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ポイント  作者: くらいいんぐ
2/11

第2話

栄一は東京の駅に来ていた。地元の静岡に帰る新幹線に乗るためだ。


まだ少し時間があり、トイレで用を足しに行った。


トイレに入るといつものようにピロンと携帯が鳴る。ポイントの利用する音だ。便器に座り、用を足すとまたいつものように、手持ちの消毒専用ティッシュで便座をきれいに拭きバッグにしまう。


それと同時にまた携帯がピロンと鳴る。多分ポイント加算だろう。栄一は特に気にせずホームへ向かう。


新幹線の中で、東京での生活をぼんやりと思い出す。結局、退職届を出してしまったが、本当に良かったのか。でも、自分ではどうにもならなかった。そんな事を考えてると会社での出来事や一人社員寮にいた光景がよぎるが、ふぅーっと一回息を吐き、窓の外を見つめた。


新幹線が走り出し、少しうとうとしていると、携帯のピロンという音が聞こえた気がした。あれ?と思い、携帯を取り出すが、特に表示はされていない。


思えば、社会人になって、このポイント認識SIMはカード型から携帯に挿入して使うようになった。子供のころは、肌身離さずそのカードを持ち歩くように指導されていたが、いったいどれだけのポイントが入っているのだろう。今では誰でも持ち歩く当たり前のものだが、誰もどれだけポイントが入っているか知らない。でもそれを持っていないと、生活ができない。まあなくしてもカード発行ボックスがあらゆるところにあるのだが。本人確認ができれば、いつでも昔のものは破棄されて新しいものに更新、発行される。


昔はお金という概念があったらしいが、このポイント、使えなくなることがあるのだろうか。噂ではマイナスになっているということらしい。


・・・なんてことを考えていると、一通のメールが携帯に届いた。学生時代の親友のさとしだった。


『僕たち結婚しました。キューピットの栄一くんに感謝を込めて、ありがとう!!』


先ほどの携帯音のピロンはこれか?と思ったが、まさか他人の幸せまでシステム管理されてないだろうと思い、普通に


『おめでとう!!今度会いに行くよ!!』


と返信した。


すっかり目が覚めてしまい窓の外を見るが、景色はがらりと変わり、懐かしい自然の広がる光景が地元が近いことを知らせていた。栄一は、やっと落ち着いたと流れる風景を見ていた。

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