第360話 トイレが生まれ変わりました!
家族全員がお風呂から上がった後は、恒例のくつろぎタイムだ。
お寿司・牛丼・ラーメン・ハンバーガーとテーブルに並べていき、その日の気分でみんな好きな物を食べ始める。
ただ今日はバッファローの鉄板焼きが美味しすぎて、全員が想定以上の量を食べてしまったのもあり、お寿司を一つ二つ摘まむ程度ですぐにお菓子が登場する展開になりました。
もちろんみんなの狙いは、新入りの『チョコレートアイスケーキ』です!
「クーヤちゃん!ケーキかと思ったら冷たかった!!」
「これはケーキ風のアイスクリームなのです」
「チョコアイスの隣にバニラアイスを盛り付けるのが私のオススメですよ!」
そう言ったプリンお姉ちゃんのお皿には、チョコアイスだけじゃなくバニラアイスも山盛りになってました。
「それ私もやってる!」
「思い切ってチョコシェイクにしてみるのも美味しそうでアリじゃない?もったいない気もするけど」
「そんなの美味しいに決まってるじゃないですか!」
「ぐぬぬぬ・・・、やってみたいけどもったいない」
「ラーメンシェイクは死ぬほど不味かったぞ!」
「あーっはっはっはっは!そんなことやってたの!?アホすぎる!!」
レオナねえはチャレンジャーなのだ。ちなみにハンバーガーシェイクものどごし最悪だったみたいで、そういう食べ物はシェイクに合わないと悟ったらしい。
そして、くつろぎタイムを満喫した後は眠くなった人からパラパラといなくなっていくんだけど、当然のようにレミお姉ちゃんがボクの部屋について来ました。
正直予想外だったのですが、『寝る時はいつも裸なのよん♪』とか言い出しそうなエッチなお姉さんだと思ってたのに、彼女は普通にパジャマに着替えました。
どうやらボクは、レミお姉ちゃんのことを誤解してたのかもしれないですね。
お風呂でも全然暴走しなかったし、ドライヤーで髪を乾かしている時も気持ち良さそうな顔をしているだけだったし、ずっとニコニコ楽しそうにしているだけの可愛いお姉ちゃんでした!
「クーヤちゃん、おやすみなさい♪」
「おやすみ~」
スヤ~
もちろん抱き枕にされて、おっぱいで窒息しかけましたけどね!
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次の日、レミお姉ちゃんとナナお姉ちゃんのトイレ工事がスタートしました。
ナナお姉ちゃんが魔法で慎重に土を掘っていくのを、タマねえと一緒に後ろで眺めていたんだけど、今日は役所へ特許を取りに行かなければならないので、二人に『工事がんばってね~!』とエールを送ってから出発した。
もうすでに特許の達人と言ってもいいほど幾度となく役所に通っているので、ボクの顔を見ただけで担当者も用件を察するようになってますね。
ただ麻雀の説明なんか口で言ってもほとんど伝わらないので、職員をもう一人呼んで実際に麻雀を打ってみることになった。
「あ、それ当たりです!」
「そういう時は『ロン!』って言うんだよ~」
「なるほど。じゃあそれロン!」
パタン
「お?ちゃんと役が出来てるな!なかなかやるじゃねえか!」
「ハッハッハ!この・・・マージャンでしたか?複雑ですが面白いですね!」
「だろ!?特許が通ったらガンガン売るつもりだから、絶対に流行するぞ!」
麻雀大会は盛り上がり、結局半荘三回くらい打ってしまいました。職員二人がすでに麻雀にハマったみたいなので、怒涛の勢いで推してくれそうです!
