?それって凄くない!?」
魔力で強化される武器とか、めっちゃカッコイイんですけど!
しかし文字が彫ってある武器とか、どこかで見た記憶がありますぞ?
アニメかな?・・・・・・あっ!
「ルーン武器だ!!」
突然変なことを叫んだので、みんなの視線がボクに集まった。
「今なんつった?」
「あ、えーと、『ルーン武器』って言ったの」
思わず日本語でしゃべってしまったので、この世界の言葉で訂正した。
「そのルーン武器というのは?」
「えーとねえ、『ルーン』っていう神秘的な魔法の文字みたいなのが書かれたり彫られたりしてある武器で、通常の武器よりも強いの!」
「何それカッコイイ!」
「マジかよ!そんなスゲー武器が存在したとは・・・」
「実際に文字が光ってますから、その『ルーン武器』で間違いないのでは!?」
「ねえねえ、私の杖にも文字が彫られてるんですけど?」
みんなの視線がナナお姉ちゃんの杖に集まった。
「それもルーン武器じゃん!!」
「ナナ、光らせてみてよ!」
「手袋越しにできるかなあ?」
ペカッ
「「光ったーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」」
白い杖だからもし光ってもわかりにくいかな?って思ったんだけど、文字が黒く縁取られているので、光る文字が浮かび上がって死ぬほど格好良かった!
「できた!効果は不明だけど格好良すぎるーーーーー!」
「凄い武器だとは思ってたけど、どっちも究極の大当たりだね!」
「そういえばタマちゃんの最後の一撃って強烈でしたよね?あれがルーン文字の効果なのかもしれません!」
「うおおおおおおおおお!アタシも『ルーン武器』が欲しいぞ!!」
「私だって欲しいよ!」
「こうなったらもう、本気で武器屋を探し出すしかないね!」
思いつきで適当に『ルーン武器』とか言っちゃったけど、実際それっぽいから別にいいよね?
それにしても、とんでもないことになってきましたぞ!
他にもルーン武器が見つかるといいな~。