作戦開始前の準備だが、何をすればいいか分からない俺は食べ歩いていた
混乱させてしまいすみません、もう削除しましたが投稿するものを間違えてしまいました。
こちらが正しいものです。
楽しんでいただければ嬉しいです。
準備といわれても何にもすることもないので困りものだ。
「中々だな」
俺はと言うとこれといって準備をする訳でもなければただ、街を歩くだけだった。
そうして見つけたとある店。
「だろ?食べるのは初めてか?」
「そうだな。贅沢品というのは口にしたことがない」
数々の露店が並ぶ通り。その露店の中からひとつの店を選んだ。
特にすることも無い俺はレア達が準備をするために走り回っている間に食べ歩くことにした。
「そいつはな。焼き鳥って言うんだ」
「ほう。中々下品な味がして悪くない」
決して丁寧な味付けというわけではないが俺にとってはこれくらい雑な味付けの方が口に合った。
「そうだろう?俺も子供の頃に口にしてからそいつの虜でな。今はこうして店を構えているほどだ」
腕を構えて自信ありげに話す店主。焼き鳥か覚えておこう。
機会があればレア達にも紹介して食べさせてみたいところである。
「しっかしそれを食べたことないってお前普段どんなもの食べてんだ?」
「泥と砂」
「冗談だろ?」
苦笑いする店主。
「冗談だ」
店主とくだらない会話を交わす。
「もう1本くれ。今度はそこの激辛というのでいい」
凄く赤みがかかったその焼き鳥はものすごくやばそうな色だが食べてみたい見た目でもあった。
「はいよ。腹壊すなよ?」
「泥と砂で鍛えられた胃袋を舐めないことだ」
対価を支払ってからそれを受け取る。さて、他の場所も見に行こうかな。
「こんなところか。じゃあな店主」
「おう。毎度あり。また来てくれ」
空いている方の手を振りながら露店を去るとさっき受け取った焼き鳥を口にしながら歩く。
「これは…これで…」
確かに辛いが辛いだけではなく美味い。
レア達にも食べさせてやりたい何かがある。
「離してください」
立ち止まって焼き鳥を食べていた時だった。静かに怒っているような声が聞こえたのでそちらを向いた。
「あれ…」
反射的にそちらを見た。私服だけどユリヤらしき人物が見えた。
よく見ると彼女が男に腕を取られていた。
遠くて何を言っているのかは分からないがいい雰囲気ではなさそうなので近付くことにした。
「おい、あんた何してるんだ」
「ちっ…」
俺が声をかけると男は直ぐに離れていった。
追う程でもないか。
「エ、エリアスですか」
「困ってるようだったんでな」
「え、えぇ。困ってました。ありがとうございます」
頭を下げる彼女。
「別に頭を下げなくてもいい」
俺は結果的にはただ声をかけただけだ。
「ですが感謝していますので。それに嬉しかったですよ…?」
「…」
頭をかく。
そんなに感謝されることをした覚えはないんだがな。
「それじゃ…私はこれで」
そう言って顔を赤らめて去っていくユリヤを見送る。
「俺もそろそろ戻るか。やることも無いしな」
残っていた焼き鳥を口に入れると家に向かって歩き始めた。
一番最初に家に戻った俺は全員が揃うのを待っていた。
ほぼ何もしていないから、早いに決まっているのだが、それ故にちょっと不安を抱えていたりする。
しかし本当に何もしなかったわけではないし大丈夫だろう。食べ歩いて装備の点検もしたのだ。
「お待たせしました」
シエルがここに集まっている俺たちに向かってそう言った。
「別に待ってはいない」
1番早かったのが俺ならば1番遅かったのはシエルだった。
「きちんと準備は出来たか?」
謝罪など必要ないものだ。大事なのはきちんと準備できたかどうかだ。
と、何もしていない俺が言っても仕方ない話かもしれないが。
「で、できましたよ。ばっちり…」
きちんとそう言ってくれたが後半のセリフは落ち込むようなものだった。
俺が言うのもおかしな話だが少し不安を覚える反応だった。
「何でそこで俯くんだ」
「だって…3000のモンスター相手って…そりゃこうなりますよ」
そんなに多いとも思えないがな。みんなにとってはそんな反応をしてしまうほどの数字なのだろうか。
俺がおかしいのか?
「エリアスがおかしいよね」
首をひねった俺の反応を見てクスッと笑うベティ。
「そうか?」
「みんな緊張する数字だよ3000って。普通にパーティで相手するのなんて5とかそんなものなのに3000だよ?」
人差し指を立てて3000という数字の大きさについて説明してくれるレアだが俺にはよく分からない。
「3000とだけ言われても想像しにくいがそんなに厳しいものなのか?」
「少なくとも適当に準備して行こうと思えるようなものじゃないよ。でも…エリアスなら何とかしてくるそうだよね」
最期の確認をしていたためか黙っていたレアも会話に交じってきた。
「そうですね。あのドラゴンすら一撃で葬ったエリアスなら何とかしてくれますね」
「未だに信じられないけどねあれは」
レア達が小さく笑いながら口にする。
ドラゴンを倒したことは評価してくれているらしい。
それにしてもあのドラゴンもそんなに強いと思えなかったから、そこまで評価してくれるのが過剰ではないかとも感じてしまう。
「まぁいい。それなら俺がなんとかしてやるか」
壁に預けていた背を離して黙っていたユリヤに目をやる。
さっき見た時と違ってちゃんとした制服だ。
これからはお遊びではなく仕事なのだと嫌でも思わせられるその姿。
「ユリヤ。行こうぜ。俺も、だがレア達も準備は出来たみたいだしな」
俺がそう言うとレア達もきちんと頷いてくれた。ちゃんと準備はできているみたいだ。
「分かりました。では皆さん出発しましょう」
ユリヤが先頭に立って歩いていく。俺たちもそれに続いて家を出ていく。
本当のことを言うと勝てる保証なんて誰もしてくれない。
でも、俺の中には勝つビジョンしかなかった。
この勝負も勝ったようなものだろう。
ちゃちゃっと終わらせて眠りたい。




