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第18話 ショタ探検隊

 

 ―――大損こきました。



 昨晩は嬉しさのあまり、カブトムシと遊びながら眠りについたんだけど、朝の召喚をやろうとしたら魔法が発動しなかったのですよ。


 召喚獣を呼び出した時に魔力を消費したのは感じたけど、それくらい勝手に回復するだろ!って思ってたのね。

 でも一晩中カブトくんを出しっ放しだと回復しないのな・・・。


 小さな虫程度だから消費魔力も小さいとは思うんだけど、元の世界からのアイテム召喚は全魔力を放出とかのレベルなので、その小さな消費ですら重要だったのです。


 召喚獣を出しっ放しだと常時魔力を消費し続けてる可能性もあるしな。


 しょうがないので、カブトくん達を一旦消してから街へ行って今戻ったとこなんだけど、それでもまだ召喚魔法が使えなかった。


 たぶん昨日カブトムシを呼び出してから朝までの分をちゃんと回復させないと、次のアイテム召喚は出来ないんだと思う。


 でもカブトくん達を使いこなすのも大事だと思うから、こっちの練習も必要だと思うんだよね。しかしアイテム召喚がずっと使えないのも困る。



 そこで一つ閃いた。



 ステータス画面には表示されてないけど、俺ってレベル1とかの状態のままだと思うわけですよ。


 すなわち、敵を倒すとかすれば総魔力も増えて行って、カブトムシを出しっ放し状態でもアイテム召喚が出来るようになったりすると思うんだ。

 回復量も増えるならば、カブトムシを出したまま回復するまであるかもしれない。


 まあレベルみたいなのは無いのかもしれんけど、魔法を使うことによって魔力が増えて行くのは十分考えられる。

 毎日アイテム召喚で全魔力を消費しているのだから、もうすでに魔力が増えて行ってるのかもしれんけどね。


 とにかく一度戦闘をして、そっち方面からの成長も試した方が良いだろう。

 何もしなきゃ現状維持にしかならんのだから。




 ◇




 昨日カブトムシの実験をした場所まで来た。


 森に入るつもりなので、あひるポンチョは部屋に置いてきた。松脂なんかが付着したら汚れが落ちない可能性があるからな。


 早速カブトムシを5匹共召喚する。


 獣が出た時に召喚すればいいのかもしれんけど、身体にくっつけとけばカブトくん達の装甲で多少は防御力も上がると思ったから。


 1号2号3号を上着にくっつけて4号と5号は後方待機って作戦も考えたんだけど、森の中だと直線に助走距離がとれないので、とりあえずは5匹共ショートレンジで使ってみて、地形次第で臨機応変に対応することにした。


 ずっと上空で待機させておくのもアリかもしれんけど、それだと消費魔力が大きいとかで、いざって時に魔力切れなんてことも有り得るから今回はやらない。


 完璧なフォーメーションを組んだりするのは色々検証してからだ。



 迷子にならないように、わかりやすいルートを選んで地面や木に印を付ける。

 奥へ進むたびに後ろを振り返り、景色を脳内にしっかり保存しつつ用心深く森の奥へと入って行く。


 俺って実はめっちゃ用心深いタイプだったんだな・・・。


 たぶん無造作に100人集めて突発的に用心深い選手権をやったら、10位以内には入ると思う。それほどまでに徹底して慎重に森を進んでいる。

 そのくせ常時狙撃されまくりのインベーダー生活してるんですけどね!


 まあ一発殴られただけで死んでしまいそうなショタだから、生前の青年時代よりも警戒してしまうのだろうけどさ。



 クワアー クワアー クワアー



 どこからか聞こえて来る鳥の鳴き声ですらちょっと怖い。


 今はカブトくん達がいるからいいけど、自衛手段が何も無い時に森に入るような危険を冒さなくて本当に良かった。

 哺乳類が一匹現れただけで死に直結する冒険なんて絶対やっちゃダメだろ。



 ガサガサッ


 ビクッ!


 な、なんだ!?近くに何かいるぞ!!どこだ!?


 右奥の方から音が聞こえたような気がしたからそこを注意深く探してるんだけど、草木が生い茂っているせいで全然わからん。


 森ちょー怖いんですけど!!


 正直もう帰りてえ・・・・・・。

 でも成果が無いどころか何もしてないのに帰るってのもな~。



「カブトくん達、マジで頼むぞ!怖い動物が出たらやっつけてくれよ!?」




 ―――それからしばらくの間、何事も無く森の奥へと進んで行った。




「結局なんもいねえな~」



 しかし樹々の間を抜けた時、動物が寝そべっているのを発見した。



(いた!!)


 思わず声を出しそうになったけど、それは何とか堪えた。


 ・・・・・・ん?


 おっかなびっくり近寄ってるとこなんだけど、どうもおかしい。

 もしかしたら死んでるのかも?


 鹿くらいデカい動物なんだけど、模様も色も違うから別の動物なのだろう。

 逆向きに倒れているので、正体を確かめる為にすぐ側まで接近した。



「死んでるな」


 しかも見たことのない動物だ。

 まあここは地球じゃないわけだし、知ってる動物がいる方が逆におかしいか。


 ・・・・・・そうだ!


 この動物も召喚獣に出来るんじゃないのか?

 カブトムシだって寝室で死んでるのを召喚獣にしたんだし。


 超ラッキーじゃんね!!



「ストック!」



 あれ?消えないぞ??



「ストック!」



 あれええええ?やり方間違ってる??カブトくんの時どうやったんだっけ?




 ―――それからしばらく粘ったけど、なぜか召喚獣にすることが出来なかった。




 ◇




「うーむ、さっぱりわからん」



 たぶんやり方は間違ってないと思う。

 おそらくそれ以外の要因、召喚獣にする条件を満たしてないとかかもしれない。


 カブトムシを5匹ストックしたせいで容量がいっぱいになったとかだったら、もう諦めるしかないだろな~。


 カブトムシを解雇すれば手に入れられるのかもしれんけど、この動物が使える召喚獣なのかもわからんし、何よりカブトムシを捨てるなんて有り得んだろ!


 しゃーない、この謎動物は諦めよう。



『グルルルルル・・・』



「ん?」



 声が聞こえたので顔を上げると、デカくて白い獣が牙をむいて唸っていた。




 ・・・・・・・・・やばくね?


 

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[良い点] うわあああ!この世界に来て最大のピンチだあああ!
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