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理系ジョが送る、異世界攻略冒険物語  作者: 福寿草
第二章   可笑し?お菓子?な家
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☆ だからお前は面白くないんだよ。

斬っ


ようやくティアの刀を溶かす事ができた。けど、これで分かった。俺はこいつに剣術では敵わない。だからと言って、負けるわけにも行けない。ならば、魔力で勝てば良いのだ。あの日のようにわざと攻撃をせず、周りに気を配るヴィーのようにトラップを作るしかない。


「また、避けるのですか!」


そうだ、こっちに来い。


「ッ!待ちなさいっ!」


今だ!!


トラップ発動。


その瞬間、彼女は炎の檻に囚われた。


「な、何コレっ⁈」


斬っても切っても切れないこの檻にむしゃくしゃしたのだろうか、本来の彼女が出てきた。


「相変わらずですね、」


いつものようにこう告げる。


「だから、お前は面白くないんだよ。」


「……………………。」


自分の道しか視野に入れない、井の中の蛙大海を知らず。

なぁ、ティア。君はいつからそうなってしまったんだ?


あたりは無垢の音に包まれた。 



○○○○



いつからなんだろうか。

私の幼馴染みにして初恋の相手、アレンが変わってしまったのは。


初めて会った時から、お慕いしていた。

幼い頃の彼は私を、私だけを友達と呼んでくれてよく二人で鍛錬をし、遊びに行ったりとしていた。天使のようなその美貌は瞬く間に世の女性を虜にしたが、私だけを愛称で、敬語抜きで話してくれた。それが、何度、私の胸を締め付けた事だろうか。

けれど、それももう今は無い。

…………何故ならあの忌まわしい姫が居るからだ。


学園に入ってから、アレンは自らを偽り続けた。勿論、私の前でさえも。

しかし、あの卑しい姫の場合は違う。

彼女の前だけでは、敬語をなくし、よく笑い、愛称で呼ぶ。

そう、以前まで私が持っていた物をあんな卑しい姫に全て奪われたのだ。更に、あの女とつるんでから彼は剣を握らなくなった。学年1位を誇る彼が、だ。アレンは剣を持つと人が変わったのように大人っぽく感じられる。ただでさえアレンは美少年だ。そんな特典、女子に受け無いはずがない。それを私達から奪ったのだ、あの女は。

次第にあの女は、他の女子達から妬み、嫉みを具体化した物を受けた。私はそんなことをしなかったが、止めもしなかった。だって、彼女の自業自得だろう?そんな時だった…


「何してるんだよ。」


「あ、アレン様、…………」


この学園に来て初めて、あの女以外に感情を見せた瞬間だった。


「大丈夫か、ヴィー?」


手を差し伸べるアレン。それに応えるように微笑む卑しい、妖しく美しき姫。

全く皮肉なことに絵になる二人だ。



「あら、アレン。何?私を心配してくれてるの?やっさしー、殿方ねぇ。でも大丈夫よー、一体私を誰だと思ってんのよ。」


フッ


久しぶりに見た笑顔は、幼い頃の天使のような美しさから更に磨きがかかっていた。


「そうだったな。………………おい、お前ら。俺の同士に何してくれてんだよ。」


あの女を虐めた女学生達は、驚き慌てていた。

アレンの綺麗な群青の瞳には、私達でも分かるくらいに炎の燈が燈っていた。


「そ、それは………………この女が悪いのですわっ!!」


「そ、そうですわよ。こんな卑しい女、アレン様がご相手なされるような方では御座いませんわ。」


「アレン様!!お目をお覚ましくださいませっ!」


「………………ふざけんなよ。ヴィーが卑しい姫?じゃ、こそこそ人の粗を探すようなお前らは卑しくないのか?俺からしたら、お前らやただ虐めを見るミスティアさんの方がよっぽど卑しいけどなぁ。」


い、ま、なん、て……………


「居るんだろ?ミスティアさん。」


その目は、もう私を仲間として認識していない目だった。否、彼は元より私を仲間と認識していなかったのかもしれない。


「ち、ちがうんだ、、、アレ_」


「はぁ、だからお前らは面白くないんだよ。」


私の言葉を『もう、聞きたくない』と言うように遮り、何処か落胆したかのようにアレンはあの女と共に何処かへ消えた。


その日から私は変わった。

少し、ほんの少しでもいい。

彼の眼中に入るよう、お洒落も頑張った。剣術も人一倍、いや三倍も勉強しても頑張った。そのおかげで、王都の専属騎士にも選ばれたし、男どもにも笑えるくらいにモテた。

コレで、私のことを見てくれる。そう思ってた。

なのに、彼は私ではなく、卑しい姫のヴィオラ・平民出身のカイ・フィリア王国の宰相の娘であるカトリオナ、そして最近では成り上がりの辺境男爵家の養子ユイばかりを見る。

その事が、どれほど私をズタボロに引き裂いただろうか。

だから、今回のミッションで彼がらみであることにとても喜んだ。だって、彼は嫌でも私を見ざるを得なくなるでしょう?


そして、森での大火事。絶対に彼だと思った。そして、森に行く。そこには赤髪が特徴的な美少年がいた。顔が綻んで行った。

漸く、彼に私という魅力的で強い、あんな女なんかよりもよっぽど同士に近しい存在を示せる絶好のチャンスが訪れたのだ。



それなのに、それなのに………………




「だから、お前は面白くないんだよ。」




炎の牢に囚われた私をまるで、塵を見るかの如くに冷たく言い放つ。




ねぇ、アレン。どうしてなの?




どうして私じゃダメなの?






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