☆ 銀髪のインクーボ
sideトール
ガチャ
お、いたいた。
噂になっている、銀髪の女__新しい悪魔
ディアドロイにしては少しオドオドしており、一見弱々しく、普通に可愛いため全く持って怖くない。
なら、何故ディアドロイメンバーに入れたのか。
いつの時代でも何処の国でも、情報を持っている事が勝者の絶対条件。
そう、あの方に教わった。
俺、アフェクシオン・トールは伯爵家の三男坊として生まれ、叔母の跡を継ぐ為、商業の道を進む事となっている。
さらに、俺は大気の精霊の加護を得ているからなのか、“風の噂”ってのに敏感なんだ。
しかし、新しい悪魔の事は知らなかった。この俺が、あの騒ぎになるまで彼女の存在すら知らなかった。
一体、俺を出し抜いた奴はどんな奴なのか?
そう思うのは、『商人の性』なんだろう。
「ねぇ、君、隣いいかい?」
こういう時は丁寧な喋り方をする。そうする事で相手に好印象を与え情報を探る。
決まった………………‼︎
我ながら実に、あざとい。
しかし、華麗だ。
「…………………はぁ。」
………………え、無視?
ちょっと、今の俺のイケボ聞いてない訳?
いや、こいつも腐ってもディアドロイメンバーだ。まさか、俺の下心に気付いてワザと無視を………………?
ならば、ここは腹を割って(本人には割るつもりはないが)情報を探ろう。
「おーい、おーい、おー………………ねぇ、もうそろそろ返事しつくんない?ケッコー、傷つくんですが………………。」
ソレでもなお無視をされる。
もう、泣いてもいいですか?
こいつがディアドロイメンバーに入れた理由、鋼すぎる心の持ち主って事は分かった。
だが!俺はここで諦めんぞ!
此処で折れるのは二流!
一流は振り向いてもらえるまで粘るのだ!
「おーい、おーい、おーい!」
「………ひゃあ⁈」
「ぅお⁈あー、驚かしてすまねぇ。隣、いいか?」
いや、さっきの無視攻撃はどうした。
逆にコッチが驚いたわ。
彼女は固まって動かなくなったが、ニコリと愛想笑いを浮かべ
「他にも空いてる席は沢山ありますよ〜。」
と。
お前…………俺を馬鹿にし過ぎじゃねぇか?此処まで粘って、
『はいそーですか、分かりました。』
何か言えるか!!
決めた、もうコイツの情報全て奪おう。
「ならココもその沢山空いてる席の一部だから座らさせてもらうぜ。」
そう言い些か強引に隣の席に座った。
では、先ずは名前から情報を探ろうか。
大抵は名前を聞くだけで、出身国・身分が分かる。
「お前は何て言う名前なの?」
「ユイ、です。」
ユイ?何処かの皇族………ではなさそうだ。苗字は何故言わないんだ?まさか苗字がないという事はないだろうが……………
尤も、出身国は龍山帝国で間違い無いだろう。
「へぇ、ユイ、か。ディアドロイの一員と聞いてやばい奴かと思ったらそうでも無いな。」
ユイはキョトンとした顔で俺を見た。
そして、あり得ないことを言った。
「でぃあどろい?」
おいおい、まさかしらねぇのかよ⁈
あの悪魔供は、此処だけでなく世界各国で有名だぞ!しらねぇ訳ねぇだろ‼︎
……………ん、待てよ。
まさか、コイツ、、、俺に情報を取られない為にこんなトチ狂った話を持ってきたのか。そうか、そういう事か。
「っぷ、アハハハハ‼︎」
危ないところだった、、まぁこの事に気付けたのは俺が一流だからな。だから、お前の策に乗らせてもらうぜ、そして出し抜いてやる!
そうして、ディアドロイメンバーの事を全て話した。
第一ラウンドは負けちまったが、次は華麗にあざとく勝ってやるからな!
覚悟、しとけよ!
今回もありがとうございました〜




