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第132話 圧倒的力の差

 ドラゴンに攻撃を仕掛けようとしたその時、北門に置いてきた召喚獣が全滅したのがわかった。



「うっわ、北門を守ってた召喚獣達が全滅しちゃった」

「ええええええええええええええええええ!?」

「でもゴーレムやトレントの残骸が門を塞いでるハズだから、その間に冒険者達が集まって来れば街は持ち堪えられると思うんだ」

「たしか1時間で消えるとか?」

「うん。そのことを冒険者達に伝えられたら警戒させることも出来たんだけど、こっちもそれ所じゃないからねえ・・・。門が塞がれてることに安心しないで、ずっと気を抜かずに見張っていてくれるといいんだけど」

「大丈夫。魔物がワンワン唸ってるから安心なんかしない」

「ワンワンって・・・」


 犬ですか!?

 そんな可愛げのある襲撃犯共じゃないんですけど!


「まあしょうがない。向こうを気にしてたらボク達がやられちゃうかもしれないし、北門のことは一旦忘れてこっちに集中しよう!」

「うん!」



 戦闘の傷や体力を全回復させたいのもあって、『特別攻撃隊』のみなさんを召喚しなおした。



「みんな!今度の敵は圧倒的強者であるドラゴンだ!おそらく痛くて辛い戦いになると思うけど、それがわかっていながらボクは何度もキミ達を死地へ送り込むつもりでいる。でも、そうまでしてでも絶対にあの敵を退けなければならないんだ!」


 召喚獣達からの力強い眼差しを一身に受ける。


「しかし最強のドラゴンが相手だろうとも、ボク達は死ぬつもりなんて一切無い!みんなの力を貸して下さい!アイツに一泡吹かせてやろう!!」


 メルドアの身体が魔法の光に包まれた。



「『特別攻撃隊』突撃ーーーーーーーー!!」



『ヴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』



 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!



 ショタの突撃命令で、召喚獣達は勇気を奮い立たせてドラゴンへ向かって行った。



「タマねえはまだパチンコ玉を投げないで待機しててね。右側からカブトムシを飛ばして召喚獣達やそちら側に注意を惹きつけつつ、ボク達はドラゴンの左側を抜けて後ろに回り込むよ!」

「なるほど。わかった」


 そう言った直後、二人はトナカイを左前方へ向かって走らせる。


「カブトくん達、一旦右に飛んでからドラゴンの眼を狙って突撃だ!」


 ブブブブブブブ


 カブトムシは真っ直ぐ右に向かって飛んで行った。


 よし!ドラゴンは召喚獣達に気を取られていて、こっちを見ていない。

 まだ警戒するに値しない羽虫程度に思われてる今だけのチャンスだ!



 ―――召喚獣達がドラゴンに襲い掛かった。



『ガアアアアアアアアアアアアアッッッッッ!』

『ブオオオオォォォォォオオオオオオオオオオ!』

『シャアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!』



 野性味あふれる雄叫びをあげながら、ドラゴンに爪や牙を突き立てる召喚獣達。


 悲しいかな、ドラゴンがあまりにも大き過ぎて足元までしか攻撃が届いていない。

 しかもその攻撃は、ドラゴンの鱗に傷一つ付けることが出来なかった。



「全然効いてねえっス・・・」

「いや、そうでもない!今少し血が飛び散った!!」

「ホント!?」


 唯一メルドアの攻撃だけが、ドラゴンの鱗を引き裂いていた!


「メルドアすげーーーーーーーーーーー!!」

「いや、メルドアだけじゃなく、ゾウの突進も少し効いてる」


 見るとドラゴンの視線がゾウに向いているのがわかった。

 痛いかどうかはさて置き、振動くらいは感じてるのかもしれない。



 ターーーーーーーン!



 そのタイミングで、カブトムシがドラゴンの眼に突撃した。



「カブトくんがいったーーーーーーーーーーーーー!!」



 よし!ドラゴンが目を閉じているぞ!


 ・・・あれ?目を開いた。



「おしい!当たる瞬間ドラゴンが眼を閉じた」

「ええええええええ!?瞼で防がれちゃったの?」


 瞼も硬いなんて聞いてねえぞーーーーーーーー!!


 しかも今の衝突でカブトムシ達が瀕死の重傷だ。

 すぐに召喚し直して、右後方へと飛ばした。


「よし、あと少しでドラゴンとすれ違うぞ!」

「こっちに気が付いた!」

「なんだって!?」



 しかしドラゴンはこちらを一瞥しただけで、煩い『虫』に向かって巨大な前足を叩きつけた。



 ドガアアアアアアアアアアアアン!


 プチッ



「あーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

「うっわ、ごっそりやられた!なんてことしやがる!!」


 結構頑張ってたのに一撃でこれかよ!

 ってか、みんなやられたなら次はこっちが危ない。


「あっ!メルドアは避けてたみたい!」


 ターーーーーーーン!


 お!?カブトムシもいった!!


 しかしまた瞼を閉じられたみたいだ。

 眼さえ潰せば楽になるのに、そう簡単にはいかんか・・・。


 結局頼りになるのは、最初期に手に入れたカブトムシとメルドアなんだな。

 もう一度カブトくん達を召喚し直して、後方へ向かって飛ばした。


 そして魔力の無駄とわかっていながらも、メルドア以外の特攻隊を全員復活させ、再度ドラゴンに攻撃させる。



『ガルルルルルルルルル!』

『ギュオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』



 くっ!ドラゴンの咆哮って、音量も半端ねえな!!

 みんな頑張れ!メルドア頑張れ!もう少しだけ注意を引きつけてくれ!!



 そして無事安全圏へと避難し、振り返って見たモノは、メルドアがドラゴンの尻尾の一撃に弾き飛ばされている光景だった。



「「メルドアーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」



 こんなん倒すとか無理だろ。あまりにも理不尽過ぎる!

 みんなめちゃめちゃ頑張ったのに、小さな切り傷を与えたくらいってさ~。


 当初の予定通り、怒らせてから北に向かって逃げるしかないようですね・・・。

 

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