表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

147/508

第147話 大きな夢

 鉄板によって斜めに切断された岩を見ながら、レオナねえ達は呆然としている。



「クーヤ、バール出して!」



 ん?

 タマねえがご所望しているので、いつものように空中にバールを出した。


 それを華麗にキャッチしたタマねえが、崩れた岩の前に立つ。


 バキッッ!


 真っ直ぐ振り下ろされたバールによって、地面に落ちた岩が今度は縦に割れた。



「最強の名は鉄板に譲るけど、バールも二番目に強い!」



 どうやらタマねえは、最強武器トーナメントに出場したかったようだ。

 でもバールって武器枠でいいのか!?



「あははははははははは!確かにバールも凄かったよね!魔物をバッサバッサと真っ二つにしてたもん!どう見ても刃物じゃないけど!!」

「気合があれば何でも斬れる!」

「タマねえもすごく格好良かったよ!ほとんどメルドアと二人だけで、魔物の大群を倒しまくってたんだから!」


 基本無表情のタマねえの顔が赤くなった。

 照れてるのかな?


「ちょ、ちょっと待て!そのバールってのも凄いが、問題なのは鉄板の方だ!」


 凍りついていたレオナねえが動き出した。


「それを自在に出して攻撃が出来るとか、とんでもない話だぞ!いくら何でも召喚士って強すぎねえか!?」

「あ~、それがそうでもないの。鉄板って目の前にしか出せないんだ。だからドラゴンをもう一回倒すなんて絶対無理!」

「目の前にしか?ああ、アイテム召喚くらいの距離か・・・」


 そう言った直後、ショタのとった行動に気付いたのか、大きく目を開いた。


「いやいやいやいや!それだと逆に、ドラゴンを倒す為にギリギリまで近付く必要があるだろ!!」

「うん。タマねえがドラゴンの尻尾攻撃で頭に怪我をしちゃったから、もうドラゴンを倒さなきゃ二人とも死ぬと思って、必死にがんばったの!」



 本当のことを言うと、あの一連の奇跡はボクとタマねえの二人だけの心にしまっておきたかったんだけど、ここまで知られたからには白状するしかないでしょう。


 レンクルを召喚して空中戦を挑んだ最後の戦いの詳細を、みんなに説明した。



「だから勝てたのはタマねえのおかげなんだよ!」

「ううん、やっぱりクーヤが一番凄い!」


 ガバッ


 次の瞬間ボクとタマねえは、感極まったナナお姉ちゃんに抱きしめられた。


「うえ~~~~~~~ん!二人とも本当に凄すぎだよ!!街を守る為に頑張ったんだね!お姉ちゃんは感激です!!」


 更にはレオナねえとアイリスお姉ちゃんも抱きついて来て、揉みくちゃになった。



「「うわ~~~~~~~~~~~~~~~~~ん!!」」




 ◇




「クーヤの言う通りだ。ドラゴンのことは絶対に貴族に知られるわけにはいかねえ!戦争の道具として使われるのが目に見えているからな」

「魔物のスタンピードで、兵士がみんなやられちゃったからね。失った戦力を一瞬で補えるんだから、確実に目を付けられるよ!」

「補えるどころかドラゴンがいたら最強の軍隊だよ!」

「しかし噂が流れて貴族にまで伝わる可能性もあるわけだから、その辺の街の住民に知られるのも拙いな・・・。知る人は極力少ない方がいいだろう」

「家族にも隠すの?」

「とりあえず今は隠すべきだと思う。その方が家族の安全に繋がるんだから、わざわざ危険に巻き込む理由も無い」

「でもさ~、ドラゴンなんて召喚獣にしたら普通絶対自慢したくなるのに、真っ先に危険性を考えるクーヤちゃんって謎生物過ぎない!?」


 ショタに三人の視線がぶっ刺さった。


「自慢はしないけど大きな夢ができたよ!ドラゴンで世界の色々な国に行くの!お姉ちゃん達も一緒に世界を冒険しようよ!」

「すごく楽しみ!」

「「おおおおおおおおおお~~~~~~~~~~~~~~~~!!」」


 その場にいる全員が、ドラゴンに乗って空を駆け回る姿を想像した。


「いや、ちょっと待て!それは非常に興味があるけど、風で飛ばされたりしねえか?ドラゴンに乗るにしても、何か対策する必要があるぞ!」

「あ、そっか!裸ドラゴンに直接跨るのは危険です!!」

「裸馬みたいに言ってるし・・・」

「じゃあ、人間が乗っても風に飛ばされて落ちないようにしなきゃだね!」

「どうせなら、椅子とかを設置して寛げるようにしたいよな!」

「いいね!!」


 ただの成り行きだけど、レオナねえ達を巻き込んだのは正解だったのかも?ボクとタマねえだけだったら、ドラゴンに乗るための鞍なんかを作るのがすごく大変だったろうから。


「でも魔力が回復しないと、ドラゴンの背中を確認することすらできないなぁ」

「あーそっか!ドラゴンを呼び出すと、そんな大量に魔力を喰われるのか?」

「よく分からないけど、呼び出すだけでクーヤちゃん10人分くらい?しかも出してる間ずっと魔力をむしゃむしゃされます」

「クーヤちゃん10人分とか意味不明なんですけど!」

「あーーーっ、そう!それなのよ!クーヤちゃんって一体どれほどの魔力があるの?お姉ちゃん賢者(セージ)やってるから魔力は多い方だと思うんだけど、クーヤちゃんの魔力の方がめちゃめちゃ多いような気がするのです!」


 これって複雑すぎるから説明すると長くなるんだよな~。今は適当に誤魔化そう。


「よく分かんないけど、10日ほど寝たら魔力が全回復するくらい?でもドラゴンで旅をするにはまだ全然足りないので、遠出できるくらいの魔力に育つまで待ってて欲しいのですよ!」



 アイテム召喚を繰り返すしか魔力を増やす方法がないのだから、ボクに必要なのは時間だ。それまでにドラゴンに乗るための鞍を完成させなきゃだね!

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