☆ 嫉みそして嫉妬
sideアレン
ギンッ
剣と剣の擦れる音が当たり一体を占める。
だが、どちらが優勢なのかは一目瞭然。断然こっちが不利だ。
魔術科のジュノスとオーディックの遠隔攻撃で迂闊にアイツらに近寄れないため、全くもって攻撃ができない。加えて、ミスティア(おまけでトール)の剣術には防戦を強いられる。
ヴィー、どんだけ時間喰ってんだよ!
どうせ、ユイの考えたあの案についてリオと喋ってるんだろうけど、早く来いや‼︎
そう、ヴィーにイラついていると、どこからか大きな、歪な音が。
これは、もしや、、、、
慌てて後ろに下がり、ミスティア達と距離を取ると
「アレンーー!どいてよねー!」
ゴォォォォ
何本もの鎖が飛んできた。
「「「なっ⁈」」」
鎖はまるで意志があるかのように一人一人に食らいつき、オーディオとジュノスは囚われた。トールとミスティアは流石、騎士道クラスなだけあってか剣で鎖を叩き切っていた。
が、体力はだいぶ削られたのか呼吸が先ほどよりも浅いものになっていた。
「あちゃー、二人も捕り逃しちゃみたい。もうちょっと改良が必要だねぇ。」
能天気に笑うヴィーに少し怒りを覚えた。
絶対、リオと喋って遅くなっただろっ!
「来るのが遅い!どうせ、リオと喋ってたんだろう?あれだけ、早く来いと言ったのに。」
ヴィーはニヤリと不敵に笑い
「皇女に向かってその態度とは、アレンもやるねぇ。」
お前のどこが、皇女だよ。
じゃじゃ馬すぎんだろ。
世の中の皇族どもが怒りだすぞ。
「うるさい。お前だって、俺が急に態度変えたら笑うだろ?」
「そんなの当たり前じゃない。」
何はともあれ味方が一人いると居ないとでは違うな、そう笑っていると
ヒュッ
急に、何かが飛んで来た。
慌てて、剣で弾くとそれは空中で美しく砕け散った。
正体は,氷だった。
ということは、、、
「っ、ミスティアさん。貴方のような、未来の王都専属騎士がこのような事をしてもいいのですか?」
「っうるさいっ!」
初めてだった。彼女が怒りに身を任せ攻撃をするのは。彼女は理論的な人なはず。何が起きた?しかも、相手はヴィーばかり狙う。ヴィーと戦っても勝敗は決まっているのに。
なぜ?
「っ、流石、王都の騎士様ね。アレンとは違う重みのある剣ね。私は好きよ?」
「黙れっ!卑しい姫の癖にっ‼︎」
なぜ、君はそんなにヴィーを嫌う?
ヴィーが何をしたんだよ?
昔のミスティアは未来に向かって羽ばたいて、とても綺麗だった、なのに今はドス黒い貴族になっている。
なぜなんだ。
驚きと呆れが混じって動けずにいると、
「ッ、、アレン‼︎ボーッとしてないでささっと動きなさいよ!」
ミスティアがヴィーにトドメを刺そうとしていた。
「ヴィー!そこでじっとしてろっ。」
ギンッ
氷の短剣が砕け悲しくも美しい氷の結晶が辺りを散りばめた。
「ヴィーは、俺の補助に回れ!お前に、彼女は無理だ。」
しかし帰ってきたのは予想外の答えだった。
「いやよ。彼女は私ともっとお喋りしたいみたいようですもの。もちろん、私も話してみたいわ。だから、アレンはそこの情報屋とやったら?」
気がつくと、剣を持ち構えたトールがいた。
「だがな、お前は俺の護衛に回った方が___」
「グダグダ言わないでよ。オンナの話し合いにオトコはいらないのよ。」
あ、、、、これはダメなやつだ。
俺たちディアドロイにはこんな暗黙の了解がある。
ヴィーが一番怖いのは怒った時でも、権力を振りかざす時でもない
戦闘モードに入った時だ、と。




