☆ 魔界デビュー?
本日は二話更新してますが、こちらが本編となります。
何あの生き物⁈トカゲ、デカ過ぎだろ!
何で人が浮いてるの⁈強力な磁力空間でも出来てるわけっ⁈
何あの植物⁈顔あるし、歌って踊ってるよ⁈
って今、こっち見て鼻で笑ったぞ。
もう、物理的に破茶滅茶だ。
「…………。」
訳が分からなさ過ぎて声が出ない。
「子わんこちゃん?大丈夫ですか?」
カトリオナさん、貴女はこれが大丈夫に見えますかー?
今の私は学院長の『魔風石』と呼ばれる石(いやどう見てもアメジストですけど)のブレスレットでケモ耳は完全になくなっている。いや、それどころか容姿が変わりすぎてる。
え?どれくらいだって?
うーむ、ザックリ説明すると、友達とプリクラに行った時、輪郭とか目とか色々変わるよね?そして、その上でメイクもできるよね?で、家に帰って親に見せるとしよう。そしたら親はこぞってこう言うでしょ?
『どっちが貴方なの?』
そして、自分も誰だこれ?ってなるでしょ。そんな感じですね、はい。
あと、髪の色と目の色も変わってなんちゃって外国人だよ、これ。
「まぁ、取り敢えず。学院長室に行きませんか?学院長先生と一緒に居ると悪い意味で目立ちますので。」
「そうですね、では行きましょうか。」
***
「ほへぇ。」
「どうしたの?そんな馬鹿みたいな声出して。」
ば、馬鹿っぽいって………ヴィオラさん、結構酷い。
でも、この部屋は凄いよ。
これ程までに、天井・壁に、正確に天体を絵で描ける人、いないよ。
書庫を見ると、これまた難しそうな本や、何やら興味深い本が。
研究職に勤めている人の部屋、そう言っても過言ではない。
「…………素晴らしい…………」
本音がポロリと出るくらい、羨ましい。
「ふふ、お褒めにあずかり光栄です。
__マリア。」
現れたのは、火を全身に纏った神秘的な鳥。
「どうかしたか?………珍しい客だな。人狼を見るのは、何百年ぶりだろうか?」
なっ⁈
「マリアは、火の精霊、それも火の精霊達の中で5本の指に入る強者ですよ。この子は神の恩恵として千里眼__全てを見透かす能力があるので、貴女の事も分かったのでしょう。」
もう、ホントに何なのよ!
天国行きしなかったという事は、まさか此処は地獄?にしては、ちょっと変。鬼いないし、大きな釜もなければ、閻魔大王らしき者も居ない。それに、誰一人として傷ついていない。あと、地獄っぽくない、ましてや天国っぽく無い。
「困惑してるけど、大丈夫?一先ず、紅茶を飲みましょう?」
コトン
目の前に置かれた紅茶は、ほのかに甘い香りの漂うお上品なモノだった。
味も申し分なく美味しかった。
「結衣さん。落ち着いてからで良いのですが一つ質問に答えてくれませんか?」
何だろう?
「君は今の状況が把握出来ていないさそうですが、何処まで理解出来ているのか教えて貰っても宜しいですか?」
あぁ⁈そういやそうだった!
「その事なんですけど、私の希望として!
此処は、最先端技術をめいいっぱい詰め込んだ世界有数の大規模研究所でしょうか!」
「「「「「「…………………………………。」」」」」」
……………………………。
「んな訳ねぇだろ。」
ダメージ100000000
結衣は倒れた。
ゲームオーバー
「じゃ、じゃ、何で人が浮いてたり、未確認生物物体があったり、植物に顔があったんですか⁈あと、さっき植物に鼻で笑われたんですけど、私。」
「いや、植物に鼻で笑われたってどんだけ間抜けなんだよ。」
「貴女、本当に魔法を知らないのですね。」
まるで箱入り少女、世間知らずのお馬鹿さん、間抜けさんの様な目で見てくるカトリオナさんそして、カイさん。普通に傷つくのでやめてほしい。
「えっとねー、この場合は見せた方がいいかな?」
「そうかもな。ヴィー、お前がやるのか?俺でもいいが。」
「いや、私がするよ。私の方が可愛らしい魔法使うから。」
「可愛らしいか?」
「カイのは恐ろしさの塊ですので、口出ししてはなりませんわ。ただでさえ、強面なのです、子わんこちゃんが泣いてしまい……あら、それはそれで良いですわね。」
カトリオナさん……………貴方が一番怖いです。