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もし、熱血教師がカップ焼きそばの作り方を書いたら

作者: kossei

「もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら 青のりMAX」神田桂一 (著), 菊池良 (著)に感化されて書いてみました。

 娘と嫁が寝静まった頃、俺はカップ焼きそばを作ろうと、台所へ行った。戸棚からそっと大好きなバーボンを取る。なかなかこっちの方では売っていないので、内緒で楽天市場で爆買いしている。僕のことを可愛がってくれている英語教諭は確か一平ちゃん派と言っていた。この話を同僚の体育教諭に聞かれてしまい

「バーボンってなんすか(笑)」

といじられた。

 ポットでお湯を沸かす。静かにカップ焼きそばの蓋を開け、お湯を注ぐ。蓋を閉じ、割り箸を上にのせて5分タイマーをセットした。待っている間、学級で歌う予定の曲を調べた。

 俺の勤務している学校では、合唱コンクールで入賞することが名誉とされていた。そのための練習として、毎日終わりの会(SHR)でみんなで決めた曲を歌わせている。

 今月の候補に入っている曲はなかなかシュールなものが多いなと感じていると、タイマーが鳴った。即座に音を止め、カップ焼きそばの湯切り蓋を外した。両手でしっかりと容器を持ち、お湯をシンクへ流す。ジャーとお湯が流れていく音だけが聞こえてくる。俺はふと考えた。

 それは教師としての悩みだった。これで本当に良いのかと。クラスで「何かを1日やめてみよう」という教えをしたばかりだった。それなのに自分はカップ焼きそばがやめらずに体重が増加している上、嫁からの小遣いが残り僅かなのだ。ポテチを仕事帰りに車中で食べるのはさすがにやめたが。しかし、カップ焼きそばの方はどうだろうか。そんな心構えでいいのか、生徒は自分についてきてくれるのかと。不安で胸がいっぱいになってしまった。

 思わず、学年主任の教諭にLINEを打ってしまった。すると、返事が返ってきた。

「世の中、そういうものですよ。欲望が止まらないのが人間なので」

 スマホに打たれた文字を見た途端、悩みがスーッと消えていった。さすが一流大学出身の方だけあるなと感じた。

 この日のカップ焼きそばほど、美味しかったカップ焼きそばはないと思う。

                                               END

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