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08-商人ルート待ったなし-




「ララ行くぞ!」

「わん!」


 ボールはララ君だな。


「次はこれだな。

見てくるのはシュシュお前か」


 フリスビーに熱い視線を感じる。

今投げるから。


「行って、こい!」

「ばふ!」


 空中キャッチを決めて足元にフリスビーを置いた。


「かっこいいぞお前」

「きゃん!」

「はいはい、ランニングするから。

でだ、スロット君。君にはこれを託そう」

「や、やり方がわんないって」

「大丈夫簡単だから」


 フリスビーの投げ方を教えて、俺は投げては走り投げては走った。


「つっかれた・・・」

「はっはっはっ」

「無理無理。今日はおしまい」

「お疲れ様です」


 犬に水を飲ませながら水をくれた。

こっち来てから肉体労働しかしてねぇな。


「それとお願いしたいことが」

「・・・はい」

「夕飯とこの子達の食事を教えていただきたいのです」

「それくらいなら是非とも」


 話によると奥様が食べやすく気に入り、手頃に作れるため教えて欲しいそうだ。

キッチンに行き犬用のレシピとサンドイッチを教えた。


「野菜とお肉を一緒に取れていい料理ですよね」

「確かに手頃なものですね」

「さて、私は今日はもう帰ろうかと。

遅く帰っては怒られてしまいますから」

「ははは、随分とお子様のような冒険者なのですね」


 なんて言われながら無事お城に帰った。

で、食事前に勇者グループに会った。無事ではなかった。


「君はあんな人が好みのようだね」

「はい?一体何のことでしょう?」

「とぼけないでよ!

なんで私たちにはシャンプーを渡さないであんな女に渡したのよ!」


 おー、ナツミさんが声を荒らげるとは珍しい。

そんなに欲しかったのか。


「あの人には勉強を見ていただきましたからお礼を兼ねて。

次からは適当な価格で買っていただけるそうで」

「ふん。どうだかな」

「どうなんでしょうね」


 この人には何を返しても無駄だろう。

真面目に返すのはやめておこう。


「つまり私たちも買えるというわけね」

「そういうことになりますね。

もちろん製品だけ渡すつもりですが」

「独占というのは感心しないな」

「私は生きるための術だと思っていますがね。

あ、そうだショウヘイくん君にはお世話になりましたので1本プレゼントということで」

「ほ、本当ですか!?」

「ず、ずるいわよ」


 そこは親切心の差だろう。

なかなか良くしてもらったし。


「1本いくらよ」

「そうですね。

500Kとかですかね」


 うん。ぼったくりました。

でも、大瓶で渡すし大丈夫だろう。


「買うわ」

「即決ですね」

「まとめ買いはできるの?」

「私1人本です」

「それじゃ1本で我慢するわ」


 はぁ、夕飯後は量産しとくか。

俺の分も作らないといけないし忙しいな。


「私も1本もらおうか」

「何を言っているんですか?

売るとでも?」


 ここは選ばせてもらおう。

明らかな敵に売るもんなんてない。


「そ、そんなかわいそうじゃない」

「そうですか?彼女からの敵意は見ててわかるじゃないですか」

「お客様は神様というが」

「ニーチェは本当にいい名言を残してくれました。

あなたには私の商品は売りません。彼女に頼んでくださいね」


 これアニメとかなら悪役だよな。

大丈夫かなこの人たちに滅ぼされたりしないか?


「君は本当に性格が悪いな」

「生きるための術と言ってください。

私はあなたたちと違って穀潰しだそうなので。

もうすぐ夕飯ですね、行きましょうか」


 夕飯と戦ったら仕事と戦わないといけないから大変だ。

間に合わないと今度はなんて言われるか。







「あのシャンプーを売って欲しいわ」

「あなたもですか」


 夕飯後、姫さんに事情を説明しようかと思ったらいきなり言われた。

間に合うとお思いなんですかね?自分用しか作ってないんですよ。


「今から制作を始めるから遅くなるよ」

「そんなにかかるの・・・」

「いや。ただ量を作るから時間がかかるんだよ」

「だったら待つわ」


 そこまで、はまってしまったのか。現代科学(?)恐るべし。

そういえば多少は臭いが気にならなくなったような・・・


「では完成次第、部屋に持っていくよ」

「ありがとう。いくらかしら?」

「あー、大きい瓶で500。小さい瓶で200にしようかなと」

「だったら大き瓶でお願い」

「了解」


 これで稼ぐのもありなのか?

一応、奥さんにも勧めておいてみるか。


「香りはどっちがいい?」

「え?選べるのかしら?」

「まぁ、この前のキャンドルの香りとシャンプーで使った香り」


 ついでに初めて作った方はラベンダーっぽい香りだった。

アロマって言ったらラベンダーって感じがするかな?


