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第193話 大好物キターーーーーーー!!

 

「これが伝説の武器です!」



 グシャッ


 斜めに切り裂かれた岩が地面にずり落ちた。



「これが伝説の・・・いや、どう見てもただの鉄板じゃねえか!!」


「全然わかっていませんね。攻防を兼ね備えた最強アイテムですよ!」


「あの鉄板はガジェムの突撃も防いだ。最強」

「はあ?ガジェムだと!?・・・もしかしてお前、ガジェムまで召喚獣にしてたりするのか?」


「あれ?悪そうなお兄さんって、まだ見てないんだっけ?カブトムシ召喚!」



 ブブブブブブブブブブ


 空中に10匹のカブトムシを浮かべた。



「マ、マジか!!んなモンどうやったら倒せるんだよ!?ガジェムってのは目に見えないほど高速で飛ぶ魔物のハズだぞ!!」


「タマねえがさっき言った通りだよ?歩いてたらボク達に向かって突撃して来たから、鉄板で防いだの」


「いやその前に、ガジェムの通り道なんか歩いてんじゃねえよ!!」



 鉄板とカブトムシを消して、二人の側まで移動した。



「あの時はちょっと危なかったね~」

「普通の人なら死んでた」

「つーか今10匹いたよな?確かガジェムは5匹セットで飛んで来るハズだから、お前二度も死にかけてるじゃねえか!!」


 流石は悪そうなお兄さん。ツッコミが冴えまくってますね!


「あっ、思い出したぞ!『イーデミトラス』の奴らの足に空いていた不可解な傷。アレってガジェムによるモノだったのか!!」


 イーデミトラスって何だっけ?・・・ああ!誘拐犯じゃん。


「そうそう!カブトくんは助走が短くても結構強いんだよ」

「ん?ってことは、あの鉄格子を切断したのもガジェムなのか?」

「そっちは鉄板」

「鉄板強すぎだろ!!」



「オーーーーーイ!便所掃除が終わったぞ!」



 レオナねえの方を見ると、ゴタゴタを捨てるために掘った穴をゴーレムが埋め立てているところだった。



 初めての長距離フライトとはいえ、ドラちゃんに徹夜させるほど無理して急ぐ旅でもないので、今日は地上で一泊するのだ。


 夕食は外でとるけど、寝るのはゴンドラの中にする予定。

 少し狭いけど雨露を防げるし、テントを張るのも大変だからね。



「カロリーゼロに便所掃除させんなや!アレって街の守護神だろ!!」

「ボクの召喚獣の中でも一番の働き者なのですよ」

「本当にゴーレムは有能」

「お前ら、やることなすことツッコミ所しかねえな・・・」



 日が暮れ始めたので、少し早いけど夕食を頂くことにした。



 ジュワー パチパチパチパチ



 鉄板で焼かれる6枚のステーキの爆発的な匂いのせいで、もう肉から一瞬も目が離せません。塩胡椒で味付けもするけど、そこから更に焼き肉のタレにつけて食うのがクーヤちゃん流だ。



「いや、伝説の武器で肉焼いてんじゃねえよ!!」



 ―――悪そうなお兄さんのツッコミは、寝るまで冴え渡っていた。






 ************************************************************






 そして翌日。


 中継地点として合格を果たしたってことで、地面に『六角ナット』を埋めて『ナットポイント』を作成してから、ボク達は再び大空へと舞い上がった。



 ズルズルズルズル


 ラーメンを一口食べた悪そうなお兄さんの目が大きく開いた。

 続けてチャーシューを口に入れて目を光らせ、もう一度麺を食べ始める。


 そしてレンゲでスープを掬ってそれをズズズっと飲み込む。



「美味過ぎる!!こんな食い物が世の中に存在したとは・・・」



 それを聞いたレオナねえも目を光らせる。



「ラーメンの美味さがわかるとはやるじゃねえか!アタシ個人の評価になるが、昨日食ったあの美味いステーキを100点とすると、ラーメンは200点あると思ってる」


 ズズズ・・・


「最高に美味かったあのステーキの倍の評価とは思い切ったな。だが同感だ!この複雑な味を作り上げた人物は、間違いなく料理の天才だろう。つーか、一体誰が作った料理なんだ?」

