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第362話 空飛ぶ島

 『ドラちゃんの秘密基地』という強烈なパワーワードに釣られたいつものメンバーは、ちょうどトイレ工事が終わった良いタイミングだったのもあり、次の日の朝からゴンドラに乗り込み、ドラちゃんと共に大空へ舞い上がった。


 海しかないような場所で三日間遊んでいたわけだから、『絶対に島があるハズだ』とみんなで海面に注目していたのですが、島はなんと空に浮かんでいました!


 ・・・うん、意味がわかりません。


 いくら異世界とはいえ、こんなモノまで存在するとは思わなかったよ!

 クーヤちゃんが思わずあのアニメを思い浮かべてしまったのも無理からぬこと。



「こんな秘密基地、そりゃあドラちゃんも自慢したくなるよね~」

「いやいやいやいや!何で島が空飛んでるんだよ!!」

「しかもこの島、すごく大きくない?」

「リリカ島の10倍くらいありそう・・・」

「あれ?草原に人工的な建物が見えませんか!?」

「もしかして人が住んでるの?」



 タマねえのその言葉に、少し緊張感が生まれた。



「いきなり攻撃される可能性があるな・・・」

「ドラゴンが攻めて来たら、普通は逃げるか戦うかするよね?」

「でもドラちゃんって、三日くらいこの島で遊んでたんじゃ?」

「危険なので、住民が隠れてやり過ごしていた可能性もありますね」

「一応人間に攻撃しないよう言ってあるから、殺してはいないと思うけど・・・」

「もし攻撃されたら返り討ちにする!」



 ドラちゃん号は、とうとう空飛ぶ島の上空まで進んだ。

 すぐ着陸して島を調べたかったんだけど、ここはまだ秘密基地じゃないらしい。



「川が流れてるよ!」

「やっぱ人が住める環境ではあるのか」

「緑豊かだし、鳥の魔物も飛んでるね~」

「ローグザライアのような危険な魔物がいるかもしれません」

「でも普通に住めそうだよね」

「あっ!向こうに建物がいっぱいある!」

「なにッ!?街か?」



 最強の視力を持つタマねえにしか見えなかった建物群が、ようやくボクの目でも確認できる近さになった。



「街・・・だとは思うが・・・」

「ん~、なんか古い建物だね」

「古い建物というより、なんか廃墟って感じじゃない?」

「ここまで朽ち果てていると、遺跡といってもいいのではないでしょうか?」

「人の姿が見えないね」

「人類は絶滅した」



 タマねえ、怖いこと言うのやめなさい!

 でも本当にそんな感じ。廃墟というよりは遺跡って表現の方が近いかな?



 バサッ バサッ バサッ バサバサッ



「ドラちゃんが着陸するってさ!」

「秘密基地って廃墟のことだったのかよ!」

「廃墟じゃ寂しいから遺跡って呼ばない?古代遺跡でもいいよ!」

「ほら、早く壁に貼り付かないと!」

「急げーーーーーーーーーー!!」



 ソファーに座ったままだと着陸した時に角度が変わって後ろの壁まで転げ落ちてしまうので、急いで壁に貼り付いた。



 バサバサバサバサッ! ドスン!



「よし、外に出るぞ!」



 ガチャッ



 ゴンドラのドアを開け、外に飛び出した。




「「おおおおおお~~~~~~~~~~~~~~~!!」」




 ―――――上空からではなく、地上から見上げる古代遺跡は圧巻だった。



 廃墟じゃなく遺跡寄りだと思った理由もちゃんとあって、古くなって崩れた建物がそのままの姿で残っている感じじゃなく、長い年月を経て草木が絡まり、すごく神秘的な光景なのですよ。


 一体何年モノなんだろな~。

 1000年前の遺跡って言われても普通に信じると思う。



『ギュア!』



 ドラちゃんが『こっち!』と言って歩き出した。



「ドラちゃんが、秘密基地に案内してくれるってさ!」

「あ、ああ。しかしすげーな・・・」

「すごく古い建物だよね・・・。なんか感動しちゃうな~」

「安全かどうかわからないんだから、警戒は怠らないようにね!」

「歴史を感じる建造物ですね。何か面白い物が見つかるかもしれません」

「もうすでに面白い!」



 タマねえにバールを渡し、ボク以外全員武器を構えた。

 ドラちゃんがいるとはいえ、手ぶらで歩くのは危険ですから。



 ドシン! ドシン! ドシン! ドシン!



 今歩いてる道がメインストリートなのかはわからないけど、ドラちゃんが歩けるほどに道が広く、パレードをしているような気分になる。


 みんなで『ほわあ~~~~』とか言いながら歩いていると、ドラちゃんがやたらとデッカイ神殿みたいな建物に入っていった。


 目の前をドラちゃんが歩いているので前方が見えない状態だったんだけど、神殿に圧倒されたせいで少し距離が離れると、向こうに滝が流れているのが見えた。


 滝といっても人工で作られた滝で、地面に落ちた水は左右に分かれてどこかへと流れていってる。


 ドラちゃんは滝の水をガブガブと飲んだ後、少し手前にあったドラゴン用の台座といってもいい感じのステージみたいな場所に腰を落とした。



『ギュア!!』



「にゃははははは!ドラちゃんが『秘密基地へようこそ!』って言ってる!」

「なんて理想的な秘密基地!流石ドラちゃん、最強にカッコイイ!」

「マジで凄すぎだろ!なんで室内に滝が流れてんだよ!?」

「室内っていうか、たぶん神殿だよね~」

「ここで三日遊んでたのも納得だね!むしろ探索し足りないくらいじゃない?」

「それにしても歴史的大発見ですよ!空を飛ばないと来られませんが」

「左側に扉があるな」

「右にもあるよ」

「こんなん調べてみるしかねえだろ!」


「ドラちゃん、ちょっと探険してくるね~」


『ギュア~』



 ドラちゃんが呑気に『いってら~』とか言ってます。まあドラゴンからすると人間の文明なんてどうでもいいでしょうからね。


 とりあえず左の扉から調べてみることにした。



 ガギッ!



「クッソ硬ぇな!プリンアラート、ちょっと手伝ってくれ」

「完全に錆びついてますね。蹴ってみます」



 ガンッ! ガンッ! ゴシャッ!



「あ、開きそうです」

「グリーヴキックは強烈だな!」



 ギギギギギギ・・・



「よし開いた!行くぞーーーーー!」


「「オーーーーーーーーーーーーーーー!!」」



 レオナねえとプリンお姉ちゃんを先頭に、警戒態勢MAXで神殿の居住空間らしき廊下を進んでいく。


 そして一番近くにあった扉の前に立った。



「ここから先はすべて木の扉だから楽でいいな!」


 ギギッ


「お、普通に開いた!・・・大丈夫だ、生き物はいない」



 タマねえに続いて中に入ると、そこは結構広い部屋だった。

 埃がすごいけど、高級そうな大きな机の周りに椅子がいくつも置いてある。



「応接間みたいなとこか?」

「埃が舞ってしまいますので、静かに歩きましょう」

「見た感じ普通の部屋だけど、意外と宝の山だったりして・・・」

「あそこに飾ってある壺なんかでも結構なお宝なんじゃない?」

「むしろお宝しかない!」

「あっちにある椅子とか高級そう!」



 てくてくてくてく



 埃が舞わないように、社長が座りそうな椅子のところまで来てみた。



 ・・・そして固まった。



「レオナねえ。たしかに生き物はいないけど・・・、骸骨ーーーーー!!」



「「はあ!?」」



 なるほど、生存者はいなくても骨とか残ってるのね・・・。

 

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