特許の申請も済んだので、役所の外に出た。
「ここで悪そうなお兄さんに一つ提案があります!」
「・・・ん?なんだ?」
「グリフォンを1体貸し出すので、麻雀セットを8人前作ってください!あとサングラスも8人前!」
悪そうなお兄さんが完全にフリーズしたけど、黒眼鏡で表情は読めなかった。
「いや、俺にとっては願ってもない話だが、そんなもんでいいのか?」
「パンダ工房にも1体貸し出してるけど、その代わりグリフォンの鞍をタダにしてもらったのですよ。ちょっと比べにくいけど条件としては同じくらいでしょ?」
「なるほど・・・、そっちの取引に合わせたから条件がゆるゆるなのか。そんなんでいいのなら最優先で用意するぞ!」
「じゃあ決まりだね!あのお屋敷にグリフォンを出せばいい?」
「そうだな、屋敷で問題無い。ところでグリフォンって何食わせればいいんだ?」
「ハム吉と一緒で、基本的にボクの魔力を食べてるから何も食べなくて大丈夫なんだけど、魔物だった頃好きだった食べ物をあげると喜ぶよ。あと美味しい水!」
「鳥の魔物の好物なんか知らんぞ?」
「あ、そういえば串焼き肉をあげたら喜んでた気がする!」
「肉食っぽいもんな。ハム吉は何でも食うが。まあ適当に色々食わせてみっか」
「ウチのハムちゃんはチョコレート食べる!」
「うぇええ!タマねえ、ハムちゃんにそんな物まで食べさせてたの!?」
ハムちゃんは人間並みに雑食なのです。リリカちゃんがマヨネーズをモリモリかけてほとんど残したサラダも、美味しそうに完食してましたね!
そんな会話をしながらラグナスレインのお屋敷に行き、指定された場所にグリフォンを1体放つと、黒眼鏡がいっぱい集まって大騒ぎしていました。
完全に放し飼いだけど、ボクの召喚獣なので、攻撃でもされない限り逃げたりしないのです。
悪そうなお兄さんが厨房からメメトンステーキを持って来てグリフォンにあげてみると、普通に大喜びして食べてました。
実はボクんとこにいる召喚獣よりも、貸し出してる召喚獣達の方が美味しいご馳走にありつけてたりするのです。
悪そうな顔してるけど良い人だから、大事にしてもらうんだぞ~!
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それから数日経ち、とうとうトイレ工事が終わりました!
ジョパーーーーーーーーーーーーーーーッ!
バタン
「トイレ最高」
工事を担当したレミお姉ちゃんとナナお姉ちゃんは体験済みでしたが、ずっと待ってた勢ではボクが先頭バッターでした。
クーヤちゃん自らトイレの監修をしたんだけど、便器はたった今設置されたばかりなのだ。
広さは変わってないんだけど、うるさいくらい口出しして清潔感を重視したトイレに改装され、アイテム召喚で手に入れたトイレットペーパーや消臭スプレー完備で、爽やかな香りしかしない最強トイレに生まれ変わりました!
パシッ!
パシッ!
レミお姉ちゃんとナナお姉ちゃんとハイタッチを交わし、その素晴らしい仕事っぷりに、これ以上無いほど感謝の気持ちを伝えた。
「そんなに喜んでもらえるなんて、頑張って良かったわ!」
「でも本当に素晴らしいトイレだよね!ウチのトイレも絶対こんな風にする!」
「これがボクの求める理想の姿なのです!トイレで手を洗えるようにしてもらったのは英断でした」
話を聞いていたレオナねえが、すくっと立ち上がった。
「じゃあ行ってくる。今まで溜め込んでいた全てを出し尽くす所存だ」
非常に勇ましいけど、女の子なんだからもっと慎みを持ちなさい。
まあトイレなんだから、そういう場所なんですけどね!
「終わったらちゃんと消臭スプレーしなさいよ?」
「わかってるって!」
バタン
こうして集まった全員が次々にトイレに突入して行き、その後もトイレの素晴らしさを語り合う記念すべき日となりました。
真のトイレを知ったレミお姉ちゃんが、どんな便器を作りあげるか楽しみです!