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第124話 やりやがった

 

 ―――――北門の守備についている兵士A視点―――――



「おい!!何故もう魔物がいるのだ!?早く処分しろ!!」



 後ろから怒鳴り声が聞こえて振り返る。



「うわ・・・、ペペルコプ子爵が来やがった!」

「ふざけんな!何で奴がこの街にいるんだよ!?」

「アイツは伯爵閣下の腰巾着だから、媚でも売りに来てたんだろ」

「なんてこった!オルガレイダス様より先にあの男が来るなんて・・・」

「どうすんだよ?カロリーゼロを処分しろとか言ってるぞ!?」

「クソッ!なんて馬鹿なんだ!!門を守っているという噂を聞いていないのか?」

「あーーーもう!アイツの側になんて行きたくねえけど説明して来るわ」

「頼んだぞ!あのバカ一人のせいで守護神を失いたくねえ!!」


 まいったな・・・。

 北門を守り切れるかと思い始めた所でコレかよ。


「ペペルコプ子爵、このカロリーゼロは門の守護神です!例の噂は聞いていないのですか?」

「守護神だあ?そんなものは知らん!!」

「カロリーゼロは門を守っているという噂です」

「魔物が街を守るわけないだろ!!くだらない噂に惑わされて隙を作るな!馬鹿もんが!!」

「しかし、名のあるテイマーが門を守る為に置いて行ったのかもしれません!」

「ああん?そのテイマーはどこだ?」

「いや、ここには兵士しかいませんが・・・」

「話にならんな!もし魔物の大群が攻め込んで来たと同時にコイツらが暴れ出したらどうするんだ!!足りない頭を働かせて想像してみろ!」

「いや、それは・・・」


 おいおい、弱気になるなって!

 このままじゃ折角の守護神を俺達の手で倒すハメになっちまうぞ・・・。


「とっととカロリーゼロを処分しろ!!」

「待って下さい!せめてオルガレイダス様の指示を待ちませんか?」

「儂は伯爵閣下の命により最前線の守備を任されたのだぞ!すなわち儂の声は伯爵閣下の声だ!!よく聞け、そんな怪しげなカロリーゼロに頼らずとも、此処には1500の兵がおるのだ!背後に不安要素を抱えたまま戦う事など出来るか!!」


 くっ、正論だ。

 ああ言われたらもう、俺達にはどうしようもない。


「・・・わかりました。カロリーゼロを処分します」

「攻撃をしたら暴れるかもしれん。絶対に気を抜くな!!」


「「ハッ!!」」






 ************************************************************




 ―――――西の防壁上に潜伏中のクーヤちゃん視点―――――




「やられた・・・。北門のカロリーゼロが倒された」



 タマねえがビックリしてこっちを見た。



「魔物が来たの!?あっ、兵士の仕業だ!貴族って馬鹿なの?死ぬの?」

「馬鹿貴族に命令されて兵士達が倒したんだろなあ~。活気があって治安の良い街だから伯爵って有能かと思ったのに・・・」

「でもどうするの?」

「またゴーレムを置きに行っても倒されるだけだろうから、もう北門は知らない!兵士が2000人いるらしいから、それで守ってもらうしかないよ」

「西門にも兵士が200人くらいいる」

「あーそっか!西と東と南に200ずつ兵士を配置したとしたら、北門は1400人で守ってるかもだね。スタンピードに対して1400の兵ってのは、多いのか少ないのかよくわかんないけど」

「タマもわかんない」


 地球の戦争なんかだと1400人はすごく少ないけど、剣と魔法の世界では一人一人の強さが全然違うからな~。


 西門を守る冒険者の数は200~300人くらいに見えるから、それと比べたら北門はかなり人数が多いんだけど、こっちの冒険者は魔物を討伐するのに特化したプロ集団なわけで、兵士数が多ければ強いとも言い切れないのですよ。


「北門の心配をしててもしょうがないから気にしないようにしよう。とりあえずもっといい位置に移動出来ないかな?」

「これ以上進むと生徒達に見つかる」

「普通の生徒なら見つかってもいいんだけど、ティアナ姉ちゃんに見つかるわけにはいかないよね」


 冒険者達はみんな門の外で戦う感じなんだけど、それを中高生の魔法職らが防壁上から援護する形になっているのです。


 未来を担う子供達と言えど、街の大ピンチに戦える戦力を使わないのもおかしな話だからね。さすがに小学生は参加させなかったみたいだけど。


 近接タイプは城壁の裏で、もしもの時に備えて待機するみたい。

 だから冒険者が全滅でもしない限り、中高生は安全なのです。


「しょうがないなあ。戦闘が始まったらもっと良い場所に移動しよう」

「クーヤが一番強いのに」

「でもスタンピードなのに召喚獣を出すわけにはいかないよ。めちゃめちゃ紛らわしいから使えるのはカブトムシだけだね」


 味方の背後でウチの特攻隊なんか出したら、挟撃と勘違いされて大混乱するに決まってる。マジで味方が総崩れしてしまう。


「あっ!ティアナねえがいた!」

「どこ?」

「あっち」


 タマねえが指差した場所は、防壁の裏側のほぼ反対側だった。

 向こうの階段から上がって来る所らしい。


「よっしゃ!あっち側にいるならば、もう少し中央に近寄ってもバレないぞ!」

「移動する?」

「いやまだダメ。普通の生徒達に防壁の下まで連れて行かれちゃうよ。みんなが忙しくてボク達に構ってられなくなったら生徒たちの後ろを走ってく!」

「なるほど。わかった」



 ―――――その時、防壁上にバカデカい声が響いた。



「魔物が来たぞーーーーーーーーーーーー!大群だ!!絶対に魔法の無駄撃ちはするな!教師の合図があるまで待機すること!」


「「ハイッ!!」」



 タマねえが魔物を探している。


 タイミングが悪いことに、北の守護神騒動でスズメちゃんを北門の偵察に飛ばしてしまったので、ボクにはまだ情報が届いていない。



「来た。すごい大群」

「ボクにはまだ見えないんですけど・・・」

「この距離だと素人にはまだ無理」

「タマねえは一体何者なんですかね!?」



 さて、スタンピードの始まりだ!

 

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