第364話 武器ゲット!
結局最初の部屋で発見されたのは、謎の本一冊と骸骨だけだった。
他にも壺やら家具やらもあったけど、そういう物はあとからでも回収できるし。
そして他の部屋も見て回ったんだけど、居住空間だからかわからないけど武器や魔導書なんてのは見つからず、最初に見つけた本とまったく同じ物を数冊手に入れただけで、収穫としてはなんかイマイチだった。
同じ本が他の部屋でも見つかったってことで、手記ではなく聖書だろうってのがお姉ちゃん達の見解です。神殿で見つかった本なのだからボクも聖書だと思う。
ただ遥か昔の聖書なわけだし、おそらくかなりのお宝なんじゃないかなあ?
信仰が深まって、クレリックの魔法の威力が上がったりするかもだよね!
・・・文字が解読できればの話だけど。
ボクも見てみたけど、まったく読めませんでした。
ナナお姉ちゃんは『解読してみせる!』って張り切ってますけどね~。
というわけで、今度は神殿の右ゾーンを攻めてみることになった。
ギギギギ・・・
「うわ!壁が崩れてやがる」
「でも何とか奥には進めそうですよ」
「雨が降ってなくて良かったね~」
瓦礫を越えて、奥の通路に入った。
「チッ、こっち側は全部鉄の扉かよ」
「錆びているから開けるのが大変なんですよね・・・」
「でもドアが頑丈ってことは、お偉いさんが住んでた所かもよ?」
「そっか!向こうは重要施設じゃないから木の扉だったのかも」
ガンッ! ガンッ! ゴシャッ!
プリンお姉ちゃんの『グリーヴキック』が炸裂し、お偉いさんゾーン最初のドアが開いた。
「お!?向こう側の部屋と全然違う!向こうより荒れ放題だけど」
「天井に穴が開いてますから、おそらくそのせいですね」
「もったいないな~」
「こりゃダメだね。他の部屋に行こうよ」
こっちのゾーンは部屋の一つ一つが広いので、本当にお偉いさんゾーンなのかもしれない。せっかくのお宝チャンスなのに、よりによってこっち側の天井が崩れてるのが痛いな~。
でも左ゾーンの木のドア、よく腐ってなかったよね?
木に何か特殊なコーティングでもしてあったのかな。
ゴシャッ!
プリンお姉ちゃんが次のドアを撃破した。
「おおお~~~!この部屋は無事だぞ!!」
「やった!面白い物が見つかるといいですね~」
「高級家具とか持って帰る?」
「とりあえず、そういうのはいらないかな~」
ナナお姉ちゃんに続いて部屋に入ると、神殿の左ゾーンとは明らかに違っていて、神殿のお偉いさんが住んでいたと思われる部屋だった。
ベッドの枕の上に乗っている頭蓋骨は見ないふりして、お宝発掘隊が始動。
それぞれ気になる場所に散っていった。
そういえばクエクエの勇者も、当たり前のように人ん家のタンスとか宝箱とか漁りまくってたよね。
目の前に住人が立ってるのにあんな大胆なことをするなんて、普通に考えてかなりサイコパスだと思うんだけど、勇者のすることだしな~。
家の住民も呆気に取られて傍観するしかなかったのかもしれない。
強そうな剣とか盾とか持ってるから怒らせると危険だし・・・。
勇者が出ていったら派手にブチキレてたのかも。
「壁に飾ってあるのってメイスじゃねえか!?」
レオナねえに反応して全員そっちに顔を向けた。
「神殿のお偉いさんの部屋の壁に飾られてる武器ですし、かなり価値のあるメイスなのではないでしょうか!?」
「キタキタキターーーーー!いきなり武器ゲットだよ!!」
「メイスかーーーーー!私は武闘派じゃないから杖の方が嬉しいんだよね~」
「タマが装備してるバールって打撃武器みたいなもんだろ。メイスも打撃武器だしアリなんじゃね?折角だからもらっちまえよ」
「バールで十分だけど新しい武器は気になる!」
タマねえが壁からメイスを外して手に取った。
すごく埃をかぶっていたので、ウェットティッシュを召喚して手渡した。
拭けば拭くほどメイスは本来の輝きを取り戻していく。
柄の部分は普通に鋼の色なんだけど、グリップと先っちょの膨らんだ部分は黒くて高級感漂うメイスだ。長さは70㎝ってとこかな?バールと同じくらいだね。
ブンッ!
ブンッ! ブンッ! ブンッ!
「悪くない!先が太くなってるから、これじゃ敵を斬れないけど」
すごく気に入ったようで、顔がニヤついてますぞーーーーー!
「いやタマねえ、バールも全然斬る武器じゃないです!」
「カッケエな!買ったら絶対高いヤツだぞそれ!!」
「そんな高そうな武器がタダで手に入るなんてラッキーだね!」
「聖職者が使える近接武器といったらメイスが基本ですからね。ここだと剣は手に入らないかもしれませんが、杖なら見つかるかもしれません」
「私の杖は一体どこにあるの!?」
「ん~~~~~、この部屋には見当たらねえな・・・」
メイスに慣れるためにしばらく装備しとくってことになったので、とりあえずバールを消した。でも丸腰状態から咄嗟に出せる武器だから出番はきっとあるさ!
いきなり武器が見つかってホクホクしてるけど、この部屋にはまだお宝が眠っていると思って探索は続行です。
棚なんかは身長の高いお姉ちゃん達に任せ、ボクは高さが60㎝くらいの金庫らしき鉄の箱に目を付けた。
しかし扉は開かず、鍵を差し込む穴を発見。
やっぱりこれって金庫じゃない!?
「ん~、鍵なんてどこにあるんだろ?」
ハッ!?もしかしてベッドでスヤスヤしてる骸骨が持ってるのか!?
骸骨がオネムしてる布団なんかめくりたくないんですけどーーーーー!!
しかしクーヤちゃんは閃いた。
「鍵が無ければ鉄板を差し込めばいいじゃな~い!鉄板召喚!」
金庫の中身を傷付けず、扉だけちょん切るように鉄板を呼び出した。
ゴイン!
扉の薄皮一枚だけ手前に倒れたが、まだ扉を削り切れてなかったので、微調整しながら扉を少しずつ削っていった。扉くん分厚過ぎでしょ!
そしてようやく金庫の扉を排除。
中には明らかにヤバいお宝が眠っていた。
「隊長!お宝を発見しました!宝石がいっぱいなのです!」
「「な、なんだってーーーーーーーーーーーーーーー!?」」
宝石と聞いたお姉ちゃんズが、目の色を変えて駆け寄って来た。
しかしこの宝石、どんだけの値打ち物なんだろ?




