俺のせいで魔王軍との戦争になることになったらしい
今日は全員で村に向かおうと予定していた当日なので早起きしたが、しかしそれは果たせそうにない。
朝からどんよりとした空気が俺の部屋に流れていた。
その原因はユリヤ、彼女の登場それだけだった。
「もう一度…言ってくれるか?」
そのセリフを理解できなかった俺は思わず彼女に聞き返した。今なんて言ったのかを。
「まだ猶予はありますが魔王城のある方向から大量の魔物がこちらに向かっているのが確認できました」
「で、それで?」
「討伐に向かうのですが…力を貸して貰えませんか?」
「…」
「お願いします。誰でもない…エリアスの力が必要なんです」
あのユリヤが俺に向かって頭を下げた。
しかもただ下げただけじゃない。部屋の中とはいえ…土下座だった。
「とりあえず顔上げてくれ。俺はそうやって土下座されるような人間じゃない」
飛び上がるように立ち上がって顔を上げると俺の両手を取ってきた彼女。
「力を貸してもらえるんですか?」
「そうとは言っていない」
そう答えると落ち込むユリヤ。
「エリアスの力が必要なんですよ…」
「何で俺なんだ」
「あの1000を超える魔物の軍団を殲滅したあの魔法の使い手エリアスでないと対処できない量なんですよ」
あの時のことか。しかしそう言われてもな俺は別に特段何か特別なことをしたわけではない。ただの魔法を使っただけだ。あんなことをする奴が必要なのなら代わりなんているだろ。
「そんなの他のやつでもいいだろ」
「いえ、ですからあの規模の魔法を使えるのは貴方だけなんですよエリアス」
「そう言われてもな…」
「お願いしますよ」
「それより、何で魔物が来てるんだ?」
そもそもの話何故このタイミングで魔物の軍勢がこっちに向かってきているのだろう。そういところに疑問を抱いた。
「何か原因があるならそれを取り除くべきだろ?」
「あなたのせいですよ…」
「俺の?」
その言葉が意外だった。なんで俺のせいなんだ?
「エリアスが魔王を倒したせいですよ。それを恨んだ魔王軍が魔物をけしかけてるんです」
「…なるほどな。敵討ちというわけか」
ならば俺のせいでもあるかもしれないな。
ここでふーん、はー分かった、頑張ってくれと返すのはあまりにも不憫か。
あまり魔王軍とは関わりたくないが仕方ないか…。
「分かったよ。出ればいいんだろ、出れば」
やれやれと思いつつも灼炎を手に取る。
手早く終わらせようか。
「で、いつ出発するのだ?」
「急な話で申し訳ないのですがエリアスがいいのなら今日の夜にでも出発したいと考えています」
「俺は構わないが。レア達はどうだ?」
「私達も行くの?」
「来ないのか?」
てっきり来るものだと思っていたが。
「そうですね。レア達も来て貰えると助かります」
ユリヤもそう言っているし来るものだと思っていた。
なんせ俺達はパーティなわけだし。
「でも…私たちじゃ足でまといになるかも…」
「そんなことないですよ。今は1人でも人手が欲しいんです」
それを聞いてレア達はベティやシエルと相談し始めた。
行くかどうかの相談をしているらしいが俺としては来て欲しいところだな。
来てくれれば俺の仕事も多少は減るからだ。
「勿論、他にも参加者とやらはいるんだろ?まさか俺達だけ誘いに来た、という訳でもないと思うが」
「い、いますよ!」
「何でそんなに必死な言い方なんだよ…」
そんなに必死に叫んでいるから逆に不安になってきたが。
「い、いますから!」
「…何人くらいだ?」
「10人くらいいますよ!」
「敵の数は?」
「…3000を超えていると言われています」
「この国を守るつもりはあるのか?」
思わず頭を手で抑えた。頭痛がしてくる。
「他の連中はどこ行ったんだ?」
それよりこの国の一大事に他の奴らはどこへ行ったのだ。
「帰ってこないのですよ…。魔王城に向かってから有名所のパーティが戻ってこないんです」
「何で?」
「分かりません。四天王に苦戦しているのかもしれません。貴方が倒したのは魔王だけで四天王は残っているはずですから」
なるほどな。そういうことか。
「仕方ないな。とりあえず頑張ってみようか」
「準備は慎重にお願いします。3000…正直かなり不安が残る数です。エリアス。これも貴方の力があってようやく乗り切れるかというところなのでお願いしますね」
「分かったよ」
「では、暫くしたら呼びに来るのでよろしくお願いしますね」
そう言って俺達の前から去るユリヤ。
あぁは言ったが何を準備すればいいのだろうか。
俺はこれまでもこれといって準備をしてきたことも無いし困るな。
「ところで準備って具体的に何をすればいいんだろう」
だからレアに聞いてみることにした。
「それはアイテムの用意とかじゃない?」
「そうなのか?」
「そうなのか…って基本中の基本だよ?」
ベティにもそう言われてしまった。
「基本なのか?」
「少なくともアイテムを用意しない人なんて希少ですよ」
シエルにもそう言われた。
「そうなのか?てっきりみんなアイテムなんて用意しないと思っていた」
「アイテムなしでモンスター討伐に向かう人なんてほんと希少種だからね?」
ベティに舐めるような目で見られた。どうやら俺が今までしてきたことは希少種のすることだったらしい。
「そうなのか。なら、準備はしないといけないな」
「大丈夫かなぁ…」
レアはそんな俺を見て不安そうにしている?
「何とかなるだろ。ただのモンスターだし」
前はなんとかなったし何とかなるはずだ。
うん。何とかなるだろう。
「ま、そういう訳で、暫くは別々に行動しようぜ。一人一人必要なものは違うだろうし。夜に作戦開始するらしいしそれまでに戻れば問題ないだろう」
という訳で一旦俺達は別れることにした。
ここからは別行動だ。
俺はというと、とりあえず少し横になることにした。




