8話 腕試し②
しばらくぶりですね……
お待たせ致しました!!!
今回は大半ゲイルさん視点です!
王都竜童騎士団内訓練場。
コロシアム型の訓練場があり、それはかなり昔からあるのだがヒビひとつすら入ることのない耐久性を誇る。
それは天にいる神の光の加護を受けたような堅牢さから、このコロシアムは『聖壁の闘技場』とも呼ばれたりする。
──それはあくまで一般的な騎士達ではの話になるのだが。
団長の俺クラスの人間が思いっきり壁に攻撃すればヒビぐらいだったら入る。
しかし、目の前に立つ大人しそうな少年の放つ気は決して弱々しいものではなく、むしろ見た目に相応しくない、荒々しいものだった。
それは俺の気とぶつかり、衝撃だけで壁にヒビを入れたのだ。しかも何本もだ。
……先程全力でやればと言ったが、それでも小指ほどに浅いヒビしか入らない。
となればあいつはステータスに現れない程の力を持った強敵ってことになる。
俺はその少年と対峙しつつも、気持ちの昂りを抑え切らずいつの間にか口角が上がっていた。
ああ、こいつなら……世界の命運は託せるな。
「……だが、その前にちっとばかり俺と遊んでもらわねぇとな」
心躍る気持ちはさながら野を駆ける少年たちのようで、その熱は俺を浮つかせるには充分だった。
◇◆◇◆◇
ビュオッ!
ゲイルの持つ大剣が横から薙ぎ払われる。
「うわっ」
僕はそれを間一髪で躱し、逆にその空いた左脇腹を狙って突きを放つ。
「あぶなっ!」
ゲイルはそう言いつつも難なく大剣で弾き、一撃を入れに来る。
僕はまたそれを躱し、反撃、ゲイルはそれを回避したり弾いたりしてさらに攻撃を仕掛けてくる……この応酬がしばらく続き、それにつれて速度もどんどんあがっていった。
数十分後。
「なかなかやるじゃねぇか、カイト」
「……そうですね。僕も自分が思ったより動けて吃驚してますよ」
「じゃ、もうちょいやるか!」
「はい!」
その後もまた応酬を続けたのだけれど、僕は結局倒れて城まで運ばれてしまったのだった。