☆ (異)世界は理不尽だ!
ヴィオラさんは私の魔風石のリングを引き寄せ、宙に浮かせた。(この時点で私のキャパは超えてます。)そして、何かを祈るかの如く目を閉じ両手を広げた。
(何が起こるの?)
検討なんか一切つかないし、何も起きてない。
…………否、違う。何かが起きている。
リングは徐々に光り輝く繭に包まれた。
「何、これ………………。」
リオさんはニコリと笑い
「ヴィーお得意の錬金術ですわ。」
繭は消え、彼女の両手には青をモチーフとした、美しいネックレスがある。
「はい、どうぞ。」
彼女はさも当たり前に差し出す。
「あ、ありがとう………ございます。」
一体コレは何ごとなのかしら。
「ヴィオラさん、ステキな魔法、ありがとう。さて、ユイさん。今のが魔法です。
カトリオナさんが言った通り、彼女は鋼の精霊の加護を得ているので、錬金術が得意な生徒なんです。」
ドヤ顔になるヴィオラさん。
頭が痛くなってきた。
(錬金術?んなもんあったら、とっくに世界は高度経済成長を迎えとるわっ!!)
「後から分かるでしょうが、カトリオナさんは、メジャーな水を操る魔法の使い手ですが、彼女は特別で ‘聖水’ を作ることもできます。」
「ええ、心が穢れたらいつでもお力になりますわよ。」
「はぁ、」
(聖水?唯の水でしょ?それとも、ミネラルが豊富な訳?)
「アレンさんも、比較的メジャーな火の使い手ですが、マジックアーチャーを使いこなせる狩人向きの者です。」
「狩人って…………まぁ、良いですけど。宜しくな!」
(マッチとかチャッカマンを使える者のこと?)
「最後にカイト。この者はヴィオラさんの鋼の魔法よりも珍しい闇の魔法使いです。」
「………………。」
(あー、なんか理解できそうです。人を操って殺……ゲフゲフ、痛めつけてそうな感じがします!)
「……………。」
う、睨まれた。心情操作ってことは心の声が聞こえるってことかしら?うぅ、恐ろしや。
と、まぁ冗談はさておき、私は学院長に向き直る。
「で、その魔法というやらの証明書は何処に?」
「「「「「…………………は?」」」」」
「ですから、成分表はありませんか?」
「えーと、ユイちゃん?」
「アレンさん、どうかしましたか?」
「君は、魔法を信じてないの?てか、使えないの?」
信じる訳ないでしょー。使える訳ないでしょー。第一、精霊とかおこちゃまの話でしか出ないよ、馬鹿なの?こいつら?
「全く信じてないな。」
「ふぅん、でも子わんこちゃんは絶大な魔力の保持者ですわよ。」
「そうだねー、魔風石してても普段通りに生活を送れるんだから。」
「ならさ、明日、ユイちゃんの加護を見てみよう。」
「まぁ、それは良いですわね!今日は大人達から追われて疲れているでしょう。学院長様、空部屋をこの子にお貸し頂いても宜しくて?」
「良いですよ、それでは良い夢を。」
バタン
追い出されてしまいました。
まだ、頭が痛い。
さっきの錬金術(?)は一体何?
そしてちゃんとした、ネックレスになってるのはなんで?
思考回路がショート寸前な頃、
ポーン
聞き慣れた声が。
頭を上げ、私は吹き出した。
「ど、どうしてエレベーターが此処に⁈」
「いや今時、何処でもあるでしょ。」
う…………確かにそうだけど、私が言いたいのはそうじゃない!!
「魔法があるなら何で、科学が発達してるのよ!」
「無闇矢鱈に魔力を使うだなんて自殺行為ですわ。」
そうなのか?
逆に、魔法というインチキなモノがあるんだから科学とか発達しなさそうだけど………
「言っとくが、この世界にも科学はあるぞ。」
はぁ⁈
何それ最強じゃん‼︎
うぅ、もうこの世界は理不尽過ぎだろぁぁぁぁぁ⁈(ヤケクソ)
今回もありがとうございました