帰るべき場所
今回短めです
「今日からはここで寝ていいから。入団者キャンペーンです」
泣き腫らした顔でそう言ってくれるレア。
そんなにパーティを解散したくなかったのだろう。
「…もしかして俺を拾ってきて看病してたのはそういう意図もあったのか?」
「あわよくば入団してもらおうと思ってたなんてことないから!」
必死に否定してくる彼女。
俺としては真相がどうであれ大した問題ではないが。
「まぁ助かったのは事実だよ。ありがとうレア」
ポンと頭に手を置いて感謝しておく。
「嬉しくなんかないもん…」
「嬉しいなら嬉しいって言っていいんだぞ?」
「だから…嬉しくなんて…ないもん…」
また泣き始めた。
「そうやって泣いてると出ていくぞ?笑っていろ」
そうやってずっと泣かれるのは俺としても見ていられない。
「泣いてないもん…」
「…」
黙って抱き寄せた。こうされると俺は落ち着くから彼女にも試してみた。
「泣くなって」
「…うん…」
「こうされると安心するだろ?」
「でも…初めてあった子にそんなこと普通する?」
「お前が泣き止まないからだ」
「だから泣いてないもん…」
そんな事を言いながらも少し笑っている。
「ま、部屋を貸してくれるのは助かる」
のだが…
「シエルはどうしてここにいるんだ?」
「…家賃がもったいないので一緒に暮らそうって」
彼女が答えてくれた。確かにそうだろうが。
「…女二人と一つ屋根の下で暮らすのか」
「ちょっと嫌なわけ?」
「いや、そんなわけじゃないけど」
2人の顔を見る。
「間違いは起こらないし平気か」
「間違いの1つや2つくらい起こしなさいよ!」
「起こして欲しいのかよ」
「起こすな!」
「どっちだ…」
レアと馬鹿みたいな話をしていたらシエルが隣で笑っていた。
「まぁいい。とりあえず中に入れてくれ」
そう言うとレアが1人で先に中に入りこちらを向いた。
「エリアス、我がパーティへようこそ。歓迎するよ」
「あぁ。世話になる」
そう言って俺も中に入る。
今日からここが俺の新しい家で帰るべき場所。
そしてここから新たな生活が始まるのだ。