「この前の方が好みね」

「ほいさ。んじゃ、出来たら部屋に持っていくよ」


 部屋に戻って早速ベースの無臭シャンプーを軸に量産を始め、キャンドルもついでに制作を開始。

アップテンポな曲を流して作業を進めた。


 コンコン。


 ん?聞いたことないノック音だな。誰だ?


「どちらさ。ども」

「夜にごめんなさい。

先にお金を払っておきたくて」


 確か、ナツ・・・み?さんだった気がする。自信がない。


「確かに受け取りました。

ちょっと待ってくださいね」


 部屋にいれて香りのサンプルを渡した。

ほとんど作業も終わっているからここを見られてもわからんだろう。


「よくわからない道具ばっかりね」

「確かに専用のものばっかりですから。それでどちらで?」

「こっちのラベンダーの方ね」

「ではこれですね」


 エッセンシャルオイルの関係上俺のシャンプーがリンゴになってしまったがまぁいいか。


「助かったわ」

「私も助かってますからwin-winですよ」

「それでなんだけど。

あの子は意地を張ってるだけなの。あなたも意地張ってないで仲直りできないの?」


 何を言うかと思ったらそんなことか。

残念ながら俺から近づこうとは思わないし、無理な相談だろ。


「無理な相談かと。

私が散々何を言われたか知っているでしょう?」

「だからそんな些細なことで喧嘩しないでって言ってるの」

「・・・ははは、些細なことですか」


 彼女からすれば些細なことなんだな。

当事者じゃないとわからないこともあるもんな。


「彼女に些細なことなんて言葉を使ってはいけませんよ。

私からの忠告です」

「え?」

「ではお引取りを。まだすることがありますので」

「あ、うん。遅くまでごめん」

「大丈夫ですよ。ではおやすみなさい」


 ま、することって特にないんだけど。

このあとは姫さんに渡すだけだし、時間はかからないだろう。


「さて、次に作るものに目処でも立てておくか」


 姫さんのところに向かいノックをすると執事さんが出迎えてくれて入れてくれた。

アロマの効果があってか少しはましだが生活臭までは誤魔化せないみたいだ。


「姫さん、どうぞ」

「ありがとうございます。

こちらをどうぞ」


 なんか危ない商品の取引してるみたいだな。

怪しい笑い方すれば完璧だったな。


「600K入っているけど」

「すいません。私、100K単位でしかお金を持っていなくて」


 かー、これだからブルジョワジーは。

俺もそんなジョワジーな台詞言ってみたいね。


「それとお手間かと思いますがあのロウソクを売っていただきたいのですが」

「キャンドルですか?いいですがいくらにしましょう」

「300Kでいかがですか?

使いきりですから。あとは仕入れなどによりますね」


 使わない瓶・・・0円

 使い終わったロウ・・・0円

 紐・・・0円

 エッセンシャルオイル・・・花壇からの採取

 制作・・・プライスレス


「300Kにしましょう」

「では前回の分も含めて1200Kをお支払いします」

「助かりますがこれからもご贔屓にってことで1000Kでどうでしょう」

「あらあら、ありがとうございます。ではこちら400Kです」


 どうしよう。このままだと商人ルートまっしぐらだ。

冒険者でかっこよく活躍したい。


 部屋に戻り粗熱を取っていたキャンドルはまだ暖かいが寝る頃には丁度いいだろう。

姫さんに渡してから疑問に思っていたスキルについて考えていた。


 【充電魔法】ってのは文字通りだろ。気絶はMP的なのが無くなるからか?

 そのほかのスキルも文字通りだが【視覚魔法】ってのはなんだ?


 見る系の魔法なんだが魔法を見たことは就職先の執事さんの魔法だけだし。

・・・見ることができる。


「もしかしてこれのことか?」


 ロウソクの炎は違うオーラが見える。異世界だしなんて気にしてなかったけど確認してみるか?


「騎士さん。炎を見ていると火以外のものが見えたりしません?」

「あー、燃えているところでは違う透明な妖精が見えると聞いたことがある」


 もしかして蜃気楼。どうやら赤いものは見えていないようだ。


「妖精ですか。いたずら好きですからね」

「それで困る時もあると聞いたことがあるがな」

「ははは、ありがとうございます」


 どうやら予想は正しかったようだ。


「ふはは、俺もこの能力でチート入りだ!」


 魔力のオーラが見える。導き出される答えは・・・

戦闘力とか測るのか?


「うん、ないな。

風呂入って寝よ」


 ショウヘイにシャンプーを渡してから、風呂に入り充電で眠くなってから眠りについた。

おや?気絶はなくなったな。




投稿は2~3日に一回。


誤字脱字があれば報告していただけると嬉しいです。

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