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第128話 スタンピードの原因究明

 

「タマねえ、パンダ工房はぺち子姉ちゃんとゴーレム達に任せて、ボク達は貴族街で魔物を食い止めよう!」

「・・・わかった」



 パンダ工房だけ守ってる間に街が壊滅したんじゃ、生き残ったとしても結局じり貧になり、廃墟となった街で魔物から隠れながら生活するような事態になり兼ねん。


 自分達だけ生き残ってもダメなんだ。


 街が平和だったから今まで楽しく暮らせていたのに、その環境が一変してしまったら、殺伐とした『クーヤちゃん物語』になってしまう。


 この窮地を脱するには、北門を奪還して魔物の侵攻を食い止めなければならん!


 守護神を倒して街の人達を危険に曝すような真似をした貴族連中なんて、正直何人死のうが知ったこっちゃないんだけど、貴族街が荒らされた後はボク達の番なんだ。


 善良な一般市民を守る為にちょっと本気を出しますよ!



「とうとう、ししょー達が動くにゃか!パンダ工房はウチに任せるにゃ!」

「北門を奪還したらゴーレムを向こうに置くことになるかも。そうなったらまた違う召喚獣を置きに来るから!」

「わかったにゃ!」

「じゃあ行ってくるね!」



 いつものようにタマねえの脇腹に抱えられ、今度は貴族街目指して出発した。




 ◇



 ―――――北区・貴族街―――――




 タタタタタタタ



「いた!魔物だ!!」

「よし、タマねえ降ろして」


 ようやくタマねえの脇腹から地面に降ろされた。


「一体どんだけ入り込んでるんだろ・・・。あ、閃いた!カブトムシ召喚!」


 細かいことは本人に直接聞けばいいんだよ!



 ターーーン!



 カブトムシを3匹同時に飛ばして、トナカイのような魔物を仕留めた。

 すぐに近寄って行く。



「ストック」



 すぐ召喚獣リストを開き、チェックするついでに名前を変更。



 ・トナカイ [シャンクル]



「トナカイ召喚!」



 シュッ


 目の前に、倒したばかりのトナカイが出現した。



「よし、トナカイくんに質問だ!何体くらいの魔物が街に入って来たの?」



 先頭を走って来たからわからんらしい・・・。



「なんてこったーーーい!」

「何だって?」

「自分が先頭だったからわからないって」

「つかえない!!」



 こうなったら他の魔物から聞き出すしかないか。

 しかし冷静に考えると、何体侵入しようが全部倒すだけだよな。

 何か他に聞きたいことは・・・あっ!



「質問を変えるよ。キミ達はどうして集団で街を襲って来たの?」



 そうだよ!スタンピードが発生するには何らかの原因があるハズなんだ。

 すなわち原因を排除さえすれば街を救えるかもしれない!



「向こうから凄く危険な魔物が来たから、みんなで逃げて来ただって!?」

「どこから!?」

「えーと、北の方だってさ」


 じゃあこのトナカイらも、ある意味被害者だったのか。


「でもそれなら、わざわざ街に攻め込まなくたって良くない?」



 御馳走の匂いがしたから食事をしに来ただけらしい。



「なんて言ってるの?」

「怖いヤツからみんなで逃げてたので、もうずっとお腹が空いてる状態だったみたい。そんな時にこの街から美味しそうな匂いがしたから我慢出来なかったって」

「エーーーーー!!食事をするために寄っただけなの!?」


 いや、侵入した魔物が全員腹ペコってヤバくないか!?


「これは拙いですよ?街に攻め込んで来た魔物が全員腹ペコって・・・。大惨事の予感しかしません!」

「早く何とかしないと!!」

「トナカイくん、その危険な魔物ってどんなヤツ?」



 そいつを見た時の恐怖を実体験を踏まえて細かく説明してくれたけど、簡単に纏めると、赤くて凄く大きくて火を吐く魔物らしい。



「それってドラゴンじゃねえか!!」



「ええええええええええええええええ!!ドラゴンなの!?」

「あれ?タマねえってドラゴンを知ってるの?」

「見たことはない。でも冒険者が数百人集まってドラゴンを討伐しに行くとか聞いたことある」

「数百人いないと倒せないようなヤツなの!?」


 ドラゴンやば過ぎだろ!!

 ってか、この世界でも『ドラゴン』って名前は共通なのね。


 しかし困ったぞ・・・。冒険者が数百人いないと倒せないような『レイドボス』を、何とかしないといけないのか。


 街を守るのに手いっぱいだから、冒険者を数百人揃えるのって絶対無理じゃね?

 なんかもう、クーヤちゃんが行くしかないような気がしますよ?


 いや、何もドラゴンを倒さなくたって方向を変えてやればいいんだ!

 命懸けになるだろうけど、ドラゴンをめっちゃ煽ってそのまま北に逃げるか。


「しょうがない。ちょっとドラゴンを追っ払って来るから、タマねえにはパンダ工房を守ってもらってもいい?」


「やだ!」


 ・・・え?


「ドラゴンなんて追っ払えるわけないから、怒らせてどこかに連れて行くつもりに決まってる!クーヤを心配しながら街でずっと待ってるなんてやだ!」

「いや、いつ帰ることが出来るか全然わからないから、親御さんが心配するよ!」

「一緒に行く!クーヤとタマは、二人揃って『黄色と黒』なんだから!!」


 あ、タマねえもそう噂されてることに気付いてたのか・・・。


 でもコンビ名を出されたんじゃ、一人で帰れなんて言えないな。

 だって、二人揃って『黄色と黒』なんだから!!


「わかった。一緒に行こう!絶対この街を守るよ!!」

「うん!!」



「特別攻撃隊召喚!!」



 ショタとタマねえの背後にウチの精鋭達がずらっと並んだ。



「みんな!まずは目に付いた魔物をすべて蹴散らしながら北門を目指すよ!人間には絶対攻撃しないこと。そして最終目標はドラゴンだ!派手に暴れろ!!」



『ヴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』




 ―――――『黄色と黒』の孤独な快進撃が始まった。


 

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