「知らないおっさん」

「ブホッ!!」


 悪そうなお兄さんは、ゴホゴホと()せ込んでいる。


「知らないってどういうことだよ!」

「でも食べたらお腹壊すような怪しげな物じゃないよ?このラーメンを作る姿を実際に見たわけじゃないけど、97%くらい?ちゃんとした店で作られた料理だから」

「意味が分からん・・・」

「そういや、そろそろアイテム召喚の時間じゃねえか?」

「え~と?ああ、もうやっても大丈夫だね!」


 実際にアイテム召喚を見れば少しは理解出来るかな?ネジとかが出たら意味不明だろうけど・・・。


「もしゴンドラより大きいのが出たら全員死んじゃうから、一旦地上に降りるね!」

「ブホッ!」


 悪そうなお兄さんはまた()せた。



 地上を見ると、人が住んでるとは到底思えない地形だったので、ドラちゃんに命令して下に降りてもらった。



 そして地面にシートを敷いて、全員が召喚アイテムを見やすい位置に着く。



「悪そうなお兄さんにも理解出来るモノで頼みます!アイテム召喚!」



 ヴォン



 当然光は発生したけど、朝なので誰一人ダメージを受けなかった。

 しかしそこに出現したモノを見て、クーヤちゃんの心臓が止まりかけた。



「ギュ、ギュ、ギュ、ギュ、牛丼キターーーーーーーーーーーーーーーー!!」



「おおおおおおおおおおおおおお!アレって食い物だろ!」

「ラーメンとは違うね」

「肉みたいなのが乗ってる?」


 しかも出たのはドンブリだけじゃないのだ!

 トレイに乗った状態で出現し、味噌汁と玉子までセットなのですよ!!


「ストック!」


 召喚獣リストのバグった文字を『牛丼』に書き変える。


「牛丼出て来い!」


 そして無限化された牛丼がショタの目の前に出現する。


 すかさず玉子を割って付属の器に投下したけど、箸が見当たらなかったのでマイ箸を召喚。ほんの少しだけ醤油を垂らして全力でかき混ぜる。ここで適当にかき混ぜると鼻水みたいな食感になるから、ボクはガッツリかき混ぜる派なのですよ。牛丼に玉子の黄身だけを乗せるやり方も非常に魅力的なのですが、とりあえず初回なので白身もコミコミです!


「クーヤが尋常じゃ無いくらい興奮してる」

「もうまったく意味が分からねえぞ!!あの食事ってガキが呼び出したんじゃねえのか?」

「今のはラーメンを呼び出した時のとはまた違った召喚だ。クーヤの喜びようを見てみろ!興奮しすぎて我を忘れている!」


 牛丼に玉子をぶっかけた後、唐辛子と紅ショウガが無いことに愕然とした。それらは店のテーブルの上に置いてあったから召喚されなかったのだろう。いずれは代用品を探さねばなるまい・・・。少し寂しいが今回はこのままいく!



「頂きます」



 それを口にした瞬間、久しぶりの米の美味さに涙が零れた。



「クーヤが泣きながら食べてる」

「前に泣いてたのって、バニラアイスん時か?」

「ということは、それほどまでに美味しいってことじゃない!?」

「美味過ぎて泣くとか、ホント意味不明なガキだな・・・」

「だから可愛いんじゃない!」



 ズズズ・・・


 最後に味噌汁を飲み干し、ボクはやり遂げた感に包まれた。



「ご馳走様でした」



 こんなに幸せな気持ちになる料理が他にあるか?いや無い!!大盛りだったからショタの腹には結構キツかったけど、牛丼を残すなんて有り得ないからね。



「あまりにも幸せそうだったから止められなかったけど、そろそろ出発するぞ~!ゴンドラに戻ってから、アタシらにも今の料理を食わせてくれ!」


「おっと、そうでした!メチャクチャ美味しいから超オススメだよ!」



 まさか旅先で大好物の牛丼が出てくれるなんて、本当に予想外でした!

 みんなの感想を聞くのが楽しみだな!!

 

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