☆ 囮役はだぁれ?
side アレン
「アイツ、うまく取り入ってもらえた様だな。」
俺はニヤリと口角を上げ答えた。
「へー、アイツらが『マモン』か。可愛らしい悪党だな。」
「私らを基準としちゃダメでしょ、さてユイはどんな劇を見せてくれるのかしら。」
確かに、アイツがトールをどう懐柔するのかは見てみたいが、、、
「そんなことよりも、誰が囮役をするんだよ。」
俺らが考えた作戦はこうだ。
1,ユイがグレーテルとなって敵の本拠地に行き、あの砦を破茶滅茶にする。
2,ユイが暴れている(?)間にこの森で騒ぎを起こし、本拠地にいるマモンの数を減らす。
3,残ったメンバーとユイで砦を潰しマモン達を捕らえミッションコンプリート
今は1に到達した。
だから早い事囮役を決めねば逆にユイの身柄が心配だ。
ユイは、思ったよりも魔法のセンスはある(本人は嫌がってる)が、咄嗟に魔法を使おうという思考には辿りつかない。更に、元々の魔力が強いため無理に強いると返って俺達や彼女自身に被害が及ぶ。
だからこそ早く3に進まないといけなくなる。
「そうですわね。では、誰か行きたい人いませんこと?」
……………………………………。
「あら、何時もなら行きたい!!と一声上げるヴィーが居ませんわ。どこにいったのでしょうか?」
「ん?いやぁ、いつもやってたら他の人ができる機会を奪ってしまうから今回は譲ってあげようと、てなわけでいつもやってないリオが行ったらどう?」
リオはにこりと笑い、
「丁重にお断り申し上げますわ。」
コレはもしや………………チラリとカイを見る。
「生憎、俺はこの間の進級テストの時に囮をしてしまったから、今回はお前に譲ろう。」
……………皆んな、どんだけアイツの珍劇場を見たいんだよ。ま、俺も見たいけどな。
「そうですわよ、今回は森の中。アレン、貴方の魔法が大活躍する絶好の機会ですわよ」
「そうだね、アレン、悔しいけど君以上に囮が似合う奴は此処には居ないから、仕方ない。私達は涙を飲んで君に譲ろう。」
おーまーえーらー
「うるせぇよ。お前らだってユイの活躍見たいだけだろ。」
悪魔達はキョトンと首を傾げた。
「何のことですの?私はタダ、アレンのタメに泣く泣く譲って差し上げたのに、ううっ酷いですわ。」
いや、泣いてねぇだろ。
「俺の精神魔法は少々囮役をするのには派手さが無いんだ。その点、お前の魔法は派手だろう?」
ぐっ、確かに正論だが……………
「私の錬金術は人を捕らえるのに打ってつけだから残った方がいいと思う!!」
人捕えんのなら俺やリオの魔法でもいけるわ
「嫌だね。だったら此処は公平にジャンケンでもしよう。」
「はぁ、仕方ありませんわね。」
「だな、」
「じゃ、とっととやろうか」
『最初はグー ジャンケン ポン‼︎」
「………………ぷ、」
「うふふ、ご愁傷様でございますわ。」
「あははははっ!!」
リオ・ヴィー・カイ、が出したのは✋
俺が出したのは✊
つまり、俺が囮役決定だ。。。
「くそっ、あーもー分かったよ!!
ちゃっちゃと騒ぎ起こしてすぐ戻ってくるからな!」
「落ち着け、騒ぎを起こすのも派手すぎるなよ。他の敵対チームがいるかも知れんからな。」
心配するカイに向かって鼻で笑った。
「お生憎様。俺は狩人だぞ。マモンやら狼やらすぐに狩り尽くしてやるよ。」
こうして、俺は一人森の中へ駆け抜けた。




