02話 運99999の回復魔道士
「ここは…」
「お嬢さんやっと気づきましたね、馬車で倒れてから5時間も眠っていて本当に心配しました。ちなみにここはヴァルシスの宿屋です」
「5時間も…ご心配をおかけしてしまいすみません…」
どうやらあまりの情報量に昇天してしまい気を失った後5時間も眠っていたらしい。
「お嬢さん、ほっかいど?を調べたのですがやはり知ってる方がいないようでしてお力になれずすみません」
王子様は申し訳なさそうに私の顔を覗き込んできた
男性に全く免疫のない私はあまりに近い顔に咄嗟に目を逸らす
「お嬢さん、顔が少し赤い様ですがもう少しお休みになっては?」
「いえ、大丈夫です!!」
王子様の顔が近すぎて顔が赤くなりましたなんてとてもじゃないけど恥ずかしくて言えない…
「分かりました!でしたら今お食事お持ちしてもらうようお店の方にお伝えしていきます」
バタンッ
バタバタバタっ
足早に階段を下るとことん優しい王子様
現実世界ではこんなに優しくしてもらった事あっただろうか…
いやいや、そんな事を考えている場合ではない
ニヤニヤして緩みきってしまった顔を引き締めて今起こっている現実に目を向ける
「ここは宿屋…」
木で造られた建物にいくつかベッドが並んでいる。
此処は大部屋なのかな
ほっかいどについても調べてもらっていたみたいだけど
ここが本当に異世界だとすれば調べても分からないのは当たり前だ
分からないことだらけだがひとつ気づいたことがある。
服を物色している時にポケットに手のひらサイズのカードのような物が入っていた。
このカードがここの世界の手掛かりになればいいけど
とりあえず王子様に聞いてみよう
バタバタバタっ
バタッ
「お待たせしました!昼食をお願いしてきました!30分程で運べるみたいです!」
よほどご飯が食べたかったようで…
嬉しそうに報告する王子様
しっぽがあったらブンブン揺れてるんじゃないかと思わせるほどの満面の笑み
「ありがとうございます、おうっ、、お兄さん!お聞きしたい事があるのですが…」
王子様と呼ぶのは恥ずかしいから心の中だけにしとこう…
「どうしましたか??」
「このカードについてなにか分かりますか?」
ポケットに入っていた手のひらサイズのカードを王子様に差し出す
「え……」
ポカーンとした顔でこちらを見つめる王子様
私何かまずい事でも聞いてしまったのかな
「お嬢さん、そちらのカードは自分のステータスを見る為のステータスカードです。誰しも生を授かった時に発行して貰う物ですよ」
な、なるほどー!!
この世界のヒントと言うよりも自分の存在が分かる優れものだったとは!
ステータスと言えば自分の能力やスキルが分かる大切なものじゃないですか。
そんなに大切なものを杜撰にポッケに突っ込んでいたなんて落としてしまっていたらと考えると恐ろしい
ん?そういえば発行なんて私した覚えがないけどどうしてポケットに?
それにこのカードはどうやってステータスを見るんだろう?
見たところゴールドに輝くだけで文字の記載も何も無い。
カードを物色している私に察したのか
王子様が私の様子に驚きながらも微笑み「ステータス画面を拝見してもいいかな?」と尋ねてきた
「ステータス画面…はい、大丈夫です」
返答と同時にカードに手をかざす王子様
パァっと音声が流れてきそうな程の光に包まれて
恐らく私のステータスであろう情報がカードの上に浮かび上がる
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キャラ名 : 夜桜 みくる
年齢 : 16歳
性別 : 女
レベル : 1
職業 : 回復魔道士
HP : 358
MP : 682
STR : 8
INT : 380
VIT : 15
MND: 9800
LUK : 99999
スキル
リジェネ
パーフェクトリカバリー
ホーリージャッジメント
グラント
トゥランスペアラント
ラングウィッション
フローティング
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なるほど、夜桜みくるは現世の名前のまま
他の数値は凄いのかダメなのかいまいち理解できないが精神力と運の数字が心做しか多い気がする
確かに精神力には色んな意味で自信がある。
って、そんなこと言ってる場合じゃない!!
私のステータスを先程からじっと見つめている王子様
ステータスの事は全く無知な私が1人で考えるよりも王子様に聞いた方がよさそう。
「お兄さん私のステータスはどうでしょう?」
「なるほど…回復魔道士でLv1…
回復魔道士とは珍しい職業ですね、例えるなら剣士が100人に1人だとすれば回復魔道士は1万人に1人の割合ですかね!
そしてステータスはLv1にしてはかなり高いかと、本来ならばLv15位のステー…」
…
…
…
「運99999!?最大値でも99しか見た事ないのに、それに運だけじゃない魔法攻撃力も精神力も数字がおかしい」