☆ パニックパニックパニック!
「動いたら、殺す。」
う……そ………。
身体が思うように動かない。此処は、大人しくした方が良いのかも。
「ちょっと、やり過ぎじゃない?その子、固まってるし。」
脅し男はまだ辞めない。
「いや、彼奴らならこれ以上の事をする。」
彼奴らって誰?それよりも………
「あ、あのー、逃げないので拳銃を下ろしてくれませんか?」
怖いので、早急にお願いします!
「「「「………………。」」」」
返事が返ってこない。変な汗がダラダラ出てくる。
「ケンジュウって何かしら?」
「さぁ、聞いた事ないな?お前、知ってる?」
「知る訳無いだろう。」
「うん、初耳。この子、カイの剣をそのケン……何とかと、間違ってるんだろうね。」
「け、剣⁈」
素っ頓狂な声を出してしまったけど、無理も無いでしょ。剣って、拳銃よりおっそろしい物だもん。もう、やだ。天国嫌い。地獄の方がマシかも。
「もう、いやぁ!」
とうとう、泣いてしまった。人前で大泣きするなんて何歳ぶりだろうか?それに、天国って何でこんなに物騒なの⁈
私の思考回路とは御構い無しに、堕天使達は、呑気に話している。
「ちょっと、泣いちゃったよー。あぁあ、カイが泣かせた。」
「はぁ?俺だけの責任かよ?俺はただ、じゃんけんで負けたからこんな面倒くせぇ役になっただけだ。それに、事の発端はお前だ、リオ。」
「あら?私ですか?私はただ、可愛いものに目がないだけですわ。それに、可愛い子は虐めがいがあるのですわ。特にこの子わんこちゃんは、ね?」
「変態かよ。まぁ、いじめがいがあるのは、ご尤もだが。少しやり過ぎたか?」
「ん〜、やり過ぎたが丁度良いんじゃない?この子、頭が回るし。」
「「「なるほど。」」」
何勝手に納得してるの⁈この人達⁈
………ちょっと待て。
「子わんこって私のこと………ですか?」
リオと呼ばれた女性は、私と同じ視線になるようにしゃがんだ。
透き通る海の青さのように清んだ瞳。
そして、其れを更に引き立てるウェーブのかかった黄金の髪。
まさに、美少女という言葉が似合う乙女。
こんな子にニコリと微笑まれたら一発ノックアウトだな。是非、マイちゃんに見てもらいたい。
「はい!子わんこちゃんですわ!その愛らしい垂れ耳に尻尾。本でしか見たことが無かったので、嬉しいですわ!」
…………天は二物を与えず、とは当にこの事だな。頭がちょっとだけ………ねぇ。
垂れ耳?尻尾?何のこと?
「おい、イヌ。今までどうやって生き延びた?」
「イヌじゃありません。結衣です。ユ・イ」
「ユイちゃんか〜。私はヴィオラ、宜しくね〜。で、何処から来たの?」
何処からって……死んだ場所言えばいいのかな?天国ノリについていけない。
「えーと、日本の_」
「「「「ニッポン?」」」」
…………。
イキナリ現れる静けさ。
はっきり言って、苦手なんだが。
日本って何年か前に和食が世界無形文化遺産に登録されてから、注目されたんじゃなかったっけ?
脅し男は頭をくしゃくしゃして私をにらみながら、
「お前なぁ、この世界ではインバッティービレ、ジュスティツア、アポロン、フィリア、プロエリウム、スリアンウォズ、タウィーザ、アルメニア、デザストル、最後に龍山。これ以外ねぇよ。」
な、なんじゃそりゃ!天国ノリ、意味がわからん!
「いやいや、私が死んだ場所は、」
「「「「死んだ?」」」」
?????
「いや、今俺達の目の前にいるだろ。」
「そうだよ。死んでる訳無いでしょ。」
「さっきの大人達が余程怖かったのでしょう、お可哀想に。」
「えーと、大丈夫?」
大丈夫じゃない。全く理解が出来ない。
まさか……。私はマイちゃんから貰った手鏡を取り出した。
「⁈おい、おま_」
「びあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ⁈」
どういうこと?
な、何で………こんな事になってるんだ!
今回もありがとうございました〜
次回、主人公の秘密が一個明らかになる……かも知れない。